Pythonを利用する中で、画像や動画を扱うことに煩雑さを感じたことはないでしょうか。その手間を減らし、効率的な作業を可能とするのが「cv2(OpenCV)」と呼ばれているライブラリです。
cv2は、Pythonでは標準装備されていませんが、外部よりダウンロードすることによって使用できるようになります。
今回の記事では、cv2をインストールする方法や基本的な操作方法などを詳しく紹介します。
Pythonのcv2(OpenCV)とは
Python(パイソン)とは、1991年にオランダ出身のエンジニア、グイド・ヴァンロッサム(Guido van Rossum)氏が開発したオープンソースのプログラミング言語です。
シンプルなコードであるため、書きやすく読みやすいことが特徴で、開発効率が良いとされています。
そのPythonには膨大なライブラリがあり、それらを活用して開発をさらに効率よく進められるようになるでしょう。
Pythonを使って画像や動画の処理をする時にとても有用なのが、「cv2」と呼ばれているライブラリです。
cv2は正式名称をOpenCV(Open Source Computer Vision Library)というインテル(Intel Corporation)が2000年にリリースしたオープンソースのライブラリです。
このライブラリには画像や動画を処理するための機能がまとめられています。
特筆すべきは、cv2によって画像の検出や読み込みといった基本的作業の他にも、色チャンネル分解、減色処理、カメラキャリブレーション処理やコンピュテーショナルフォトグラフィー処理などの高度な作業が簡単にできるようになる点です。
作業時間と手間を短縮できるだけでなく、無料で使えること、さらに応用するとARやVRの開発もできることなど、多くのメリットがあるのも特徴です。
「C++」や「Java」、「MATLAB」などでも同様にcv2を利用でき、マルチプラットフォームに対応でほとんどのOSで動かせるため、様々なシーンで活用されています。
これ以外にもPythonには便利なライブラリが数多くあります。以下の記事ではその他のおすすめライブラリを解説していますので、参考にしてみてください。
Python用にcv2(OpenCV)をインストールする方法
この章では、基本的なインストール方法のほか、インストール済みであることを確認する方法も解説していきます。
pipを利用したインストール
ライブラリは、元から装備されている「標準ライブラリ」と、ダウンロードが必要な「外部ライブラリ(サードパーティ)」に分かれます。
外部ライブラリを簡単にダウンロードする際に使うのが、「pip(Pip Installs Packages)」というPythonで利用できるパッケージ管理のためのツールです。
cv2は、インテルによる外部ライブラリのため、pipを通してダウンロードを行います。
このpipは、Python2.7.9、Python3.4以上では標準装備されていますが、それ以外の古いバージョンを利用している場合は、自分であらかじめインストールしておく必要があります。
Pythonのインストール方法についてはこちらの記事で解説しています。
pipをインストールする方法
1.ダウンロード
コマンドプロンプトを開き、以下を実行します。
curl https://bootstrap.pypa.io/get-pip.py -o get-pip.py
「get-pip.py」というファイルがダウンロードされていることを確認できれば、ダウンロード完了です。
2.インストール
ダウンロード完了後、以下のコマンドを実行してpipを利用できるようにインストールします。
(Windowsの場合)py get-pip.py
(Macの場合)python get-pip.py
3.確認
pipのインストールがきちんとできているかを確認するために、以下のコマンドを実行します。
pip -V
ダウンロードしておいたpipのバージョンが表示されていれば、正常にインストール完了です。
cv2のダウンロード方法
外部ライブラリは、「PYPI(Python Package Index)」というサイトにまとめて置かれています。PYPIにアクセス後、「opencv-python」で検索し、「ファイルをダウンロード」の項目をクリックしましょう。
開いたページで「Source Distribution」の下にあるファイルを選択してクリックすると、ダウンロードすることができます。
Windowsにインストールする方法
ダウンロード後、「コマンドプロンプト」を開き、以下のコマンドを実行しましょう。
pip install opencv-python
実行することで、自動でcv2のインストールが始まるでしょう。インストールに必要な「numpy」が入っていない場合では、ここで同時にインストールされます。
cv2のインストールを確認する方法
インストール完了後に、「コマンドプロンプト」などで以下を入力して実行します。
python -c "import cv2; print( cv2.__version__ )"
その後、cv2のバージョンがきちんと表示されている場合は、正常にインストールされています。
cv2(OpenCV)をインストールできないときの対処法
cv2のインストールを進めようとしたとき、エラーが出て先に進めない、繰り返しシャットダウンになるなどのトラブルが起きる場合があるかもしれません。
この章では、インストールができないときに有効な対処法についてみていきます。
Pythonのアップデート
Python本体のバージョンが古いと、インストールが途中で止まるなどのエラーが起こりやすくなります。その場合はアップデートを行うことで対処できるでしょう。
まずはバージョンの確認のため、コマンドプロンプトで以下を実行します。
python –version
表示されたバージョンが最新でない場合はアップデートを行います。
アップデートの手順
1.最新版のPythonをダウンロードする
Pythonの公式サイトで、最新バージョンのファイル(「Download the latest version for Windows」のすぐ下のファイル)をダウンロードしておきます。
2.Python本体をインストールする
サイトでダウンロードしておいたプログラムを実行します。
その際、インストール画面の「install launcher for all users (recommended) 」と「add python ○○ to path」のチェックボックスに必ずチェックを入れたことを確認して、インストールを進めます。
3.cv2のインストール
Python本体のインストールを完了した後、cv2を再度インストールします。
pipのアップデート
インストールに使用する「pip」のバージョンが古くても、同様のエラーが起こりやすくなります。この場合も最新版へのアップデートで対処ができるでしょう。
バージョン確認のため、コマンドプロンプトで以下を実行します。
pip –version
表示されたバージョンが最新でない場合はアップデートを行います。
アップデートの手順
1.pipのバージョンアップ
コマンドプロンプトで以下を実行し、pipをバージョンアップします。
python -m pip install --upgrade pip
2.pipのバージョン確認
以下を実行して、再度pipのバージョンが新しいものであるかを確認しましょう。
pip –version
3.cv2のインストール
アップデートが確認できたら、再度cv2をインストールします。
Scriptsフォルダの追加
インストール時に何度もエラーが起きる場合、「Scriptsフォルダ」を追加することで解決することもあります。
フォルダを追加する手順
1.フォルダの追加
「コントロールパネル」を開いて、「システムとセキュリティ」から「システム」へと進みます。
右側の「システムの詳細設定」の項目をクリックし、「システムのプロパティ」ウィンドウが開いたら、下部の「環境変数」をクリックしましょう。
次に「システム環境変数」の一覧から「Path」を選択して「編集」の項目をクリックします。
さらに、空白行にカーソルを合わせ、「新規」の項目をクリックします。その後、Pythonのディレクトリに「Scriptsフォルダ」を追加します。
2.cv2のインストール
フォルダを追加したらコマンドプロンプトの再起動を行い、再度cv2をインストールします。
cv2(OpenCV)の基本操作
この章では、cv2における基本の操作方法について解説します。なお、準備として使用する画像ファイルは、cv2と同じディレクトリへ入れておく必要があります。
画像の読み込みと表示
画像の読み込みは、 「imread(‘ファイル名‘)」のコマンドで行い、画像の表示をする場合は、「imshow(‘任意のウィンドウ名‘, img)」で命令を出します。
なお、「imshow」とセットで使うのが「waitKey」と「destroyAllWindow」です。
具体的には、「waitKey(0)」は「キーが押されるまで待機する」という意味で、「destroyAllWindows」は、「すべてのウィンドウを閉じる」という意味を持ちます。使用例は以下の通りです。
例)画像を読み込みウィンドウに表示する
import cv2
img = cv2.imread('ファイル名')cv2.imshow('任意のウィンドウ名', img)
cv2.waitKey(0)cv2.destroyAllWindows()
画像サイズ変更
読み込んだ画像をトリミングしたい場合は、「resize(img, dsize=(高さ,幅))」で命令し、リサイズをする場合は「resize(img, dsize=None, fx=倍数, fy=倍数)」で命令を出します。
(例)縦と横の長さを1/2にする
import cv2
img = cv2.imread('ファイル名')img = cv2.resize(img, dsize=None, fx=0.5, fy=0.5)cv2.imshow('任意のウィンドウ名', img)
cv2.waitKey(0)cv2.destroyAllWindows()
画像のグレースケール化
読み込んだ画像をグレースケールに変更するには、「cvtColor(img, COLOR_BGR2GRAY)」で命令を出します。
(例)表示する画像の色をグレースケールに変える
import cv2
img = cv2.imread('ファイル名')img = cv2.(img, COLOR_BGR2GRAY)cv2.imshow('任意のウィンドウ名', img)
cv2.waitKey(0)cv2.destroyAllWindows()
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Pythonでcv2を使うには?pipを使ったインストール方法や使い方のまとめ
Pythonでcv2(OpenCV)を使うと、効率性が上がりスムーズな作業が可能になります。
サードパーティのライブラリですが、pipを使ったインストールも難しくありません。豊富な機能が用意されているので、経験を問わず編集の幅を一気に増やすことができ、すべて無料で使うことができるのも、嬉しいポイントでしょう。
cv2は活用におけるメリットが多い、とても有用なライブラリといえます。
ライブラリを含めたPythinの使い方を詳しく知りたい方は、AI研究所のPython基礎セミナーを受講するといいでしょう。