最近、企業の中でもAIの活用を進めようという動きが活発になってきており、AIを活用することは今後5年、10年を見据えても必須のこととなってきています。
企業内の業務の効率化やAIを使ったサービスを展開していく上で、独自のAIを開発する必要がありますが、多くの企業では外部のSIerのようなITベンダーに依頼することも多いのではないでしょうか。
ただ、外部のITベンダーにAI開発を頼むとなると、PoC(概念実証)だけで数百万円~、本番活用しようとすると数千万円かかるなど、なかなか気軽に試すこともできないのが現状です…。
そのため、最近ではエンジニアの必要ない、プログラミングが必要ないAIの開発ツールがどんどん出てきており、それを活用して実務を行っている社員の方が簡単にAI開発をする環境を整えようとされる事例が多くなっています。
そこで、今回はそんな方にも使っていただきたいおすすめのノンプログラミングAI開発ソフトをご紹介します!
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AI開発ソフトとは
企業独自のAIを開発するには、大きくわけて「プログラミングする方法」と「AI開発ソフトを利用する方法」に分類することが出来ます。
プログラミングする方法
プログラミングする方法は、プログラミング言語のPythonを使用して開発することが多いです。
Pythonは初心者でも学びやすいプログラミング言語で、AIの開発においてデファクトスタンダード(事実上の標準)となっている言語です。
学びやすいと言っても、プログラミングをしたことのない人には少しハードルが高いと感じてしまうこともあるかもしれません。
AI開発ソフトを利用する方法
一方AI開発ソフトは、プログラミングをすることなくAIを開発できるのが特徴です。数クリックだけで複数のAIのアルゴリズム(計算手法)を検証し、最適な結果を導き出してくれる機能がついているものが多くあります。
多くの場合、データ入力から設定、結果の確認、運用環境への適用までが手順を追って進められるようになっているため、初めての方でも簡単に使えるようになっています。
一方、プログラミングで開発する方法に比べると、ソフトウェアの金額が高いことと、まったくゼロの知識では結果の読み解きができないなど、導入すればすぐに使えるものではないことに注意が必要です。
金額が高くても、高給なAI開発エンジニアを雇用することと比べると安価になることも多いですので、まずはソフトウェアの無料体験版や、機能制限が着いた無料版で試すことをおすすめします。
それでは、AI開発ソフトを選ぶにあたり、どういったポイントに気を付けるとよいでしょうか。
今回は、AI開発ソフトの選び方のポイントについてご紹介します。
AI開発ソフトの選び方のポイント
AI開発ソフトは、AIを活用したシステムやサービスを開発するための重要なツールです。ただ、その種類は多岐にわたり、どれを選べば良いのか迷う方も多いでしょう。
ここでは、AI開発ソフトを選ぶ際のポイントを3つご紹介します。
利用する目的に合っているか
AI開発ソフトを選ぶ際の最初のポイントは、利用する目的に合っているかどうかを検討することです。
AI開発ソフトには、機械学習、自然言語処理、画像認識など、様々な機能が組み込まれています。開発したいAIのアプリケーションが何であるか、それがビジネスのどの部分を改善したいのか、という観点から考える必要があります。
例えば、顧客のフィードバックを自動的に分析して、製品やサービスの改善点を見つけ出すAIを開発したい場合、自然言語処理機能が得意なソフトを選ぶことが重要です。
一方で、製品の製造ラインで欠陥を自動的に検出するAIを作りたい場合は、画像認識機能に重きを置くべきでしょう。
また、AI開発にどの程度の時間とリソースを割くことができるかも、ソフト選びの重要な要素です。一部のAI開発ソフトは、高度な機能を提供する一方で、使用するためには深い専門知識が必要となる場合があります。
最後に、AI開発の目的が変化する可能性も考慮しておくと良いでしょう。ビジネスは常に進化し、今必要としている機能だけでなく、将来的に必要となる可能性のある機能を備えたソフトを選ぶことが、長期的な成功に繋がります。
操作性が確保されているか
AI開発ソフトの選び方の一つとして、操作性の確保は非常に重要なポイントとなります。AI開発ソフトは複雑な機能やツールを備えているため、それらを簡単に効率的に利用できるか否かが、開発作業のスムーズさや生産性に大きく影響するでしょう。
操作性が良いソフトウェアは、直感的なユーザーインターフェースを持ち、必要な機能を短時間で見つけ出すことが可能です。また、使い方を理解しやすく、必要となる情報や機能へのアクセスが容易であることも重要な要素です。
さらに、ソフトウェアが更新される際には、新たな機能が追加されるだけでなく、ユーザーインターフェースも変化することがあります。そのため、定期的なアップデートによって操作性が向上しているか、あるいは逆に悪化していないかを確認することも大切です。
以上のように、操作性はAI開発ソフトの選択において重要なポイントであり、効率的な開発作業を実現するためには欠かせません。
予算に見合っているか
AI開発ソフトの選択においても予算は重要なポイントとなります。無料で利用できるソフトウェアもありますが、高度な機能を持つものや、サポート体制が整っているものは有料となることが多いため、まずは予算を明確に設定することが必要です。
予算設定後は、その範囲内で最も性能の良いソフトウェアを見つける必要があります。ソフトウェアの価格は機能の多さや使用するライセンスの種類、サポートの充実度などにより変動します。
例えば、一部のソフトウェアは初期費用が高額でも、その後の運用コストが抑えられるものもあります。また、逆に初期費用は安価だが、必要な機能を追加するための追加費用が発生するものもあるでしょう。
さらに、価格だけでなくその価格に見合った価値が得られるかどうかも考慮する必要があり、高価なソフトウェアでもその機能が企業に必要ない場合、それは無駄な出費となります。
逆に、機能は少ないが、それが企業にピッタリ合っているソフトウェアなら、それはコストパフォーマンスが高いと言えます。
以上のように、価格だけでなく、企業におけるそのソフトウェアの価値を見極め、予算に見合った選択をすることが重要です。
こららのポイントを押さえ、AI開発ソフトを選ぶとよいでしょう。
今回は、代表的なおすすめのAI開発ソフトをご紹介します。
AI開発ソフトおすすめフリーソフトウェア2選
AI開発ソフトにはフリーで利用できるソフトもあります。おすすめのAI開発ソフトウェアを2つご紹介します!
Azure Machine Learning Studio(classic)
まず一番最初におすすめしたいのが、Microsoft社が提供しているAzure Machine Learning Studio(classic)(以下、AzureML studio)です。
AzureML studioは、Microsoft社が提供するクラウドサービスのAzureに付随したMachine Learining(機械学習)のツールで、データの入力と前処理、機械学習アルゴリズムの設定、学習済モデルの評価を行え、学習済みのAIをAPIとしてクラウド上で使用できるようになっています。
Azureのクラウドコンピューティングを利用して計算するため、マシンスペックの高くないパソコンでも手軽にAI開発を行うことができます!
ただ、「Machine Learning Studio(classic)」は、2024年8月31日までに廃止されます。下記でご紹介する「Azure MachineLearning」への移行をお勧めします。
AzureML studioのページはこちら(https://studio.azureml.net/)
Azure Machine Learning Studio(classic)と、最後に「classic」とついていますが、実は「Azure Machine Learning」というサービスが別で存在しています。
Microsoft社では、2015年頃からAzureML studioをプログラミングなしで使用できるツールとして提供してきましたが、Azureとの完全な融合をしていなかったため、Studioとつけて別のサービスとして位置づけていました。
2020年末頃に、ほとんどのAzureML studioの機能がAzure Machine Learning designerというサービスに移行しているため、今後はAzure Machine Learning designerの開発が活発になっていくものと見られます。
計算時間によって課金される、Azure Machine Learning designerの利用の前に機械学習を試してみたいという方にはおすすめのソフトです。
AzureML studioは、基本的には有料ですが、10GBのストレージ、1時間までの演算時間など、機能制限版であれば企業でも無料で使用できます。
企業で使用する場合、10GBのストレージでは限界があるため、将来的にはAzure Machine Learning designerを使用することをおすすめします。
ただし、この機能制限の範囲でも、様々なデータを入力してAIの精度を確認するなど、多くの機能を使用できますので是非試してみてください。
Azureは、クラウドサービスとしてもシェアを持っているため、導入している企業も多数あります。
Microsoft社の認定資格も多くありますので、求人を探したい時にもAI開発スキルをつけるためにもってこいのAI開発ソフトウェアです。
Azure Machine Learning Studio(classic)のスペック
インストール環境 | クラウド |
データ準備 | ファイル読み込み、外れ値処理、正規化、データ分割等 |
モデリング | クラス分類、回帰、クラスタリング、異常検知 |
デプロイ | API発行、Excel連携 |
Azure Machine Learning Studio(classic)ライセンスの種類
AzureML Studioを使用するためには、無料版の他にStandard版の用意があります。
Standard版では無料版のモジュール最大数や記憶域スペースの制限がなくなります。
AzureML Studio 価格
無料 | Standard | |
料金 | 無料 | ¥1,554.944/ML Studio ワークスペース/月 |
¥155.650/Studio 実験時間 | ||
Azure サブスクリプション | 不要 | 必須 |
実験ごとのモジュールの最大数 | 100 | 無制限 |
最大実験時間 | 実験ごとに1時間 | 実験ごとに最大7日間、モジュールごとに最大24時間 |
最大の記憶域スペース | 10GB | 無制限 – BYO |
オンプレミス SQLからのデータ読み取りプレビュー | いいえ | はい |
実行/パフォーマンス | 単一ノード | 複数のノード |
実稼働 Web API | いいえ | はい |
SLA | いいえ | はい |
また、実運用の際には、クラウド上にアップロードされた学習済モデルを使用することになります。
このWeb APIを利用する際に下記の料金が発生します。
実稼働 Web API の価格
開発/テスト* | Standard S1 | Standard S2 | Standard S3 | |
レベル別の価格/月 | ¥0 | ¥15,585.235 | ¥155,659.339 | ¥1,556,496.89 |
機能 | ||||
トランザクションの無料分 (月単位) | 1,000 | 100,000 | 2,000,000 | 50,000,000 |
コンピューティング時間の無料分 (月単位) | 2 | 25 | 500 | 12,500 |
Web サービスの合計数1 | 2 | 10 | 100 | 500 |
超過料金 | 該当なし | ¥77.825/1,000 トランザクション | ¥38.913/1,000 トランザクション | ¥15.565/1,000 トランザクション |
¥311.300/API コンピューティング時間 | ¥233.475/API コンピューティング時間 | ¥155.650/API コンピューティング時間 |
AzureML studioの使い方を学ぶ方法
AzureML studioの使い方を一から学びたい方はセミナー受講もおすすめです。AzureML studioの使い方を理解できるセミナーには「ビジネス向けAI講習」があります。
ビジネス向けAI講習では、AIの仕組みやAIプロジェクトの進め方、実際にデータを入力してAI開発を行う手法やその勘所を理解しつつ、AzureML studioの使い方を学べるようになっています。
AIのコンサルティングに従事する講師が、実際の業務の流れを想定してトレーニングを行います。セミナー受講後すぐにAzureML studioをビジネス業務で利用できるようになるのでおすすめです。
受講スタイル | 会場受講/ライブウェビナー(リモート受講)/Eラーニング |
日数 | 1日間(10:00-17:30) |
料金 | ・会場受講/ライブウェビナー:52,800円(税込) ・Eラーニング:44,000円(税込) |
持ち物 | 特になし(筆記用具程度) |
URL | https://ai-kenkyujo.com/ai-business/ |
最速でビジネスに使えるAI作成方法を習得するための1日
さらに「Azure ML」について詳しく知りたい方は、以下のリンク先をご覧ください。
簡単にAIが作成できる「DataRobot」
次ににおすすめしたいのが、AI開発ツールの業界をリードするAI開発ソフト「DataRobot」です。
DataRobotは、専門知識を知らなくても様々なデータ分析や数値予測に加え、画像認識などのディープラーニングモデルを作成できる機械学習プラットフォームです。
DataRobotは基本的には有償のソフトウェアで、価格も年間ライセンスで数百万円~数千万円となることもある、高価なソフトウェアです。
とは言っても、30日間の無料トライアルがあるため、どのような機能があるのか、自社のデータを入れてみた結果を出すなどで試すことができます。
高価なソフトウェアですが、その分簡単に使えるような工夫が施され、データの前処理や自動特徴量抽出機能や、データベース読み込み、オートパイロットによる自動モデリング、MLOpsによる本番運用まで完結するなど、AI学習モデルを実運用で使用するまでに必要な機能がすべて入っています。
データの保存や運用に関しても、パブリッククラウド版に加えて、プライベートクラウド版、オンプレミス版を取り揃えているため、外部クラウドサービスにデータを出せない企業でも使用できるような工夫がされています。
まずは無料トライアル版で操作感を試してみて、仕事のニーズや好みに合うようならば有料版に切り替えるというのが一般的な流れです。非常に簡単な操作でAIモデルが作成できますので、おすすめのAI開発ソフトになります!
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DataRobotのスペック
インストール環境 | パブリッククラウド、プライベートクラウド、オンプレミス |
データ準備 | ファイル読み込み、データベース読み込み、自動特徴量探索 |
モデリング | 分類、回帰、画像、異常値検知、時系列 |
デプロイ | API発行、精度・ドリフト監視、予測コード書き出し |
DataRobotライセンスの種類
DataRobotのライセンスには、無料のトライアル版の他に、スターター、エンタープライズがあります。
引用:https://www.itis.nssol.nipponsteel.com/datarobot/solution/datarobot/free-trial/
さらに「DataRobot」について詳しく知りたい方は、以下のリンク先をご覧ください。
おすすめのAI開発ソフトまとめ
今回はおすすめのAIソフトウェアをいくつか紹介しましたがいかがでしょうか。AIを開発するソフトと言ってもたくさん数があるので、よく特徴を把握して比較しましょう。
ぜひこの機会にAIソフトウェアを使用しAIロボットを作成してみてください。
なおビジネスで使えるAIスキルを身につけたい方は、AI研究所のビジネス向けAI完全攻略セミナーを受講されるといいでしょう。