AIで知られる人工知能の開発技術者は不足しています。そのため、人材の発掘と教育が求められています。その点で大きな役割を果たしているのが、E資格です。人工知能の開発に必要な知識や技術を図るE資格は、機械学習に用いられる数式やアルゴリズムの知識が必要です。
こちらでは、E資格の概要とともに、どのような知識が必要なのか、おすすめのトレーニング方法について説明します。
E資格の概要と事前に知っておきたい知識
E資格は、JDLAで知られる一般社団法人日本ディープラーニング協会が創設し、運営するエンジニア向けの資格です。試験は年に2回から3回程度行われ、機械学習の一分野であるディープラーニングの理論への理解度が問われます。
なお、試験時間は120分で、100問程度の多肢選択式のテストが実施されるので、かなりタイトな試験といえるでしょう。同じ団体が設けているG資格とは異なり、試験は会場受験のみとなり、試験中にテキストを開いたり、わからない点をネットで検索することはできません。
一般的な資格試験では、過去問題が公表され、試験対策がしやすいですが、E資格は、試験内容の公表が禁止されているので、ベースとなる知識や基礎とともに応用力が求められます。
加えて、E資格に必要なアルゴリズムが日進月歩で進化しているので、最新の情報に通じている必要もあります。E資格は幅広い分野から出題されるとはいえ、基礎を抑えておくことは重要です。その点でカギとなるのが、数学に関する知識です。
E資格を取得するにあたり、理解しておきたい数学は、確率や統計です。人工知能開発では、確率や統計が実際に使われており、一般的な確率分布である、ベルヌーイの分布やガウス分布、ベイズ則などは事前に学習しておくと、トレーニング効果を高められるはずです。
またE資格では情報理論に関する問題も出題されます。情報理論は、情報・通信に関する内容を数学的に説明する学問です。そして情報理論では、「自己情報量」や「エントロピー」という概念が出てきます。
「自己情報量」とは、ある特定の事象が発生したときに得られる情報の量のことです。数式を使わずに説明すると、自己情報量は「驚き」の度合いと考えることができます。
つまり、事象が起こる確率が低いほど、その事象が実際に起こったときに得られる情報(または驚き)は大きくなることを表します。
「エントロピー」とは、この情報量の大きさを図るものです。例えば普通の野良猫を見かけるよりも、イリオモテヤマネコを見かける方がエントロピーは大きいと言えるでしょう。
実際にディープラーニングや機械学習の実装では、情報理論に関する知識が求められることが多いです。
E資格の概要についてはこちらの記事で解説しています。
おすすめのE資格トレーニング方法4選
E資格取得は、資格取得に必要な数学やアルゴリズムを理解したうえで、プログラミング言語のPythonを使って実装するまでを、筋トレのように繰り返し行うのが早道です。
基礎的な知識を実践的な仕方で生かすようにトレーニングを積むことがポイントといえます。具体的な内容としては、機械学習の仕組みを学んだうえで、人工知能の開発環境を構築したり、機械学習に利用するライブラリを使って人工知能のモデルを作成することができます。
加えて、機械学習の一分野である強化学習を深堀りし、自動運転やロボットの行動を制御する方法を、ライブラリを利用したり、プログラムを組んで学びます。
おすすめのE資格トレーニング方法①eラーニング
E資格は、受験の前提条件となる講座の受講が求められますが、単に講座を受講するだけでなく、トレーニングを積むことが合格のカギとなり、その後の仕事にも生きてきます。E資格取得のトレーニングでおすすめの方法の一つが、eラーニングです。
中でも、初心者の方が基礎を学びつつ、E資格の受験要件を満たすようトレーニングができるのが、AI研究所が開催する「E資格対策ディープラーニング短期集中講座」です。
こちらは、講座自体が、受験資格に必要なJDLA認定のものとなっています。講座を修了すると、E資格受験資格を得られるだけでなく、短期間に一定レベルまで達することが可能です。
知識が全くないところから始められ、修了率も99パーセント以上となっていることから、手厚いサポートを期待できます。受講料が低く抑えられているのも、こちらの講座の特徴です。なお、こちらの講座はeラーニングのほか、会場受講やオンライン受講も設けられています。
対面の方が安心という人、自分のペースで学びたい人のための選択肢も設けていて、自分に合った仕方でトレーニングできるようになっています。
すでに基本的な知識の習得し、プログラミング言語の基礎を身に着けている人は、より実践的な内容にフォーカスして、繰り返しトレーニングできるeラーニングがよいかもしれません。実践的な内容が学べる点が人気なのが、同じくAI研究所の「AIエンジニア育成講座」です。
実務で使える技術や活用方法の習得を意識した内容となっているので、AIエンジニアとしての基礎を学んでからE資格を受験したい人に向いています。目安となる学習期間は、応用レベルまで3ヵ月程度ですが、1年間、繰り返し視聴できるので、何度もトレーニングを重ねるのに適しています。
おすすめのE資格トレーニング方法②書籍
そのほかのトレーニング方法として、前提となる知識を得るのに役立つ参考書や専門書を読むことができます。また、ウェブなどで掲載されているE資格に資する動画の活用もよい方法です。
これらの方法は、自分のペースでトレーニングができる利点がありますが、一人で学習を進めると、つまずいた点をなかなか克服できない場合があります。
さらに、対面式の講座を受けて、トレーニングする方法もあります。トレーナーともいうべき講師からアドバイスや学びを得られることで効果が高いトレーニングができますが、場所によっては通いづらかったり、学業や仕事で忙しい人はスケジュール的に難しい場合があります。
総合的に考えると、教育者と学習者の双方向でのコミュニケーションが可能で、より学習時間を確保できるeラーニングは、E資格のトレーニングに最適といえるかもしれません。
E資格合格に役立つ参考書はこちらの記事で解説しています。
おすすめのE資格トレーニング方法③動画
最近ではYouTubeなどでE資格で出題される機械学習や深層学習に関する解説動画が数多く公開されています。E対策講座や参考書だけでは理解しにくい分野があれば、YouTubeで該当する内容の動画を探して視聴してみるといいでしょう。
またYouTubeには倍速再生機能がついていますので、短時間で内容を復習したいときに活用するといいでしょう。
おすすめのE資格トレーニング方法④仕事での活用
もしお仕事でプログラミングをする機会があれば、実際にコードを書いてみるのもいいでしょう。コードを書いても動作しないことがあれば、自分で要因を調べていくうちにさまざまな知識が自然と頭に入ってきます。
コードが苦手な方は、AI研究所のE資格対策などで知識を学ぶことをおすすめします。
E資格の合格率はどれくらい?
E資格の合格率は、6割から7割で推移しています。最新の2024#1では合格率は72.61%となっています。
参考:「E資格(エンジニア資格)2024#1」結果発表。(1,194名が受験し、867名が合格)
難易度が高い試験ですが、これだけの合格率を誇っているのは、受験者に特徴があります。E資格の受験者となっているのは、すでにAIエンジニアとして活躍している方や、人工知能の研究者が多く、一からE資格を勉強している学生などは少数派です。
専門知識を持つ人や実務に携わっている人が多く受験していることを考えると、合格率が上がるのは当然といえるでしょう。
すでに人工知能分野に携わっている人がE資格を取得することには、大きなメリットがあります。E資格に合格すると、合格証となるロゴマークを使うことができます。
研究や実務に携わっている人は、自分の名刺などにロゴマークを付すことで、機械学習やディープランニングの知識や技術レベルを示せる点をメリットとして、E資格取得に動いていると言えるでしょう。
さらに、E資格の受験条件も、合格率にかかわっているかもしれません。E資格は、試験を受ける前提として、一般社団法人日本ディープランニング協会が認める「JDLA認定プログラム」を修了しなければなりません。
指定のプログラムは、試験日の過去2年以内に修了している必要があるため、受験資格を持つ人を限定し、受験者の質を高めています。最新の知識を持ち合わせている人がE資格を受験することになるため、合格率が上がる傾向が見て取れます。
E資格取得に効果的なトレーニング方法まとめ
E資格は、AI開発に必要な機械学習の知識や技術レベルを認定する試験です。すでに人工知能開発に携わっている人が多く受験しているため合格率は高めです。
一から学んでE資格合格を目指す場合は、シラバスに記載の応用数学に関係する数式や、機械学習に必要なアルゴリズムについて学んでおくとよいでしょう。
E資格のトレーニングには、初心者向け・実践重視の人向けの2種類を用意している、AI研究所のeラーニングが特におすすめです。ぜひこの機会にE資格取得に向けてトレーニングしてみてください。