最近、SNSでジブリ風やアニメ風のアートを見かけることが増えました。ChatGPTが作る画像は、一見オリジナルのようですが、実際にはどこかで見たことあるようなテイストを真似してることも多いです。
それをSNSにアップするだけならまだしも、商用利用しようとするなら、著作権侵害になるリスクも考えられるのです。
そこで今回は、ChatGPTで著作権侵害しないために、ビジネス利用する際のポイントや対策をご紹介します。
ChatGPTとは
ChatGPTはOpenAIが開発したAI(人工知能)のことです。会話ができるAIとして広く知られており、ユーザーが質問すると、自然な返事が返ってくるのはもちろん、人間のような文章を生み出したり、画像を作ってくれたり、他にもさまざまなことができます。
だからこそ、気をつけたいのが著作権侵害。そのため、ChatGPTが作ったコンテンツが本当にオリジナルなのか、著作権を侵害していないかを確認する必要があるのです。
特に、営利目的で使おうとするならなおさらです。もし、誰かの著作権を侵害していたとしたら、トラブルに発展することもあるため、自分の目でもきちんとチェックすることがこれからの時代はより重要なのです。
ChatGPTの料金については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。
著作権とは
著作権は、創作者の権利を守るためのルールです。通常、文章や音楽、絵画、映画、写真などの創作物には自動的に「著作権」という権利が発生します。
登録しなくても権利が発生するのは良いことですが、それだけに気づかず侵害してしまうこともあるかもしれません。著作権には、大きく分けて「財産権」と「人格権」の2種類があります。
財産権 | 著作物をコピーしたり、公開したりする権利 |
人格権 | 著作者の名誉や意図を守るための権利 |
特に、商業利用に絡む部分が財産権です。基本的に、日本では創作者の死後70年間著作権が保護されるので、昔の作品でもまだ著作権が残っているケースが多いです。
ただし、創作者の死後70年が過ぎると著作物は誰でも自由に利用できる仕組みです。
生成AIと著作権の関係
生成AIは、ネット上のテキストや本、論文などをたくさん読み込んで学習します。しかし、その学習データには著作権で保護されたコンテンツが含まれる可能性があるのです。
日本では非営利目的や個人的な利用なら許容されるケースもありますが、商用利用となると話は別です。例えば、生成AIが作った小説やイラストを販売したり、 学習に使われたデータをコピーして再現するような生成物を出力したりしたら、それはアウトかもしれません。
ChatGPTのルールと注意点
OpenAIの利用規約では、ChatGPTを使って生成したコンテンツの利用権はユーザーに与えられるとされています。つまり、自分で作った文章やアートを自由に使って良いということです。
ただし、もちろん以下のルールもあります。
参照:利用規約|OpenAI
禁止行為
違法なコンテンツや有害なコンテンツを作成すること。著作権で保護されている作品をそのままコピーするのもNGです。
データを使用する際の注意
OpenAIは、ユーザーの入力データを学習に使わないとしていますが、商用利用の場合は特に規約を確認しましょう。また、企業向けプランと個人向けプランでも商用利用のルールが違う場合もあります。
ChatGPTで生成したコンテンツの著作権は誰のもの?
OpenAIでは、ChatGPTで生成したコンテンツの著作権はユーザーにあるとされています。しかし、それで安心してしまうのは少し危険かもしれません。そもそも、著作権は人間が創作した作品にしか認められない権利のはずです。
そのため、ChatGPTが作ったものは人間の創作した作品ではないと判断されるケースも考えられます。ChatGPTの生成したものが人間の創作として見なされるかどうかは、法律の捉え方でグレーになっていることがあるのです。
さらに、ChatGPTの生成物が他人の著作物を勝手に引用したり似すぎたりしていたら、悪気がなくても、著作権を侵害したと判断されてしまう可能性が高いでしょう。
ChatGPTで著作権侵害となる可能性が高いケース
ChatGPTを利用していて、意図せず著作権侵害になる可能性もあります。特に以下のようなケースには注意したほうが良いでしょう。
他者の著作物を再現してしまう
ChatGPTは、たくさんの情報から学んで新たなコンテンツを生み出すので、場合によっては有名な小説や歌詞のフレーズなどをうっかり再現することがあります。例えば、あるアーティストの歌詞に似たフレーズが出てきたり、有名な詩の表現をそのまま出したり。
それをそのまま自分の作品として使うと、思わぬトラブルにもなりかねません。
引用の範囲を超えてしまう
引用として認められる範囲を超えて、他者の著作物をそのまま使用することは著作権侵害になるでしょう。特に、営利目的で利用する際は、引用のルールを守る必要があります。
引用として利用する場合は、引用元を明示し著作権法で許容される範囲内で使用することが大切です。
改変や二次創作を行ってしまう
ChatGPTを用いて、元の作品の意図を無視して改変するのもトラブルの元です。一見、ちょっとしたアレンジのつもりでも、権利者からすれば「作品の世界観を壊された」と受け取られるケースも。
特に、改変したものを公開・販売してしまうと、リスクが一気に高まります。
既存の著作物と似通ってしまう
ChatGPTによって生成したコンテンツが、偶然似ていたとしても、似すぎると問題になる可能性があるでしょう。著作権侵害とまでは言えないかもしれませんが、類似性が高い場合は問題になることも把握しておきましょう。
ChatGPTの生成物をビジネス利用する際のポイント
ChatGPTで作ったコンテンツをビジネスに活用するには、いくつかの落とし穴もあります。特に著作権や法律まわりには気をつけたいところです。以下で、失敗しないためのポイントを見ていきましょう。
所有権を確認する
ChatGPTで生成したコンテンツの所有権は、基本的にユーザーにあるので、商用利用もOKです。ただし、先述したように、すべて自由に使えるとは限りません。
生成物がもし誰かの著作権を侵害していた場合、それを使うのはNGです。そのため、特にビジネス利用ではその内容をよくチェックしましょう。「念のため確認する」という小さな手間が、後で大きなトラブルを避ける鍵になります。
ブランドや著名人の名前は特に注意する
有名ブランドや名前が売れてる人の名前をコンテンツに使うときは、より慎重になった方が良いです。特に、マーケティングや広告で使う場合は、権利を持っている人や企業に許可を取っていないと問題になることも考えられます。
二次創作物になっていないか見極める
ChatGPTが生成したコンテンツが、既存の作品を参考にしてる場合もあり、元の作品の特徴が反映された生成物をそのまま使うと二次創作とみなされることもあります。
しかし、ChatGPTが引っ張ってきた情報がオリジナルかどうかという見極めは難しいかもしれません。例えば、有名なフレーズを意図せず使うことも考えられます。
そのため、なるべく自分の言葉で書き直したり、ソースがあるかどうか確認したりすることが大切です。
ライセンス契約にも目を通す
ChatGPT自体は便利なものの、利用規約やライセンス契約には気を配っておいた方がいいです。特に、APIを使ったサービスやアプリの開発を考えてるなら、目を通しておきましょう。
規約を守らないと、商用利用ができないケースもあります。少し手間ではありますが、ここをクリアにしておかないと後々トラブルになりかねません。
ChatGPTの著作権侵害を避けるための対策
ChatGPTは便利でクリエイティブなことができますが、その分いろいろ気をつけなければいけないことが多いです。特に著作権の問題は、うっかり見落とすと面倒なことになりがちです。
だからこそ、以下のような対策を考えておくことが大切です。
利用規約を確認する
ChatGPTを使うなら、利用規約を読んでおきましょう。OpenAIの規約には、生成されたコンテンツに対する所有権だけでなく、利用方法や範囲についての制約も含まれているので、意図せずルールを破ってしまわないよう、定期的に確認する癖をつけたほうが良いです。
特に、ChatGPTを商用利用や大きなプロジェクトで使用する場合は、以下の項目の確認をしっかり行いましょう。
API利用時のライセンス契約 | 商用利用する場合、利用範囲や制限が明確に決まっていることが多い |
禁止事項の確認 | 著作権侵害や不正利用に関する制約 |
更新情報の確認 | ChatGPTは進化が早いため、定期的に最新の規約を確認 |
生成物をチェックする
ChatGPTが生成したものをそのまま使うのは危ないこともあります。例えば、生成物が知らないうちに既存の作品と似すぎてたり、ブランド名や特定のフレーズを含んでいたりします。
特に、画像生成の場合は、特定のアーティストのスタイルを真似しすぎてないか確認することも重要です。
類似性の確認
有名な作品やブランド名、特定のフレーズが含まれていないかを確認する癖をつけましょう。
引用元の確認と明示をする
ChatGPTが出した文章の中に、もし誰かの著作物が引用されている場合は短いフレーズでもどこからの情報なのかという出典をはっきりさせておくことが大切です。引用元を明記せず公開してしまうと、思わぬトラブルに巻き込まれるリスクがあるからです。
コンテンツを手直しする
ChatGPTが出した文章をそのまま使うのではなく、自分の言葉で手直しすると著作権侵害のリスクの回避に繋がります。例えば、表現や言い回しを変えたり、自分の経験を混ぜたりすると、一気に自分らしい文章に変わってくれるでしょう。
特に記事やブログなどを書くときは、自分の考えや補足を重ねるのが理想的です。また、ツールで他人の著作物と被ってないかを確認するのもおすすめです。
ネット上の文章や既存のコンテンツと比較してチェックできるので、ひと手間かけるだけで安心感も増すでしょう。
著作権の知識をつけておく
ChatGPTを仕事で使うなら、著作権の基礎は押さえておくのがベターです。特に、商用利用を考えているなら、著作権の知識をしっかり押さえておくかどうかで、後々の安心感がまったく違ってきます。
とはいえ、法律というとハードルが高く感じる人も多いかもしれません。そんなときに役立つのが、生成AIに関する専門的な知識を分かりやすく教えてくれるセミナーです。
生成AIセミナー
生成AIセミナーは、生成AIの基礎知識はもちろん、利活用のガイドラインや使用上の注意点、情報漏洩リスクへの対応などもしっかり学べるセミナーです。知識を学ぶだけでなく、どう判断して、どう行動するかまで踏み込むので、学んだことがすぐ実践に活かせる感覚があります。
生成AIを使うことが当たり前になる時代だからこそ、ちゃんと理解して使えるようになっておく第一歩として、生成AIセミナーを活用してみるのも良いかもしれません。
セミナー名 | 生成AIセミナー |
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運営元 | ProSkilll(プロスキル) |
価格(税込) | 27,500円〜 |
開催期間 | 2日間 |
受講形式 | 対面(東京・名古屋・大阪)・ライブウェビナー |
オプトアウト申請を行う
もし、ChatGPTの学習データとして自分の入力データを使われたくないなら、オプトアウト申請をすることも可能です。特に、商用プロジェクトで重要な情報を扱うときは、手続きをしっかりやっておくと安心でしょう。
オプトアウトとは、自分の入力したデータを学習データとして使用しないようにすることです。基本的にOpenAIは、入力データを学習データとして用いることはないとしているものの、APIの利用条件や契約内容によっては違う場合もあります。
そのため、必要に応じてオプトアウト申請しておくと安心でしょう。オプトアウト申請は、OpenAIの公式サイトやAPIの管理画面からできます。
ChatGPTのAPIについては、以下の記事でも詳しくご紹介しています。
ChatGPTを安全に利用するには著作権を理解することが大切
今回は、ChatGPTで著作権侵害しないために、ビジネス利用する際のポイントや対策を解説しました。著作権は、なんとなく難しそうだし、堅苦しいイメージもあり、ついつい後回しにしがちです。
しかし、ChatGPTをビジネスで使いたい、商用利用したいと思っているなら、著作権侵害は避けて通れないポイントなのです。ChatGPTだけに限らず、生成AIを使う時は出典を明らかにしたり、利用規約を確認したり、生成した文章が他の誰かの権利を侵害してないかを確認することが重要です。
また、現在はOKでも今後も続くとは限りません。日本では2025年4月時点で、AIに関する法律は策定されておらず、ガイドラインも今後どんどん変わっていく可能性があります。
だからこそ、ニュースや公式情報を日頃からチェックしておくと、より安全にChatGPTと付き合っていけるでしょう。
