AIは大手企業だけでなく中小企業にも広く浸透し、今では業務効率化や新サービスには欠かせない存在となっています。
本記事では、AI企業の基礎知識から注目の企業事例、導入時の確認ポイントまでわかりやすく解説します。AIの導入を検討している企業の担当者や、AI企業に興味がある方は参考にしてください。
AI企業とは?
近年では生活を快適にする家電や仕事でもAIが使われる場面が多くなってきました。たとえば人の顔や声を識別するアプリや自動で答えるチャットボット、AI搭載のスピーカーなどが良い一例です。
こうした技術の開発やサービスの提供を行っているのが「AI企業」と呼ばれる会社です。ここでは、AI企業の定義や特徴、従来の企業との違いについてわかりやすく解説していきます。
AI企業の定義と特徴
AI企業とは、人工知能(AI)を使ったサービスや製品を中心にビジネスを展開している会社のことです。こうした企業は、自分たちでデータを集めてAIに学ばせて、使えば使うほど賢くなる仕組みを作っています。
AIの活用によって、誕生した新しいサービスは以下のとおりです。
- 本人確認の自動化
- チャットボットによる24時間対応のカスタマーサポート
- 自動運転やドローン制御の技術
- 診断補助や健康管理アプリ
AIの開発や活用は、単なる作業の効率化にとどまらず、AIを活用することで新しい価値やサービスを生み出すことができる点が大きな特徴です。
AI企業と従来企業の違い
AI企業の特徴は以下の4点があげられます。
- ビジネスの中心にAIがある
- 自社でデータを収集・分析・活用する体制がある
- 製品やサービスがAIによって継続的に進化
- 新たな市場開拓が目的
これらの特徴から、AI企業はAIを使って何をするかではなく、「AIを使うこと自体がビジネスのはじまり」となっている点が大きな特徴です。
一方、従来企業の特徴は以下のようになります。
- 既存の業務にAIを部分的に導入
- データ活用の仕組みが限定的
- AIは補助的な役割
従来企業は、既にあるビジネスモデルや業務の中にAIを加える形が多く、AIはあくまで効率化のための手段として使われる傾向があります。このように、AI企業と従来企業では、AIの使い方や考え方、位置づけが根本的に異なるのです。
なぜAI企業が注目されているのか?
AI企業が注目される理由は、以下の点が挙げられます。
- AI技術を活用することで、業務の自動化や効率化が可能
- AIを活用した新しいサービスや製品の開発
- AIによる業務の自動化が人手不足の解消
近年、多くの企業が人手不足や業務の非効率といった課題に悩んでいます。そうした中で、AI企業はデータと技術を活用して業務を自動化したり、より効率的なサービス提供を可能にしたりする強みを持っています。
AI企業は社会の課題に対する解決手段として大きな注目を集めているのです。
AIを活用できる業務とは?
AI(人工知能)は、定型作業やデータ分析、クリエイティブ制作などさまざまな業務で活用できます。AIを活用することで業務の効率化や品質の向上、人手不足の解消にもつながるため導入を検討する企業も増加傾向にあります。
以下は、AIが実際に使われている代表的な業務です。
- 文書作成や社内マニュアルの自動化
- マーケティング施策の最適化と顧客分析
- 画像や動画の自動生成と編集支援
- 問い合わせ対応やチャットボットの自動応答
- プログラミング補助やソフトウェア開発支援
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①文書作成や社内マニュアルの自動化
AIを使えば、決まった形式の書類やマニュアルを自動で作成できます。文章のまとめやチェックもできるため、資料づくりにかかる時間を大幅に減らせます。人のミスも少なくなり、内容のばらつきも減るので、事務作業がよりスムーズになります。
②マーケティング施策の最適化と顧客分析
AIは、お客さんの買い物履歴やホームページの使い方などの情報を分析して、より効果的な宣伝方法を見つけるのに役立ちます。人によってどんな広告が合うかを判断してくれるので、ムダのない宣伝ができ、満足度のアップにもつながります。
③画像や動画の自動生成と編集支援
AIを使えば、画像や動画を自動で作ったり、よりよく見せるためのアドバイスを受けられます。SNSや広告用の素材を短い時間で量産できるため、作業のスピードが上がり、発信力も強化できます。
④問い合わせ対応やチャットボットの自動応答
Webサイトのよくある質問への対応は、AIが組み込まれたチャットボットに任せることで24時間いつでも稼働が可能です。ユーザーはいつでも質問ができるので疑問を解消できますし、会社側の人材負担も削減できます。
⑤プログラミング補助やソフトウェア開発支援
パソコン用のプログラムを書くときのサポートにもAIは活躍します。コーディングの間違いを発見・修正の提案をしてくれるので不具合を未然に防ぐことが可能です。また、分からないプログラムでも質問をすれば解説も行ってくれるため、プログラミングの勉強を始めたばかりの人にも役立ちます。
注目の日本のAI企業事例
日本でも多くの企業がAIを活用し、業務の効率化や新たなサービスの創出に取り組んでいます。とくに大手企業を中心に、広告・物流・製造・金融などさまざまな分野でAI導入が進んでおり、実際に成果を上げている事例が増えています。
ここでは、AIを積極的に活用し注目を集めている日本企業の事例をご紹介します。
サイバーエージェント:広告配信のAI最適化でマーケ効果を向上
サイバーエージェントは、広告運用に「AI feed designer」を導入することで、以下の最適化を実現しています。
- 広告配信のタイミング調整
- 広告クリエイティブ(画像・文章)の最適化
- リアルタイムでの効果分析と配信改善
この取り組みにより、コンバージョン率(成約率)は最大120%、クリック率は140%まで向上。広告費の無駄を減らし、広告運用担当者の業務負担も軽減され、効率的な運用体制が整いました。
ソフトバンク:社内DXとGETT Proskillで全社的にAIを推進
ソフトバンクは、AIを活用した社内業務のDX(デジタル化)を進めています。世界最高レベルのAI研究機関として「Beyond AI 研究推進機構」を設立するなど技術開発にも力を入れています。
- 業務の自動化による時間短縮
- 5G・IoTと連携した高度なAI開発
AIを導入した業務の自動化では従来300分かかっていたものが20分まで短縮を実現しました。また、次世代通信技術とAIを組み合わせ、より高度なサービスの開発を推進しています。
日本郵政:AIによる配送ルート最適化で業務効率を改善
日本郵政は、郵便・荷物の配送業務にAIを導入し効率化を行うために、以下のAI活用を進めました。
- 音声認識AIによる再配達受付業務の自動化
- 地理情報や交通データの自動分析
- 自動ルーティングシステムの導入
AIが蓄積データをもとに最適なルートを自動で算出することで、移動時間や走行距離の削減を実現。また、コールセンターの業務をAIに任せることで、コスト削減にもつながりました。
トヨタ:自動運転とスマート工場にAI技術を活用
トヨタ自動車株式会社は、自動車の自動運転技術と製造現場のスマート化にAIを積極的に導入し、以下のような分野でAIの力が発揮されています。
- カメラやセンサーの情報をAIが解析
- 工場内での不良品検出やロボット制御
結果、不良品の検出率が100%になり、従来では人が行っていた目視検査の自動化を実現しました。
パナソニック コネクト:製造現場の異常検知にAIを導入
パナソニック コネクト株式会社では、製造ラインの安定稼働とトラブルの予防を目的に、AIによるセンシング技術を導入しています。
- センサーからのデータをリアルタイムで分析
- 機械の異常や故障の早期発見
- フォークリフトの接触事故を抑制
AIが常にデータを監視することで、従来は見逃されていた異常も早い段階で検知できるようになり、製造ラインの止まるリスクが大幅に軽減できました。さらに、品質のバラつきを減らし、トラブルを未然に防ぐ体制が整っています。
製造現場へのAI導入を検討している方は、以下の記事もあわせて参考にしてください。具体的な成功事例や失敗を防ぐための手順をわかりやすく解説しています。
SMBCグループ:与信審査や融資判断をAIで効率化
SMBCグループは、企業向け融資の審査など以下のような業務にAIを活用しました。
- 財務データや取引履歴の自動分析
- リスク評価の自動化と客観性の確保
- 融資審査のスピードアップ
AIによって審査にかかる時間が大幅に短縮され、企業側はより早く資金を受け取ることが可能になりました。これにより、営業担当者の業務効率も上がり、金融業界におけるAI活用の好事例として注目されています。
注目されるAIスタートアップ企業一覧
近年、AI技術の進化とともに、国内でも革新的なAIスタートアップが次々と誕生しています。これらの企業は、大手企業にはない柔軟性やスピードを武器に、新しい技術やサービスを生み出し、さまざまな業界で存在感を高めています。
ここからは、今注目されている代表的なAIスタートアップ企業の特徴や取り組みについてご紹介します。
Preferred Networks:深層学習の先端技術で製造業向けAIを推進
株式会社Preferred Networksは、深層学習技術の研究と実装で国内トップクラスの実績を持つスタートアップです。トヨタやファナックなどと連携し、製造現場におけるAI活用を推進。異常検知や自律制御の分野で、高度なAIソリューションを提供しています。
PKSHA Technology:自然言語処理を軸に業務支援AIを展開
PKSHA Technologyは、独自の自然言語処理(NLP)エンジンを基盤に、以下の業務支援AIを展開しています。
- カスタマーサポート
- 社内問い合わせ対応
- 文書分類
これらの業務支援AIは大手企業や自治体への導入実績も多く、業務の自動化と効率化を両立させています。
Sakana AI:集団知能を応用した次世代AIモデルで注目
Sakana AIは、Google出身の研究者らによって設立されました。この企業は「集団知能」の概念を取り入れた「EvoLLM」や「AI Scientist」など次世代のAIモデルを開発しています。
従来の大規模モデルとは異なる軽量で柔軟な構造が注目されており、次世代生成AIの有力候補として期待されています。
ELYZA:日本語生成AIで企業の業務効率化を支援
ELYZAは、東京大学発のスタートアップで、日本語特化型の生成AI技術を強みに持ちます。企業向けには以下の業務支援を提供しています。
- 議事録要約
- 社内マニュアル生成
- 営業メール作成
これにより、業務負担の軽減とドキュメントの質の向上を実現しています。
ABEJA:小売・物流向けのAI解析プラットフォームを提供
ABEJAは、小売や物流業界を中心に、画像認識や需要予測を可能にするAI解析プラットフォームを提供しています。店舗の来客数分析や在庫管理の最適化に活用されており、業界のDX推進を支える重要な存在となっています。
現在では、導入企業も国内外で拡大しつつあります。
AI企業の選び方と導入時の確認ポイント
AIを導入する企業が増える中、「どのAI企業を選ぶべきか?」という悩みを抱える担当者も少なくありません。
そこで、AI企業を選ぶ際に押さえておくべき3つの重要ポイントをご紹介します。
- 自社の課題を解決できるAIかどうかを見極める
- 導入実績やサポート体制が充実しているかを確認する
- コストと効果のバランスを見て試験導入の可否を確認する
それぞれの視点から自社に合った企業を見極めましょう。よりAI活用しビジネスに活かしたいと考えている方は、以下の記事もご覧ください。
①自社の課題を解決できるAIかどうかを見極める
AI導入を成功させるためには、自社の抱える課題に対してAIが適切な解決策を提供できるかどうかを見極めることが重要です。業務プロセスのどの部分をAIで自動化・効率化したいのかを明確にし、目的に合致したAI技術や導入パートナーを選定しましょう。
②導入実績やサポート体制が充実しているかを確認する
AI企業を選ぶ際は、これまでの導入実績や対応業種、継続的なサポート体制の有無を必ず確認しましょう。導入後のチューニングやトラブル対応に差が出るため、単なる技術力だけでなく、サポート品質やユーザー教育の充実度も評価基準に含めることが大切です。
③コストと効果のバランスを見て試験導入の可否を確認する
AI導入には初期費用やランニングコストがかかるため、事前に投資対効果を見積もることが欠かせません。可能であればスモールスタートで試験導入を行い、効果を可視化したうえで本格導入に踏み切るのが安全です。補助金の活用も検討材料となります。
AI企業の活用で業務の効率化を進めよう
本記事では、AI企業の定義から活用できる業務内容、注目の企業事例まで幅広く解説しました。AI導入に成功する鍵は、「自社の課題に合った企業を見極めること」と「段階的な導入で効果を検証すること」にあります。
まずは小さな業務からAIを導入し、ビジネスの土台を築いてみてはいかがでしょうか。
