【2025】人型ロボットにできること、できないこと。その可能性と限界を探る

米シリコンバレーにて、初開催となる人型ロボットの技術展示会「ヒューマノイドサミット」が行われ、、約40社の企業幹部や研究者が集結し、最新の人型ロボット開発の成果を披露しました。

近年、AIの急速な発展に伴い、ロボットの「頭脳」が飛躍的に向上しており、人型ロボットの開発競争をますます激化させています。

今後、人型ロボットは、私たちの生活や社会にどのような影響をもたらすのか、その動向に注目が集まるでしょう。今回は、人型ロボットにできること、できないことを詳しく解説します。

人型ロボットとは

人型ロボットは、ヒューマノイドロボットとも呼ばれ、その姿形や動きが人間に驚くほど似ており、私たちの生活に溶け込みつつある最先端の技術です。

かつてはSFの世界に存在する存在でしたが、人工知能の発展により、今では会話や感情の理解まで可能となり、人間と共存する未来が現実味を帯びてきました。

従来のロボットが効率化や自動化を目的としていたのに対し、現代の人型ロボットは、人間らしいコミュニケーション能力や感情表現を獲得し、私たちの生活をより豊かにするパートナーとしての役割が期待されているのです。

ビジネスや研究分野だけでなく、介護や教育など、私たちの身近な場所でも活躍の場を広げており、社会全体の注目を集め、新たな可能性を切り開くイノベーションとして期待されています。

人型ロボットとアンドロイドロボットとの違い

人型ロボットとアンドロイドロボットとの違い

人型ロボットと似た言葉に「アンドロイドロボット」がありますが、両者の違いが気になる方も多いのではないでしょうか。

人型ロボットは、人間の形を模倣したロボットの総称で二足歩行ができたり、腕や脚を動かしたりと、人間らしい動作を再現できる点が特徴です。しかし、必ずしも人間そっくりである必要はなく、アニメキャラクターや動物を模倣したデザインなど様々なバリエーションが存在します。

一方、アンドロイドロボットは、人型ロボットの中でも特に人間に酷似した外見を持つロボットを指します。

遠目に見ると、まるで生きている人間と見間違えてしまうほど、リアルな肌の色や表情、細やかな動きを再現しており、人間とのコミュニケーションをより深める可能性を秘めています。

人型ロボット人間の形を模倣したロボットの総称
アンドロイドロボット特に人間に酷似した外見を持つロボット

ロボットとAIの違いについては、以下の記事でも詳しくご紹介しています。

【2025】AI(人工知能)とロボットの違いとは?特徴と活用事例から理解しよう

人型ロボットの種類

人型ロボットは、移動方法によって大きく以下のタイプに分類されます。

二足歩行型ロボット人間と近い動作が可能で、より自然なコミュニケーションを取ることができる
車輪型ロボット二足歩行型に比べて安定性が高く、長距離の移動や重い物の運搬に向いている

二足歩行型ロボット

二足歩行型ロボットは、人間と同じように二本の足で立つことで、人間が生活する環境に適応できるよう設計されており、階段の上り下りといった、人間にとっては日常的な動作もスムーズに行える点が大きな特徴です。

従来のロボットは、平坦な地面での移動は得意ですが、段差を乗り越える能力は限られていました。数センチ程度の小さな段差であれば乗り越えられる場合もありますが、階段のような大きな段差は超えることができません。

また、四足歩行型ロボットは、四本の脚で安定して歩行できるため、ある程度の段差を上ることは可能なものの、階段を下りる際は、バランスを崩して転倒してしまうリスクが高くなります。

一方、二足歩行型ロボットは、人間の関節を模倣した構造を持つことで、複雑な動きが可能です。例えば、階段を下りる際には、片方の足を軸足にして、もう一方の足を慎重に下ろすという人間が自然に行っている動作を再現することができます。

二足歩行型ロボットが持つ階段の上り下りなど、複雑な地形での移動能力は、災害現場での捜索救助や介護現場でのアシストなど、様々な分野での活用が期待されています。

車輪型ロボット

車輪型ロボットは、脚部が車輪になっているため、直線的な移動においては非常にスムーズで、二足歩行型ロボットのようにバランスを崩して転倒するリスクも低いです。

また、車輪による移動は、二足歩行型に比べて消費電力が少ないため、バッテリーの持ちも良く、充電の手間を減らすことができます。

また、二足歩行型ロボットは、一歩一歩足を踏み出すため、移動速度に限界がありますが、車輪型ロボットは滑らかに走行できるため、より広い範囲を短時間でカバーできます。

これらの特徴から、車輪型ロボットは、広範囲を巡回する必要がある場所での活用が期待されています。例えば、大型ショッピングモールでは、フロアの隅々までを効率的に警備することができ、エレベーターを利用すれば、階層を移動することも可能なため、施設全体をくまなく見回る役割を担うことができるでしょう。

人型ロボットにできること

人型ロボットにできること

人型ロボットは、具体的にどんなことができるのでしょうか?以下では、人型ロボットが得意とすることについて詳しく解説していきます。

広い範囲を移動することができる

人型ロボットの中でも、二足歩行型ロボットは他のタイプのロボットと比べて、移動範囲の広さにおいて大きな優位性を持っています。

車輪型や四足歩行型のロボットは、平坦な地面を移動する点においては優れていますが、階段などの段差を乗り越えることが難しく、複数の階にわたる巡回作業には向いていません。

エレベーターを利用すれば、他の階への移動は可能ですが、階段などの人の目が届きにくい場所の巡回は依然とした課題です。

特に、階段のような死角になりやすい場所では、犯罪が発生しやすいという側面もあるため、広範囲なエリアを効率的に警備するためには、二足歩行で階段も自由に行き来できる人型ロボットが最適と言えるでしょう。

リスクが高い環境でも災害対応ができる

人型ロボットは、災害対応において重要な役割を担うことが期待されています。例えば、原子力発電所の事故現場など、人間が立ち入ることが困難な危険な環境下においても、放射線に曝されるリスクを最小限に抑えながら、状況の把握や調査を行うことができます。

人間が同じ作業を行う場合、万全の防護対策を施したとしても想定外の事態が発生し、生命の危険に晒される可能性や地震や火災などの災害現場では、倒壊した建物や瓦礫など、予測不可能な危険が潜んでいます。

救助活動や状況調査を行う際には、常に生命の危険と隣り合わせであり、作業員は大きな精神的な負担を抱えながら任務にあたっています。人型ロボットを導入することで、こうした危険な作業をロボットに任せ、人間の負担を軽減することができるのです。

さらに、人型ロボットは、人間と同じような形状をしているため、人間が使う道具や設備をそのまま利用でき、迅速な対応が可能です。

人間と同じ動作ができる

人型ロボットは、人間らしい動きから注目を集めているものの、実際の現場では、特定の作業に特化した協働ロボットや介護ロボットが活躍しているケースが多いのも事実です。

これらのロボットは、それぞれの業務に最適化された構造を持つため、高度な専門性を発揮することができるものの、プログラムされた範囲を超えた作業や予期せぬ状況への対応は苦手としています。

一方、人型ロボットは人間と同じような身体構造を持つことで、理論上は人間のこなせる幅広い作業を代行することが可能です。AIによる高度なプログラミングが不可欠ですが、状況に応じて臨機応変に対応できる点が大きな特徴です。

特に、日本においては労働人口の減少が深刻化しており、人型ロボットは様々な職種で人手不足を解消する鍵となる可能性を秘めています。

例えば、介護現場では高齢者の身体を支えたり、コミュニケーションを図ったりといった、人間らしい繊細な対応が求められるニーズに応えることができる存在として期待されているのです。

周りを温かい雰囲気にする

人型ロボットは人間らしい姿から、私たちに安心感や親しみやすさを感じさせます。特に、アンドロイドのように人間に酷似したロボットは、一見不気味に映るかもしれませんが、マスコットのような可愛らしいデザインにすることで、周囲を温かい雰囲気で包み込むことができます。

例えば、多くの人々に知られているPepperは、愛らしい外見とコミュニケーション能力で、多くの人から愛されています。

近年では、Pepperのようなコミュニケーションロボットは、高齢者向けの介護施設でも導入が進んでおり、ロボットとの会話を通じて、孤独感を解消したり、心の安らぎを得たりしています。

また、ショッピングモールや介護施設など、多くの人が集まる場所でも、可愛らしい見た目のロボットは、来場者や利用者の心を癒し、施設全体の雰囲気を明るくすることができるでしょう。

人型ロボットができないこと

人型ロボットは、様々な分野で活躍が期待されているものの、万能ではありません。人間のように何でもこなせるわけではなく、まだ克服できていない課題も数多く存在します。

以下では、人型ロボットができないことについて解説します。

空気を読むことはできない

ビジネスシーンにおいて、相手の気持ちを察し、状況に応じた適切な対応を取る「空気を読む」能力は、人間関係を円滑にし、新たなビジネスチャンスを生み出す上で重要です。

近年、AIを搭載した人型ロボットの過去のデータに基づいた予測や判断を行う能力は、人間を凌駕するケースも出てきていますが、どんなに高度なAIを搭載したロボットであっても、人間が持つ共感能力や直感などの能力を完全に再現することは困難です。

例えば、ビジネス交渉においては、相手の表情や言葉の端々から、その時の感情や意図を読み取ることが重要ですが、ロボットはデータに基づいた判断しかできないため、人間の持つ微妙なニュアンスや状況に応じた臨機応変な対応は難しいと言えます。

そのため、企業は人型ロボットを導入する際、すべての業務を人型ロボットに置き換えるのではなく、人間の持つ強みと人型ロボットの強みを組み合わせ、それぞれの特性を活かした業務分担を行うことが重要です。

AIを活用した営業については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。

【2025】AIを営業に活用するには?7つのメリットや導入の注意点

幅広いことには対応できない

人型ロボットは、人間のような動きを再現できるという点で大きな魅力を持っていますが、現在の技術では、人型ロボットは事前にプログラミングされた状況にしか対応することができず、突発的なトラブルが発生すると、ほとんどの場合、動作を停止してしまうのが現状です。

あらゆる状況に対応できるようにするためには、膨大な量のプログラミングが必要となり、開発には多大な時間とコストがかかります。

また、人間のような柔軟な思考や判断能力をロボットに実装することも、容易ではありません。 人間は経験や直感に基づいて状況を判断し、臨機応変に対応することができますが、ロボットは、あらかじめ設定されたプログラムに従って動くしかありません。

そのため、人間のように幅広い状況に対応できるロボットを開発するためには、AIのさらなる発展が重要です。

人型ロボットの導入で人の仕事を変化させよう

今回は、人型ロボットにできること、できないことを解説しました。人型ロボットは、人間の仕事を奪う存在ではなく、むしろ仕事のあり方そのものを変化させる存在になりつつあります。

SF映画のような完全な自律型の人型ロボットはまだ実現していませんが、コミュニケーションロボットやセキュリティロボットなど、既に様々な分野で活躍し始めています。

コミュニケーションができる人型ロボットは、その親しみやすいデザインと高度な会話機能によって、人々の心を癒す役割を果たします。

特に、オフィス環境においては、社員間のコミュニケーションを促進し、創造性を刺激するような働きが期待できるでしょう。

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