現代はAIの進化により仕事の多くが自動化され、これまで「専門職」と呼ばれていた領域にも変化の波が押し寄せています。そんな時代に生き残るには、AIを使う側ではなく「作る側」に回る力が求められます。
教育訓練給付制度は、まさにそのスキルアップを後押ししてくれる国の支援制度です。本記事では、AI・DX分野でのリスキリングを目指す人に向けて、制度の仕組みや受給条件、申請方法をわかりやすく解説します。
教育訓練給付制度とは?
教育訓練給付制度は、働く人のスキルアップを後押しするために、国が設けた公的支援制度です。厚生労働大臣が指定する講座を受講すると、条件を満たした場合に受講費用の一部が給付金として支給されます。
資格取得やキャリアチェンジ、AI・DX分野のリスキリングにも活用でき、在職中でも利用できます。社会人が安心して学び直しに挑戦できる仕組みとして、教育訓練給付制度は多くの人に注目されています。
AI・DX人材に注目されている理由
教育訓練給付制度は、とくにAI・DX人材の育成分野で注目されています。その背景にあるのが、AI・DXの発展です。
AI・DXの発展により、企業は今まで以上にデジタル技術を扱える人材を求めるようになっています。AIを「使う」だけでなく「設計・運用できる人材」への需要が高まっており、個人のスキル更新が必要とされています。
教育訓練給付制度は、受講費用の補助を受けながら、AIエンジニアリングやデータ分析、プログラミングなどの分野を体系的に学べる点が評価されているのです。
給付金の種類と特徴|専門・特定一般・一般の違い
ここでは、給付金の種類と特徴として、以下の3つをそれぞれ紹介していきます。
| 教育訓練の種類 | 給付率・上限額 | 対象となる講座の例 |
|---|---|---|
| 専門実践教育訓練 | 受講費用の最大80%(年間上限64万円) ※2024年9月までに受講を開始した場合、最大70%(年間上限56万円) |
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| 特定一般教育訓練 | 受講費用の最大50%(上限25万円) ※2024年9月までに受講を開始した場合は最大40%(上限20万円) |
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| 一般教育訓練 | 受講費用の20%(上限10万円)を支給 |
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※上記は2025年10月時点のものです。最新情報は必ず公式サイトで確認してください。
専門実践教育訓練
専門実践教育訓練は、実務に直結する高度なスキルを身につけるための講座を対象とした教育訓練給付制度です。受講費用の最大80%(年間上限64万円)が支給され、2024年9月までに受講を開始した場合は最大70%(上限56万円)となります。
介護福祉士や看護師などの国家資格取得講座のほか、AI・DX関連の専門講座、社会人向けMBAなども対象です。長期的なキャリアアップを目指す社会人に、最も手厚い支援が受けられます。
特定一般教育訓練
特定一般教育訓練は、専門性のある中級レベルのスキル習得を目的とした講座を支援する教育訓練給付制度です。受講費用の最大50%(上限25万円)が給付され、2024年9月までに受講を開始した場合は最大40%(上限20万円)になります。
介護支援専門員や大型自動車免許などの資格講座、ITSSレベル2相当のデジタル関連講座、短期大学や専門学校のキャリア形成プログラムなどが対象です。
一般教育訓練
一般教育訓練は、比較的短期間で取得できるスキルや資格を対象とした教育訓練給付制度です。受講費用の20%(上限10万円)が支給され、初めて制度を利用する人にも利用しやすいのが特徴です。
簿記、FP、TOEIC、宅地建物取引士などの資格取得講座や、大学・大学院での学位取得を目指す課程も含まれます。幅広い分野の講座が対象となっており、キャリアの基礎を固めたい人やスキルアップを始めたい人におすすめです。
ちなみに、AI資格として有名な「E資格」も教育訓練給付制度の対象です。詳しくは以下の記事をご覧ください。
教育訓練給付の受給条件

この章では、教育訓練給付制度の対象者と受給条件について詳しく解説していきます。
- 受給の基本条件
- 対象外になるケース
①受給の基本条件

教育訓練給付制度を受け取るには、受講開始日時点で雇用保険に加入していること、または離職後1年以内であることが条件です。過去に教育訓練給付金を受けたことがある場合は、前回の受講開始日以降に3年以上の被保険者期間があるか、前回の支給日から3年以上経過していることも要件となります。
②対象外になるケース
教育訓練給付制度は、雇用保険の加入期間や申請条件を満たさない場合は受け取れません。受講開始日時点で雇用保険に加入していない人、または離職から1年以上経過している人は対象外です(出産・育児・病気などで延長申請をした場合を除く)。
また、過去に給付を受けたことがある場合は、前回の受給から3年以上経過していなければ再び利用できません。さらに、受講料を勤務先など他人が支払った場合や、領収書が本人名義でない場合も教育訓練給付制度の対象外となります。
教育訓練給付制度の給付対象講座
教育訓練給付制度はAI・DX関連の他にも、さまざまな分野において、総計16,000もの講座が指定されているため、業種や職種を問わず活用できます。給付対象講座の分野には、主に以下のようなものがあります。
- 輸送・機械運転関係
- 情報関係
- 専門的サービス関係
- 事務関係
- 医療・社会福祉・保健衛生関係
- 営業・販売関係
- 技術関係
- 大学・専門学校等の講座関係
とくに情報・専門サービス分野の充実度が高く、AI・DX時代に求められるスキル習得にも対応している点が魅力です。
教育訓練給付金の申請方法と流れ
ここでは、教育訓練給付制度の申請方法と流れを、以下のとおり順に解説していきます。
- 対象講座を検索・選定
- 教育訓練実施者から書類を取得
- 書類をハローワークに提出
- 正式にスクールや講座に入会・受講
- 修了証明をハローワークに提出
①対象講座を検索・選定
まずは、自分が受講したい講座が教育訓練給付制度の対象かを確認します。
教育訓練給付制度の対象講座は、厚生労働省が運営する「教育訓練給付制度 講座検索システム」で調べられます。検索画面では、講座の種類(一般・特定一般・専門実践)や分野、実施地域、受講形式などを条件に絞り込みが可能です。
特にAI・DX関連の講座を探す場合は、「情報処理」「IT」「データ分析」などのキーワードで検索すると効率的です。受講を検討する際は、講座の「指定期間」内に受講を開始できるかも必ず確認しましょう。
②教育訓練実施者から書類を取得
受講する講座を決めたら、指定された教育訓練実施者(スクールや大学、通信講座など)に直接申し込みます。
申し込みの際には、教育訓練給付制度を利用する旨を必ず伝えましょう。そのうえで、教育訓練給付制度の支給対象講座の証明を裏付ける書類をもらっておくことが重要です。
受講開始前に、最寄りのハローワークで「教育訓練給付金支給要件照会」を行い、受給資格を確認しておくと安心です。講座によっては、事前面談や書類の提出が必要な場合もあるため、余裕を持って手続きを進めましょう。
③書類をハローワークに提出
②で取得した書類をもとに、ハローワークに受給資格の確認を申請します。給付金の対象であり、かつ申請者も給付金の対象であれば、「教育訓練給付金 支給要件回答書」が交付されます。
④正式にスクールや講座に入会・受講
③で取得した回答書をもって、正式にスクールおよび講座に入会・受講します。受講料の一部は国から補助されるので、しっかり実務で役立つスキルを安心して身につけることに集中しましょう。
⑤修了証明をハローワークに提出
講座をすべて修了したら、受講先から「修了証明書」や領収書など必要書類を受け取り、申請書類をそろえましょう。1か月以内に本人確認書類や雇用保険被保険者証を添え、ハローワークで給付金の申請を行います。
審査を経て問題がなければ、後日指定口座に給付金が振り込まれます。期日を過ぎると支給対象外になるため、修了後はできるだけ早めに動きましょう。
教育訓練給付金の申請に関する注意事項
教育訓練給付制度の内容や対象講座は、改定により変更される場合があります。そのため、利用する際は必ず、厚生労働省の公式サイトで最新情報を確認することをおすすめします。
また、対象講座は「指定期間内に受講を開始した場合のみ」給付の対象となります。申し込み前に「受講開始日が指定期間内かどうか」、こちらもしっかりと受講予定の教育訓練施設、および給付手続きする予定のハローワークに確認しておきましょう。
教育訓練給付を最大限活かすコツ

ここでは、教育訓練給付を最大限活かすコツを、以下のとおり紹介します。
- 自己投資を「回収」する意識を持つ
- テーマはトレンドより自分のキャリア軸で選ぶ
①自己投資を「回収」する意識を持つ
教育訓練給付制度は、学習にかかる費用を減らすというよりも、将来的な収入やキャリア成長につなげるための制度です。受講後に得た知識や資格を仕事にどう活かすかを意識し、自己投資を回収する視点を持ちましょう。
②テーマはトレンドより自分のキャリア軸で選ぶ
流行りのスキルや人気講座に飛びつくより、自分のキャリアや将来像に合ったテーマを選ぶことが重要です。たとえばAI・DXスキルも、目的に応じて内容を絞ると効果的です。
もし「キャリア軸が決まっていないものの、AI・DX分野のスキル習得を目指したい」という方なら、E資格の取得がおすすめです。E資格対策ディープラーニング短期集中講座は最新のAI全般知識を身に着けられる講座で、脱落者ゼロ、修了率99%の実績があります。
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教育訓練給付制度に関するよくある質問
最後に、教育訓練給付制度に関するよくある質問に回答していきます。
教育訓練給付制度についてまとめ
教育訓練給付制度は、働く人の学び直しやキャリアアップを国が支援する仕組みです。制度を上手に活用すれば、費用の負担を抑えながら実践的なスキルを習得できます。
AI・DXなど技術の進化が加速する今、スキルを磨き続けることは将来への投資といえます。ぜひ最新情報を確認のうえ、自分の目指すキャリアに合った講座を選び、給付制度を使ってスキルアップしていきましょう。





