コーセーは2024年8月、東急プラザ原宿「ハラカド」に新たな旗艦店「Maison KOSÉ(メゾンコーセー)ハラカド」をオープンしました。この店舗は、デジタルネイティブ世代であるZ世代のタイパ重視の店舗と呼ばれる、多様な選択肢の中から自分に合ったものを柔軟に選び取る消費行動に対応しています。
オンラインとオフラインをスムーズに繋ぎ、顧客一人ひとりに最適なビューティー体験を提供することで、高い満足度を得られるUXを実現しています。
今回は、Z世代のタイパにおける行動の特徴や企業がZ世代のタイパを重視するメリット、Z世代に効果的なアプローチ方法を詳しく解説します。
Z世代が重視するタイパとは?
「タイパ」という言葉は、近年特にZ世代を中心に広く使われるようになり、2022年には今年の新語に選ばれるほど注目を集めました。タイパとは、費やした時間に対する成果を示すタイムパフォーマンスを略した言葉です。
Z世代は1990年代後半から2012年に生まれたデジタルネイティブ世代とも呼ばれ、スマートフォンやインターネットが身近な環境で育ってきました。そのため、効率よく時間を使い成果を最大化したい意識が強く、タイパという概念を自然と受け入れているのです。
しかし、重要なのは時間を短縮することだけでなく、満足度も考慮する必要があるということです。タイパが良いとは、短時間で多くのことを成し遂げ、同時に満足感も得られる状態で、より質の高い生活を送るための考え方と言えるでしょう。
Z世代のタイパとコスパの違い
タイパとよく似た言葉に「コスパ」がありますが、コスパは「コストパフォーマンス」の略で、お金に対する投資対効果を表します。タイパとコスパは、どちらも時間やお金の資源に対する成果を測るための指標ですが、評価の対象となる資源が異なります。
タイパ | 時間対効果 |
コスパ | 投資対効果 |
タイパはコスパの概念から派生した言葉であり、「〇〇に対する効果」という考え方を共有しています。この「〇〇」の部分には、時間やお金だけでなく、様々なものが当てはまり得ます。
例えば、「空間パフォーマンス」や「エネルギーパフォーマンス」といった言葉がすでに存在しており、今後も新たな「〇〇パフォーマンス」という言葉が生まれてくることが予想されます。
Z世代のタイパにおける行動の特徴
タイパを重視するZ世代は、現代社会においてどのような行動をとるのでしょうか。彼らの特徴を捉えることで、より効果的なアプローチが見えてきます。
以下で、Z世代のタイパを重視する特徴を詳しく解説します。
限られた時間を最大限に活用する
タイパを重視するZ世代は、限られた時間を最大限に活用したいと考えています。特に、何もしなければあっという間に過ぎてしまう「隙間時間」は、彼らにとって非常に貴重です。
そのため、移動中やちょっとした待ち時間など、思わぬ時間に発生する隙間時間を有効活用し、こまめにタスクを消化することで後からまとまった時間を確保しようとする傾向にあります。具体的には、移動中にメールの返信やSNSの投稿を行うといった方法から、動画を見ながら調べ物を同時に行うような並行作業まで様々な手法が用いられています。
さらに、近年では、隙間時間を活用できるサービスも多様化しています。例えば、移動中に利用できるフィットネスジムやスマートフォンを使った副業などが人気を集めています。また、自分の働き方を柔軟に設計できるフリーランスの働き方も隙間時間を有効活用したい人々にとって魅力的な選択肢となっています。
オンラインでコミュニケーションする
コミュニケーションにおいては、従来の対面形式からオンライン形式へのシフトが加速しています。これは、移動時間や待ち時間といった物理的な制約から解放され、より効率的にコミュニケーションを取れるというメリットがあるためです。
例えば、セミナーよりもウェビナーが好まれ、就職活動においてもオンラインでの会社見学や面接が求められる傾向にあります。また、働き方においても通勤時間や休憩時間を有効活用できるリモートワークが注目されています。リモートワークを導入した企業では、求人への応募数が大幅に増加するなど、その需要の高さがうかがえます。
飲食店などのサービス業においても、注文や会計の手続きを簡略化するモバイルオーダーが普及し、顧客の利便性向上に繋がっています。
時短ができるグッズを活用する
タイパを重視するZ世代は、ロボット掃除機や乾燥機などの便利な家電製品はもちろん、ミールキットの宅配や家事代行サービスなど、様々な時短グッズやサービスを活用し、家事に費やす時間を削減している傾向にあります。
これらのツールによって、家事にかける時間を減らし、より多くの時間を自分の好きなことに使えるよう工夫しているのです。
タイパに繋がるAI家電については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。ぜひ参考にしてください。
Z世代が重視するタイパを企業に取り入れるメリット
Z世代が重視しているタイパの意識を企業に取り入れることで、企業は以下のようなメリットを得ることができます。
- 業務の効率化が図れる
- ワークライフバランスが充実する
- 新しい人材に出会うことができる
- Z世代に魅力ある企業とアピールできる
- 顧客満足度が向上する
以下でそれぞれの項目を詳しく見ていきましょう。
業務の効率化が図れる
タイパを高めると、限られた時間の中で最大限の成果をあげるため、あらゆる業務を効率的にこなし、より短い時間でより多くのことを成し遂げることが可能です。
このような効率化により、これまでと同じ時間をかけていた仕事が短時間で終わるようになり、余った時間を他の重要な業務に充てることができるようになります。
結果的に個人の負担を軽減し、精神的なゆとりを生み出すことにも繋がるでしょう。タイパを高めることは、業務を早く終わらせるだけではなく、仕事全体の質の向上や、働き方そのものの改善にも繋がるのです。
ワークライフバランスが充実する
業務を効率化し、限られた時間内で与えられた仕事を完了させることは、個人の生産性向上だけでなく、組織全体にも多大なメリットをもたらします。
従業員個人にとっては、残業時間の削減や時短勤務の実現が期待できるため、これまで仕事に費やしていた時間を自分の趣味や家族との時間に充てることが可能となり、ワークライフバランスの改善ができます。
ワークライフバランスの向上は従業員の満足度を高め、モチベーションを向上させることに繋がります。満足度の高い従業員は、仕事への意欲が高まり、結果的に生産性の向上も期待できるでしょう。
新しい人材に出会うことができる
タイパを意識することで、労働時間を削減し、週4日労働や時短勤務、フルリモートなどの多様な働き方を可能にすることが期待できます。
これにより、社員はそれぞれのライフスタイルに合わせた働き方を選択できるようになり、従来は育児や介護などの理由でフルタイムでの就業が難しかった人々も新たなキャリアを築く機会を得られるようになります。
企業にとっても採用対象者が広がり、多様なバックグラウンドを持つ人材の確保が可能です。タイパ意識は、労働時間を短縮するだけでなく、働き方そのものを多様化し、社会全体の働き方改革を促進する力を持っていると言えるでしょう。
Z世代に魅力ある企業とアピールできる
タイパを重視するZ世代にとって、自身の価値観と合致する企業は魅力的な職場として映ります。また、タイパの向上により得られた時間を自身の成長の時間に充てることができる点は、Z世代のモチベーションを高める要素となるでしょう。
特に、副業に関心を持つZ世代の割合が高いことを考えると、自身の成長を支援する企業環境は大きな魅力となります。
顧客満足度が向上する
企業がタイパを意識し、短い時間で顧客に満足度の高いサービスや価値ある情報を提供することは、顧客体験の向上に直結します。
タイパを重視する顧客は、企業が提供するサービスや情報に対して、時間的なコストパフォーマンスを求めているためです。企業がその期待に応えることで、顧客からの注目を集め、選ばれる企業へと成長することができるでしょう。
また、企業側にとっても「短時間で完了」「スピーディーな対応」などタイパの高さを積極的にアピールすることは、顧客の購買意欲を刺激し、競合他社との差別化にも繋がります。
タイパという考え方を意識することは、顧客と企業双方にとってメリットのある取り組みと言えるのです。
タイパを重視するZ世代に効果的なアプローチ方法
限られた時間の中で最大限の価値を得たいというZ世代の価値観は、企業のマーケティング戦略にも大きな影響を与えています。以下では、タイパを重視するZ世代への効果的なアプローチ方法について、詳しく解説します。
彼らの特徴を理解し、それに合わせた施策を講じることで、ニーズに応え企業の成長に繋げることが可能になるでしょう。
デジタルコンテンツを提供する
Z世代は、情報収集にスマートフォンやPCなどのデバイスを活用し、必要な情報を素早く手に入れたいと考えています。現地に足を運んだり、膨大な量の情報を精査したりするよりもデジタルコンテンツを通じて手軽に情報を得ることを好みます。
企業が提供するデジタルコンテンツは、Z世代が求める情報を効率的に提供する重要なツールです。紙媒体の情報をデジタル化し、WebサイトやSNS上で公開することで、顧客はいつでもどこでも必要な情報にアクセスできるようになるでしょう。
SNSを活用する
SNSはコミュニケーションツールにとどまらず、情報収集や購買行動に大きな影響力を持つプラットフォームへと進化しました。特に、コスパを重視するZ世代にとって、SNSは欠かせない存在となっています。
Z世代の9割以上がSNSを利用しており、情報検索もSNSで行うという現状は、企業にとって見逃せない大きな機会です。ターゲットとなるZ世代が集中しているSNSで、企業の情報を発信することで、効率的にアプローチすることができるでしょう。
企業は、Z世代のニーズに合わせた情報を提供することで、彼らの関心を惹きつけ、信頼関係を築くことができます。例えば、役立つ情報やトレンドをタイムリーに発信することで、Z世代は「この企業は自分の役に立つ情報を提供してくれる」と感じ、自然と企業や商品に興味を持つようになるでしょう。
チャットボットを導入する
タイパを重視する傾向が強いZ世代においては、問い合わせ対応のスピードが顧客満足度を左右する重要な要素となっています。
従来の電話やメールによる問い合わせでは、自分の都合の良いタイミングで質問できず、回答を得るまでに時間がかかるという課題がありました。この遅延は離脱に繋がり、企業にとって大きな機会損失となる可能性があります。
一方、チャットボットは質問にリアルタイムで応答し、疑問を即座に解決することができます。これにより、自分の好きなタイミングで問い合わせを行い、スムーズに情報を得ることが可能になります。
チャットボットについては、以下の記事でも詳しくご紹介しています。ぜひ参考にしてください。
Z世代のタイパからビジネスにおけるヒントを掴もう
今回は、Z世代のタイパにおける行動の特徴や企業がZ世代のタイパを重視するメリット、Z世代に効果的なアプローチ方法を解説しました。タイパは、タイムパフォーマンスの略で、費やした時間に対して得られた成果や満足度を測る指標です。
タイパという概念は、もはや個人の生活にとどまらず、ビジネスの世界にも大きな影響を与えています。現代社会は、情報化の進展や働き方の多様化によって、かつてないスピードで変化しているため、企業は顧客のニーズを迅速に捉え、効率的にサービスを提供することが求められています。
つまり、ビジネスの成功は、いかに短時間で高い成果を上げられるか、タイパの高さにかかっていると言っても過言ではないのです。
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