【2026】Agentic AIとは?生成AIとの違い・代表ツール・導入ステップを解説

生成AIの活用が進む一方で、「結局、最後の実行は人間が行っている」「指示を出す手間が減らない」と感じている方も多いのではないでしょうか。そうした課題を解消する手段として注目されているのが、判断から実行までを自律的に担うAgentic AIです。

本記事では、Agentic AIとは何なのかという基礎から、リスクをおさえながら導入を進めるための導入ステップまで解説します。Agentic AIを業務にどのように取り入れるべきか検討している方は、導入判断の材料として活用してください。

Agentic AIとは

Agentic AIとは

2024年以降、生成AIの次なるトレンドとしてAgentic AIが急速に社会実装され始めています。まずは、Agentic AIについて以下の4つの観点から解説します。

  • Agentic AIの意味と定義
  • Agentic AIとAI Agentの違い
  • 生成AIとの違い
  • 自律動作の仕組み

それぞれの詳細について、順に見ていきましょう。

Agentic AIの意味と定義

Agentic AIとは、あらかじめ設定された抽象的な目標に対し、自律的に思考・計画し、外部ツールを用いてタスクを完遂するAIシステムのことです。

OpenAI関係者の発言や海外メディアの報道によると、OpenAIではAGI(汎用人工知能)への進化を5段階で捉える評価フレームワークが論議されており、現在主流のチャットボットはレベル1、Agentic AIは「推論者・エージェント」に相当するレベル2~3に位置づけられるとされています。

Agentic AIの最大の特徴は、AI自身が主体性を持って行動できる点です。従来のAIが人間からの指示を待つ受動的なツールであるのに対し、Agentic AIはゴールを共有するだけで、その達成に必要な手段を自ら考え、計画し、実行します。

Agentic AIは単なる業務効率化ツールではなく、人間と協働して業務を遂行する自律的パートナーとして定義されます。

Agentic AIとAI Agentの違い

Agentic AIとAI Agentは頻繁に混同される用語ですが、ビジネスや実務の文脈では、ほぼ同義と捉えて問題ありません。ただし、厳密には文脈によってニュアンスに違いがあります。

項目Agentic AIAI Agent
定義自律性やツール連携を含むシステム全体・概念自律的に動作する個別のプログラム
対象技術トレンドやアーキテクチャの総称特定の役割を持つエージェント単体
使用例
  • Agentic AIの導入
  • 自律型ワークフロー構築
  • 旅行予約エージェント
  • コーディング用エージェント

ビジネスの現場では、全体設計や戦略レベルの話題ではAgentic AI、具体的な機能やbotを指す場合はAI Agentと使い分けると、認識のズレが起きにくくなるでしょう。なお、AI Agentの仕組みや活用例については、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。

【2026】AI エージェントとは?その仕組みや特徴・生成AIとの違いを詳しく解説

生成AIとの違い

従来の生成AI(LLM)とAgentic AIの違いは、動作が受動的か能動的かです。生成AI(例:ChatGPT)は、指示や質問に対して回答を生成するのが役割ですが、Agentic AIは目標のために行動するのが役割です。両者の違いを実務的な観点で比較しました。

比較項目従来の生成AI(LLM)Agentic AI(エージェント型AI)
動作原理人間のプロンプトに反応目標に向けて自律行動
プロセス単発の回答で終了計画→実行→修正の連続ループ
外部連携限定的(プラグイン等)積極的(API、ブラウザ操作等)
位置づけ賢い辞書・アシスタント自律的な社員・パートナー

例えば、生成AIに競合の価格調査を頼んでも、学習データになければ回答できません。一方、Agentic AIは自らWebブラウザを立ち上げて検索し、最新情報をスプレッドシートにまとめるところまで完遂します。生成AIが思考や創造に特化しているのに対し、Agentic AIは実行や課題解決に特化しています。

自律動作の仕組み

Agentic AIの自律動作は、一般的に以下の4つのプロセスを高速でループさせることで実現されています。(ReActなどの手法)

プロセス内容
知見(Perception)目標や環境情報(ログ・API結果など)を取得
推論・計画(Reasoning)目標達成に必要な手順とツール使用順を決定
実行(Action)APIやブラウザなどの外部ツールを操作
適応・反省(Reflection)結果を評価し、計画を修正して再実行

Agentic AIの自律動作は、実行履歴や評価結果を次の推論に反映させる仕組みが採用されています。

従来のプログラムではエラーが発生した時点で処理が停止していましたが、Agentic AIは「振り返りと修正」のプロセスを持つため、自ら軌道修正しながらゴールへと到達できるのです。

【業界・機能別】Agentic AIのユースケース

Agentic AIは、すでに概念実証(PoC)の段階を超え、実業務での複雑なワークフローを自律的に処理し始めています。従来のAIでは人間の介入が必須だった工程を、Agentic AIがどのような代替・自動化しているのか、主要な6つの領域におけるユースケースをまとめました。

業界・機能主な自律アクション主な成果
サイバーセキュリティ脅威検知・隔離・パッチ適用初動対応の高速化と人的ミス削減
ソフトウェア開発コード生成・テスト・デプロイ開発サイクル短縮と負荷軽減
カスタマーサポート回答・返金・配送変更の自動処理解決時間短縮とエスカレーション削減
バックオフィス経費処理・会計登録の自動化決算早期化と入力工数削減
サプライチェーンルート・発注の動的最適化在庫最適化とリスク回避
医療・研究開発文献探索・候補絞り込み開発高速化とコスト削減

Agentic AIの活用範囲は単なる情報の整理にとどまらず、判断と実行を含む業務単位での自動化へと広がっています。

Agentic AIを導入するメリット

Agentic AIを導入するメリット

Agentic AIの導入は、単なる作業の効率化にとどまらず、ビジネスプロセスそのもののあり方を変革します。企業がAgentic AIを導入する主なメリットは以下の3点です。

  • 業務の実行・完遂まで自動化できる
  • 感情に左右されず迅速に意思決定できる
  • 生産性を大幅に向上できる

それぞれ解説します。

業務の実行・完遂まで自動化できる

Agentic AI導入の最大のメリットは、提案や下書きにとどまらず、実作業の完了まで自動化できる点です。従来の生成AIやチャットボットは、回答を生成した後に人間がコピペやシステム入力を行う必要がありました。

しかし、Agentic AIはAPIやブラウザ操作を通じて、メールの送信・コードのデプロイ・経費の承認といった最後のアクションまでを自律的に遂行します。これにより、人間は作業者ではなく、AIの成果を確認する承認者としての役割に集中できます。

感情に左右されず迅速に意思決定できる

Agentic AIは疲労や感情、認知バイアスに影響されることなく、データにもとづいた論理的な意思決定を24時間365日実行できます。例えば、サイバー攻撃を受けた際の初動対応において、人間であればプレッシャーによる判断ミスや遅延が起きる可能性があります。

一方、Agentic AIであれば、あらかじめ定められたセキュリティポリシーとリアルタイムのログにもとづき、即座に感染端末の隔離や通信遮断を判断・実行することが可能です。判断の遅れやミスによる損害拡大を防ぎ、いつトラブルが発生しても標準化された対応品質を維持できる点は、事業継続の観点でも大きな強みです。

生産性を大幅に向上できる

Agentic AIは、複数のエージェントを並列に稼働させることで、人間の作業では対応が難しい規模の処理を同時に進められる高いスケーラビリティを備えています。人間が1件ずつ順番に処理しているタスクでも、Agentic AIであれば、数百~数千件規模の問い合わせ対応やデータ分析を並行して実行することが可能です。

これにより、単なる労働時間の削減にとどまらず、業務全体の処理スピードや意思決定の回転率を大きく高めることができます。採用難や人手不足といった課題があっても、デジタルな労働力を活用することで、企業は人員を増やすことなく、生産性を維持・拡大し続けることが可能です。

Agentic AI導入の課題とリスク

Agentic AIは強力な自律性を持つ反面、高い自律性こそが新たなリスクを生む可能性があります。Agentic AI導入時に、特に注意すべき課題は以下の3点です。

  • 誤判断で勝手に業務を実行してしまう
  • 情報漏洩やセキュリティ侵害を招く
  • ミス発生時の責任の所在が不明確になる

これらのリスクを正しく理解し、適切なガバナンスを構築することが、安全な運用に欠かせません。それぞれ詳しく解説します。

誤判断で勝手に業務を実行してしまう

Agentic AI最大のリスクは、AIのハルシネーションや判断ミスが、テキスト上の誤りにとどまらず、実害をともなう誤った行動に直結することです。従来のチャットボットであれば、間違った回答をしても人間が確認して修正すれば済みました。

しかし、Agentic AIは、メールの送信・発注の確定・データの削除といった実務権限を持たされるため、AIが判断を誤ると誤発注や重要ファイルの削除など、取り返しのつかない事故につながる恐れがあります。

そのため、決済や外部送信などの重要なアクションの直前には、必ず人間が承認を行うヒューマン・イン・ザ・ループの仕組みを組み込む設計が不可欠です。

AIの暴走を防ぎ正しく軌道修正するスキルを学ぶなら

生成AIセミナーAgentic AIは自律的に動くからこそ、間違った判断をした際に、人間が即座に論理的なフィードバックを行い、軌道修正する必要があります。そのため、AIに対して、「どこがどのように間違っているのか」を的確に伝える指示出しのスキルが求められます。

Agentic AIの誤判断を正しく軌道修正する指示の出し方を学ぶなら、以下のような短期集中型のセミナーがおすすめです。以下の生成AIセミナーは、生成AIの基礎から応用まで、業務に活かせるスキルが身につくと高評価です。

セミナー名生成AIセミナー
運営元GETT Proskill(ゲット プロスキル)
価格(税込)27,500円〜
開催期間2日間
受講形式対面(東京・名古屋・大阪)・eラーニング

情報漏洩やセキュリティ侵害を招く

Agentic AIに社内システムへのアクセス権限を与えることで、サイバー攻撃の対象が広がるリスクもあります。特に懸念されるのが、プロンプトインジェクションと呼ばれる攻撃です。これは、外部からの悪意ある命令をAIが読み込んでしまい、「社外へ機密データを送信せよ」といった指示を自律的に実行してしまう現象を指します。

人間なら怪しいと気づける指示でも、Agentic AIは忠実に実行してしまう危険性があるのです。対策として、Agentic AIに与える権限は必要最小限にとどめる「最小特権の原則」を徹底し、不審な挙動を監視するサンドボックス環境での運用が求められます。

ミス発生時の責任の所在が不明確になる

Agentic AIが自律的に行った判断で損害が発生した場合、「誰がその責任を負うのか」という法的な境界線が不明確であることも導入の課題です。

例えば、在庫管理エージェントが誤って大量の商品を発注し、企業に大きな損失を与えた場合、その責任はAIベンダーにあるのか、運用を行ったユーザーにあるのか、あるいはAIの自律的な判断として扱われるのか、現行法では判断が難しいケースが存在します。

Agentic AIの導入にあたっては、ベンダーとの契約内容を入念に確認するとともに、社内で「Agentic AIにどこまで任せるか」という責任範囲のガイドラインを明確に策定しておくことが不可欠です。

Agentic AIの代表的なツール・プラットフォーム

Agentic AIを活用するためのツールやプラットフォームは、開発者向けから企業向け、特定業務に特化したものまで多岐にわたります。ここでは、利用者の立場や目的に応じて、代表的なAgentic AIツールを以下の3つに分類して紹介します。

  • 開発者向け:開発フレームワーク
  • 企業・運用者向け:クラウドプラットフォーム
  • 特定業務向け:特化型エージェントツール

ぜひ、自社の活用フェーズに合った選択肢を検討する際の参考にしてください。

開発者向け:開発フレームワーク

高度な制御やカスタマイズが必要な場合は、開発者向けフレームワークが最適です。エージェントの思考プロセスや実行フローをコードで定義でき、独自要件に柔軟に対応できます。近年は研究用途だけでなく、業務システムのバックエンドに組み込まれるケースも増えています。

ツール名提供先位置づけ主な用途・強み
LangGraphLangChain社開発者向けAgentic AIフレームワーク複雑な処理フローを定義可能
AutoGenMicrosoft研究・開発向けAgentic AI基盤マルチエージェント対話
CrewAICrewAI社軽量Agentic AIフレームワーク役割分担型自動化

独自要件が多く、Agentic AIの挙動を制御したい場合に適しています。

Agentic AI開発の基礎となるPythonスキルを身につけるなら

Python基礎セミナー講習LangGraphやAutoGenなどの開発フレームワークは、いずれもPythonベースで動作します。自在にカスタマイズするには、Pythonのプログラム知識が必要です。AIをブラックボックスにせず、エージェントの挙動を意図通りに制御したい方は、言語の基礎を習得してみてはいかがでしょうか。

Pythonの基礎知識をマスターしたい方は、以下のような短期集中で効率良く学べるセミナー受講もおすすめです。以下のPython基礎セミナーは、初心者でも短期間でPythonを業務で使えるスキルを習得できると人気です。

セミナー名Python基礎セミナー講習
運営元GETT Proskill(ゲット プロスキル)
価格(税込)27,500円〜
開催期間2日間
受講形式対面(東京・名古屋・大阪)・ライブウェビナー・eラーニング

企業・運用者向け:クラウドプラットフォーム

インフラ管理を行わずにAgentic AIを導入したい企業には、クラウド型プラットフォームが有効です。セキュリティや権限管理が整備されており、既存の業務データともスムーズに連携できます。情シス部門が主導し、ガバナンスを効かせて全社展開するケースと相性が良いのが特徴です。

サービス名提供元位置づけ主な用途・強み
AgentforceSalesforce業務部門向けAgentic AICRM連動の自律エージェント
Vertex AI AgentsGoogle CloudIT部門向けAgentic AI社内データ×Gemini
Azure AI AgentMicrosoft大企業向けAgentic AIMicrosoft 365連携

既存資産を活かしながらAgentic AIを展開したい企業に向いています。

特定業務向け:特化型エージェントツール

特定業務で即効性を求める場合、特化型エージェントツールがおすすめです。開発や複雑な設計を必要とせず、導入直後からAgentic AIに実務を任せられます。小規模なPoCとして導入し、効果を検証する用途でも活用されています。

ツール名提供先位置づけ主な用途・強み
DevinCognition開発特化型Agentic AI開発工程を自律実行
GleanGlean社社内検索特化Agentic AISaaS横断検索
SierraSierra社CS特化Agentic AI返金・契約変更を自律処理

開発リソースが限られている企業でも導入しやすい選択肢です。Agentic AIは、作る・運用する・任せるという立場によって最適なツールが異なります。自社がどのフェーズにいるのかを見極めたうえで選定することが、Agentic AI導入で失敗しないコツです。

Agentic AI導入の3ステップ

Agentic AIの導入を成功させるには、いきなり全社展開するのではなく、段階的なアプローチが不可欠です。ここでは、リスクを最小限におさえつつ、着実に成果を出すための導入フローを以下の3ステップで解説します。

  1. リスクの低い社内業務からPoCを始める
  2. 開発フレームワークかクラウド製品か選定する
  3. ガバナンスを決めて監視できる状態で運用する

これらの手順を踏むことで、手戻りを防ぎながらAgentic AIの実装を安全に進められます。

①リスクの低い社内業務からPoCを始める

Agentic AIを導入する際は、リスクの低い社内業務からPoCを始めるのが現実的です。社内問い合わせ対応やデータ集計など、失敗しても顧客に直接的な影響がおよばない業務から検証を行います。誤動作やハルシネーションが起きた場合を想定し、影響が限定される業務の中で、Agentic AIに任せる範囲を試しながら確認していきます。

②開発フレームワークかクラウド製品か選定する

PoCで要件が固まったら、自社のリソースに合わせて実装手段を選定します。独自の業務フローが必要な場合は開発フレームワーク、導入スピードを優先するならクラウド製品が適しています。「作る・運用する・任せる」の選択肢から、自社の課題に合致する手法を決定しましょう。

③ガバナンスを決めて監視できる状態で運用する

本格運用の際は、Agentic AIの権限範囲を明確に定め、人間が常時監視できるガバナンス体制を構築します。特に決済や外部送信などの重要アクションについては、実行前にヒューマン・イン・ザ・ループを組み込むことが欠かせません。

あわせて、実行ログを取得・確認できる状態にし、想定外の挙動が起きた際にもすぐに対応できる環境を整えておきましょう。なお、Agentic AIのような自律型AIを導入する際には、ガバナンスやリスク管理の観点でおさえておくべき注意点があります。具体的なポイントについては、以下の記事も参考になります。

【2026】自立型AIとは?導入のメリットや6つの注意点をわかりやすく解説

Agentic AIについてまとめ

Agentic AIは、生成AIの延長ではなく判断と実行を担う自律型技術です。高い自律性を持つ一方で、運用には適切なガバナンスとリスク管理が欠かせません。「導入すれば即効果がでる」ものではないため、まずはPoCで有効性を検証し、どの業務を任せるべきかを見極めることが重要です。

ぜひ本記事を参考に、Agentic AIの導入を自社の課題に照らして検討し、業務効率化につなげてください。

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