生成AIの応答精度を飛躍的に向上させるMCP。ChatGPT「Deep Research」機能にも関わるほど、その注目度は絶大です。
しかし、「MCPという概念や仕組みが理解しにくい」という声も少なからず耳にします。
そこでこの記事では、MCPを初心者向けにわかりやすく解説します。
生成AIとの関係やPythonを使った実装方法まで幅広く解説するので、AIの可能性を知りたい方、AIで業務を効率化したい方はぜひ参考にしてください。
MCPとは

MCPは「Model Context Protocol」の略で、生成AIに外部の情報を与えるための共通ルールです。MCPは、その名が示す通り以下の3要素で成り立っています。
・Context:文脈(生成AIが回答を生成するために必要な関連情報)
・Protocol:規約(関連情報を収集・管理するためのルールや手順)
まずは、MCPについて以下の2つのポイントから解説しましょう。
- 主要なAI開発企業が続々とMCPを採用
- MCPの仕組み
①主要なAI開発企業が続々とMCPを採用
MCPは、2024年11月に生成AI「Claude」で知られるAnthropicが発表しました。
その後、OpenAIやMicrosoft、Google、AWSといった巨大AI・IT企業が次々に採用を表明し、わずか半年ほどでAIアプリケーション開発における事実上の共通基盤へと成長しています。
主要な動きは次の通りです。
| 発表時期 | 企業名 | 主な発表内容 |
| 2025年3月 | OpenAI | Agents SDKやResponses APIにMCPを統合 |
| 2025年4〜5月 | GoogleのGeminiモデル・SDKでの対応を表明 | |
| 2025年5月 | Microsoft | Windows 11へのMCPネイティブ統合を発表 |
| 2025年5月 | AWS | AWSサービス向けのMCPサーバー群を公開 |
このように、時期を同じくして従来競合関係にある大手4社が一斉に採用したことからも、「MCP業界標準化」の潮流がいかに時代を席巻しているかうかがい知れるでしょう。
②MCPの仕組み

MCPの仕組みは、クライアント、ホスト、サーバーという3つの要素が連携して成り立っています。具体的な連携の流れは、以下の通りです。
- MCPクライアントがユーザーの依頼を受け取る
- その依頼はホスト(AIとの窓口)に伝えられる
- AIが内容を理解し、具体的な作業をMCPサーバーに指示する
- MCPサーバーが作業を実行する
MCPサーバーは、インターネットのウェブサイトの閲覧や、PC内のファイルにアクセスするなどの作業を行います。
MCPサーバーは、GitHubやNotion、MySQLなど用途に合わせて様々な種類があります。
以下の記事では、おすすめのMCPサーバーを複数ご紹介しています。MCPサーバーの仕組みやメリットもわかる初心者向けのおすすめ記事です。
MCPと生成AIとの関係

MCPと生成AIは、お互いの機能を補完し合う関係にあります。
ここでは、「MCPと生成AIがそれぞれが受け取るもの」に着目して解説しましょう。
- 生成AIがMCPから受け取るもの
- MCPが生成AIから受け取るもの
①生成AIがMCPから受け取るもの
生成AIは、まずユーザーからの指示を受けて戦略や判断を行います。
そして、その思考を現実に反映させるための手段と情報をMCPから受け取ります。例えば、以下のような内容です。
- Webサイトへのアクセス権(必要な情報をインターネット上から取得)
- 外部データベースへのアクセス権(顧客情報や在庫データなど、システム内の情報)
- アプリケーション操作の手段(カレンダーに予定を入れる、メールを送信する)
- センサーやIoTデバイスの情報(温度や位置情報などリアルタイムのデータ)
これらの機能連携により、生成AIは思考ツールの枠を超え、現実世界で具体的な行動を起こす「力」を獲得するのです。
②MCPが生成AIから受け取るもの
MCPは、生成AIの思考や判断を現実に実行するための命令を受け取ります。
この際、「何をすべきか」や「どのように動くべきか」といった具体的な行動内容が指示されます。指示の例を以下に挙げてみましょう。
- 最新の株価情報をWebサイトから取得せよ
- 文書内の顧客情報だけを抜き出してデータベースに保存せよ
- A地点の気温をセンサーから取得せよ
- 顧客からの問い合わせに自動で返信せよ
このように、MCPは生成AIが下した戦略や判断を、具体的なタスクに落とし込んだ指示として受け取ることで、AIの思考を現実に反映させる「実行役」として機能するのです。
MCPとAPI・RAGの違い
MCPは、APIやRAGといった技術と混同されることがよくあります。ここでは、MCPがこれらとどのように異なるのか、それぞれの関係性を詳しく解説しましょう。
- MCPとAPIの違い
- MCPとRAGの違い
①MCPとAPIの違い

まずは、MCPとAPIの違いから見てみましょう。
MCPとAPIの違いは、個別対応か共通対応かです。つまり、提供する機能が異なります。
API
API(Application Programming Interface)は、「それぞれのサービス専用のボタン」のような機能を持つツールです。
例えば、天気アプリは天気API、SNSアプリはSNS APIを使う必要があります。新しいサービスを追加すると、そのたびに別のボタンや設定を作らなければいけません。
MCP
一方、MCPは、「どのサービスにもアクセスできる共用道路」のような機能があるツールです。
AIはこのルールに従うだけで、Webサイトもファイルも同じ方法で扱えます。新しいサービスが増えても、設定を一から作る必要がなく、スムーズに対応できるのがメリットです。
②MCPとRAGの違い

MCPとRAGはどちらも生成AIの能力を高める技術ですが、それぞれ得意なことが異なります。
| 技術名 | 得意なこと |
| RAG |
|
| MCP |
|
なお、近年注目を集めている検索型生成AI・PerplexityはRAGの技術を中核としています。
RAG
RAG (Retrieval-Augmented Generation) は、AIが答えを出す前に、外部の情報源から関連する情報を探し出して、その情報をもとに回答を作る技術です。これにより、AIは最新の情報や正確な知識を基に応答を作成できるようになります。
MCP
MCPは、AIが外部と連携するための「共通のルール」や「全体的な枠組み」です。RAGのように特定の情報を検索するだけでなく、ユーザーとのこれまでの対話履歴や、タスクの進行状況など、AIが「今何をしているか」という全体の状況(コンテキスト)を管理します。
このように、MCPはAPIやRAGといった技術とは異なる特性を持ち、AIの自律的なタスク実行を可能にします。この技術は、企業のDX加速化に大いに役立つスキルです。
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MCPのメリット

ここでは、MCPがもたらす具体的なメリットを、作業自動化とビジネスシーンでの活用例に分けて解説します。
- MCPを使った作業自動化
- AI・IT業界でのメリット
①MCPを使った作業自動化
MCPの最大のメリットは、生成AIが扱えるデータの範囲を大幅に広げられることです。
これまでのAIは、学習したデータや、入力されたテキストの中だけでしか情報を扱えませんでした。しかし、MCPを使うことで、AIは以下の作業を自動で行えるようになります。
- 「Googleで〇〇を検索して」といった指示で、AIが自動で情報を収集
- PC内にあるファイルやドキュメントを読み込み、内容を分析・要約
このように、MCPと生成AIが連携すれば、AIが自ら必要な情報を探し、整理してくれるため、人間が情報を一つ一つ教えなくて良くなります。
②AI・IT業界でのメリット
MCPは、実際のビジネスシーンで大きなメリットをもたらします。ここでは、AI・IT業界にスポットを当てて具体的なメリットを見ていきましょう。
| 業種 | MCPの活用方法 | 具体例 |
| ソフトウェア開発 | AIがGitHubの最新コードや社内ドキュメントを参照 |
|
| マーケティング | AIが競合他社のWebサイトを自動で巡回・情報取得 |
|
| データサイエンス | AIが複数のデータベースからデータを抽出・整形 |
|
このように、MCPを使うことにより、面倒なデータ収集や下準備といった単純作業から解放されます。「より本質的な業務に集中したい」というIT・AI担当者にとってメリットの多いツールといえるでしょう。
MCPのデメリット
MCPは、生成AIの力を大きく広げてくれる一方で、セキュリティ面でのリスクも抱えています。
- 任意プログラム実行のリスク
- MCPの仕組みを悪用した高度な攻撃
- ActiveXとの類似性
①任意プログラム実行のリスク
MCPサーバーは、AIがパソコンにインストールされている多様なソフトを呼び出せる仕組みを備えています。この柔軟さは生成AIの可能性を広げる一方で、セキュリティリスクとも隣り合わせです。
特に、出所が不明なMCPサーバーをインストールしてしまった場合、以下のような被害が想定されます。
- 情報漏洩(保存されている個人情報やパスワードが盗まれる)
- 不正操作(悪意あるソフトを起動される)
この「自由に実行できる」仕組みは強力ですが、同時に脆弱性にもなり得るのです。
②MCPの仕組みを悪用した高度な攻撃
MCPの柔軟な構造は、攻撃者にとっても利用価値があります。特に危険なのは、一見正規に見えるサーバーやプロンプトが、裏で悪意ある命令を仕込んでいるケースです。
その結果、ユーザーが気づかないうちに以下のような被害が発生する可能性があります。
- 別の悪質なMCPサーバーを自動で起動させ、感染を拡大させる
- プロンプトに隠された命令を実行させ、意図しない操作を強制される
こうした手口は年々巧妙化しており、知らないうちに被害が広がる危険性を孕んでいます。
③ActiveXとの類似性
MCPは、かつて存在したActiveX技術と似ています。
ActiveXも「ウェブ経由で任意のプログラムを実行できる」という高い利便性を持っていましたが、その裏でウイルス感染や情報漏洩が多発し、大きな問題となりました。
MCPも同じく、現時点では「便利さ」と「リスク」が表裏一体の技術です。こういったリスクを軽減するためにも、信頼できるサーバーを利用し、権限を厳格に管理することを心がけて活用しましょう。
PythonでのMCP実装方法

MCPサーバーは、Webアプリケーション開発で広く使われているPythonやTypeScript向けのSDKを使えば、比較的簡単に実装できます。
ここでは、その具体的なイメージを掴んでいただくために、「今日の東京の天気予報を調べて」というユーザーの指示を、LLMがMCPを介して実行する一連の流れをPythonコードで見ていきましょう。
- MCPホスト (LLM側)
- MCPサーバー(実行環境側)
- MCPプロトコルでのデータ連携
なお、以下のPythonコードは簡易イメージとしてご参照ください。
① MCPホスト (LLM側)
LLMは、ユーザーの依頼を解釈し、MCPサーバーに実行してほしいタスクをJSON形式で指示します。
import json
# LLMが生成するMCPリクエスト
mcp_request = {
“method”: “get_weather”,
“params”: {“city”: “東京”}
}mcp_input = json.dumps(mcp_request)
print(f”LLMが生成した指示: {mcp_input}”)
②MCPサーバー)実行環境側)
MCPサーバーは、LLMから受け取った指示(JSONデータ)を解析し、それに対応するPython関数を実行します。
import json
def get_weather(city):
“””天気予報を取得する関数”””
return {“city”: city, “forecast”: “晴れ”, “temperature”: 25}def handle_mcp_request(request_json):
“””MCPリクエストを処理”””
data = json.loads(request_json)
if data[“method”] == “get_weather”:
result = get_weather(data[“params”][“city”])
return json.dumps(result)
return json.dumps({“error”: “Unknown method”})# MCPリクエストを処理
output = handle_mcp_request(mcp_input)
print(f”MCPサーバーの実行結果: {output}”)
③MCPプロトコルでのデータ連携
最後に、MCPプロトコルを通じて取得したデータをLLMが処理し、ユーザーに分かりやすい応答を生成します。
def format_response(result_json):
“””MCPの結果をユーザー向けに整形”””
data = json.loads(result_json)
return f”{data[‘city’]}の天気は{data[‘forecast’]}、気温は{data[‘temperature’]}°Cです。”final_answer = format_response(output)
print(f”ユーザーへの回答: {final_answer}”)
このように、MCPサーバーはPythonを使って実装することができます。
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以下の記事では、Pythonを使ったMCPの実装方法を詳しく解説しています。
開発環境の準備から丁寧にお伝えしているので、Python初心者の方でもスムーズに理解できるおすすめ記事です。MCPの実装に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
MCPについてまとめ
MCPは、リリース間もない新技術にもかかわらず、Googleなどの大手企業も採用する画期的な技術です。
業務効率化に大きな効果を発揮しますが、反面、セキュリティリスクもはらんでいます。安全に利用するためにも、MCPサーバーを利用するなど、正しい知識を身につけることが重要です。






