2020年代に入り、企業はDXの推進に向けて取り組みを強化しています。しかし、DXに必要な基礎や考え方が身につかない背景には、DX人材の不足が挙げられます。
そこで、企業におすすめとなるのが、DX人材向けの資格取得です。本記事では、DX人材向けに資格を取らせるメリットやおすすめの資格を厳選して紹介します。
DX人材に資格が必要な理由
ここでは、DX人材に資格が必要な理由を説明します。まず「DX」とは、「Digital Transformation(デジタル・トランスフォーメーション)」の略称です。日本語では「デジタル変革」と訳されます。DXは企業が競争に強みをもち、業務プロセスの改善やビジネスモデル改革の中で、企業経営を有利にすることです。そのため、DX人材は、IT技術をただ学んだ社員ではなく、DXにつながる知識を持ち、DXを推進できる実践的な人材といえます。
もちろん、DXと関連したAI(人工知能)やIoT、クラウド技術などの情報技術活用は、DX人材を育む上でが押さえておきたいものです。
DXで必要スキルは、次の3つに分かれます。
- 「デジタル技術」に関する知識
- 「業務知識」で、自分が関わる業界や職種の仕組みを理解していること
- 変革を推進する力
1つ目は「デジタル技術」に関する知識で、代表的なものに「AI」「IoT」「クラウド」「ビッグデータ分析」など具体的な情報技術のスキルがります。2つ目は「業務知識」で、自分が関わる業界や職種の仕組みを理解していることです。デジタルの知識だけではカバーできない部分でしょう。
3つ目は「変革を推進する力」です。新しいやり方を考え、関係者を巻き込みながら実行する力が求められます。例えば、製造業であれば、現場に「センサー」を設置してデータを収集し、不良品の発生を減らすための分析を行い、そこからビジネスモデルの変革まで提案できるのがDX人材です。小売業であれば、ネット販売と実店舗の在庫を一元管理する仕組みを作り、売れ筋を分析して商品配置を含めビジネスモデルの一部を改善するなどです。
どれか1つでもスキルが欠けると、DX人材としてはスキル不十分となります。そこで、資格が必要な理由は、IT関連の情報技術がDXと直結しているためです。これからはAIの時代ともいわれており、企業の変化もAIの技術発展に大きく左右されます。そのため、DX人材におすすめの資格の中には、AIやIT・情報技術系のものが多く含まれるのです。
DX人材が資格を取得するメリット
これらを学んで、DX人材が必要なスキルを重点的に身につける機会となります。一定のIT知識や情報技術・業務スキルの習得度合いを客観的に提示するためには、資格の取得が近道です。
例えば、国家資格の「基本情報技術者試験」では、プログラムやネットワーク、データベースなどの基礎知識を体系的に学べます。この資格に合格できれば、社内システムの構成やデータの流れを理解する土台となり、DXに向けたの業務の効率化や改善の提案を行うことができます。
また、民間資格は、知名度は低くてもITやクラウドサービスなど不足する特定の知識・技術を磨けます。特にDXの現場では、業務システムやサービスを「クラウド」に移行することが増えているため、クラウド関連の資格を別途取得しておくことも有効です。
このように、IT系の資格を取得することは、技術力の証明だけでなく、業務改善の提案力や社内での役割の幅を広げるためにも有効です。DX人材を目指す人にとって、資格取得はスタートラインに立つための1つの手段となります。
DX人材におすすめの資格8選
ここでは、DX人材におすすめとなる資格を厳選して紹介します。
①DX検定 | 一般社団法人日本イノベーション融合学会が実施している検定試験 |
②+DX認定資格 | 一般社団法人デジタルトランスフォーメーション推進協会(DX推進協会)が提供する実践面を重視した資格 |
③DS検定 | 「データサイエンティスト検定」の略称で、データサイエンティストとして必要な基礎的な知識を測るための資格試験 |
④ITパスポート | 日本の国家資格である情報処理技術者試験の一つで、情報技術(IT)の基礎的な知識を証明する資格 |
⑤G検定 | AI(人工知能)に関する基礎的な知識を問う資格試験 |
⑥基本・応用情報技術者試験 | 情報技術者としての基礎から応用までの知識や技術を証明する国家資格 |
⑦ITストラテジスト試験 | 情報処理技術者試験の中でも高度な資格 |
⑧AWS認定試験 | Amazon Web Services(AWS)のクラウドコンピューティングサービスに関する知識とスキルを証明するための資格試験 |
DX検定
「DX検定」とは、一般社団法人日本イノベーション融合学会が実施している検定試験です。正式名称は「デジタルトランスフォーメーション(DX)検定」です。この検定では、デジタル技術とビジネスモデルの両方に関する知識を幅広く問われます。
そのため、DX検定は技術知識とビジネス理解の両面を備える資格です。内容は実務とも結びついているため、基礎的なこと理解しながら実践にも活かせるスキルを身につけられます。
+DX認定資格
「+DX認定資格」は、一般社団法人デジタルトランスフォーメーション推進協会(DX推進協会)が提供する実践面を重視した資格です。この資格は、DXに関わるAIやクラウド、データ分析などのデジタル技術をどのように活用して業務改革を進めるかが問われます。これをビジネス視点でDX推進へ応用するための知識が必要です。
そのため、経営者や部門長が企業全体のDX戦略を策定・推進するためのエキスパート向けの難易度となります。資格取得後には、企業内でのDX推進担当や、DX戦略を担うリーダーとしてのポジションを目指すことができます。
DS検定
「DS検定」とは、「データサイエンティスト検定」の略称で、データサイエンティストとして必要な基礎的な知識を測るための資格試験です。
DS検定の受験者は、データを活用してビジネス課題を解決したいと考えている方に最適です。これには、IT部門のスタッフやデータ分析を活用した意思決定を行いたい経営者層も含まれます。DS検定の資格を取得して、データサイエンティストとしてキャリアを築きましょう。
ITパスポート
「ITパスポート」は、日本の国家資格である情報処理技術者試験の一つで、情報技術(IT)の基礎的な知識を証明する資格です。この資格は主に、ITの基本的な知識と情報技術の活用手段を身につけられます。そのため、デジタル技術の導入や運用に関する理解が深まるのです。最低限のIT基礎を身につけたDX人材を生み出し、DX推進の土台を築くことができます。
G検定
「G検定」とは、正式には「ジェネラリスト検定(Generalist Certification)」と呼ばれ、AI(人工知能)に関する基礎的な知識を問う資格試験です。AI技術が企業のビジネスや社会に与える影響を理解し、実際にその活用方法を知るための基礎となります。
G検定を取得することで、AI技術をビジネスに活用するための基礎的な知識を周囲に証明できます。そのため、今後もAIの普及とともに必要性の高まることが想定される資格です。DX推進の中でAIの活用につなげる企業の助けともなるでしょう。
基本・応用情報技術者試験
基本・応用情報技術者試験は、日本の国家資格です。基本情報技術者試験では、情報技術者としての基礎から応用までの知識や技術を証明します。プログラミングなどの情報技術以外にも「経営」や「戦略」、さらに法務といった分野の出題もあるため、DXを行うためのスキルを広く習得することが可能です。
また、応用情報技術者試験(AP)では、IT戦略や企業戦略における技術の活用も身につけることが求められます。ITマネジメントやシステム開発に関わる立場を目指す人にとっては取っておきたい資格となります。
もちろん、情報技術者として求められる技術は、資格だけでは現場で役に立たないこともあるでしょう。あくまでも基本・応用情報技術者試験は客観的な証明ができる資格という位置付けです。
ITストラテジスト試験
「ITストラテジスト試験」は、情報処理技術者試験の中でも高度な資格です。IT戦略やシステムの全体的な設計・管理に関わる能力が試されます。企業のIT戦略を立案し、ITリソースを最適化してビジネス目標を達成するためのスキルを認定するからです。
受験者も、主に企業のIT部門におけるリーダーや、IT戦略を担う経営層に求められる能力を証明した方たちです。技術的な知識だけでなく、ビジネス戦略や管理能力の証明もしたい場合におすすめとなります。
AWS認定試験
AWS認定試験は、Amazon Web Services(AWS)のクラウドコンピューティングサービスに関する知識とスキルを証明するための資格試験です。AWSは、世界的に広く使用されているクラウドサービスプラットフォームで、クラウドインフラストラクチャに関する高度な知識と、AWSを活用したソリューションの設計・管理能力を証明できます。
AWS認定資格を取得することで、DXの推進に必要なクラウド技術を証明し、企業内でのクラウドインフラ設計や運用のリーダーシップを発揮するのにおすすめです。
DX人材向けの資格の選び方
上記からDX人材向けの資格を選ぶときは、いまの自分のスキルレベルにあわせて、業務内容や役職・ポジションから選びます。資格は種類によって、基礎的な内容を広く学べるものから、特定の分野に特化したものまで難易度にも幅があります。
例えば、ITの知識がほとんどない初心者の場合は、国家試験の「ITパスポート試験」から始めると学びやすくなります。ITの基礎を理解した後は、専門的な資格に進む方法があります。例えば、システム開発や情報処理に関わる業務を目指すのであれば、「基本・応用情報技術者試験」やシステム関連の民間資格が適しています。資格取得を通じて、プログラミングの考え方やデータ構造、アルゴリズムなどの知識を学ぶことができます。
一方で、クラウド技術の場合は、「AWS認定クラウドプラクティショナー」などのクラウド系資格が向いています。クラウドサービスの基本概念や利用方法、セキュリティ対策などについて学べるため、サーバーやクラウド業務のデジタル化に関する理解を深めることが可能です。
また、データ活用や分析に関心がある場合は、「統計検定」や「データサイエンティスト検定」などです。一方で、技術よりも企画やマネジメントの分野で活躍したい人には、「ITストラテジスト試験」などの上位資格も選択肢の1つとなります。
DX人材が資格取得前におすすめの企業向けDX・AI人材育成研修サービス
AI技術の活用が進む中で、AI人材の育成は企業の競争力を高めるためには欠かせません。AIはDXにも大きく関連してきます。
そこで、GETT Proskillの提供する企業向けDX・AI人材育成研修サービスは、DXやAIの基礎、実務に至るまで幅広いスキルを身につけるための実践的なカリキュラムで人材を育てることが可能です。
社内研修や社員の自己努力だけでは達成できないDX人材の教育におすすめです。
DX人材におすすめの資格のまとめ
DX人材は、DXを推進するために欠かせない存在です。おすすめの資格とその取得を通じて、DXに必要な素養を身につけることができます。企業にDX人材が増えて、ビジネスモデルの改革が進めば、企業全体が競争力をつけて、経営を有利に進められるでしょう。そのためにも、DXに向いた資格を取得するため、社員の研修や講習の選定が今後の企業には求められるのです。
