【2025】EV車、実はこんなデメリットも!購入前に必ず確認すべきこと

EV車の普及が、自動車業界の勢力図を大きく変えようとしています。日本の部品メーカーTPRは中国に拠点を移し、武蔵精密工業がインドに進出するなど、グローバルな競争が激化しています。

EV車は、走行コストの安さや災害時の非常用電源としての活用など、多くのメリットを備えている一方で、車両価格の高額さや航続距離の短さといった課題も指摘されています。

今回は、EV車におけるデメリットやEV車を購入する際のポイントを詳しく解説します。

EV車とは

EV車とは

EV車はガソリンやディーゼルを使用せず、電気のみを動力源とする電気自動車のことです。「Electric Vehicle」の略で、直訳すると「電気の乗り物」となります。

エンジンではなくモーターを搭載し、バッテリーに蓄えられた電気を利用して走行する仕組みで、走行中に排気ガスを排出しないため、環境負荷が低い点が特徴です。地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量を大幅に削減できることから、近年注目を集めています。

電気の力で駆動する電気自動車には欠かせない半導体については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。

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EV車とエンジン車の違い

EV車と従来のエンジン車との違いは、タイヤを動かすエネルギーを生み出す源泉に大きくあります。

EV車バッテリーに蓄えられた電気エネルギー
エンジン車燃料を燃焼させて得られる熱エネルギー

従来のエンジン車は、ガソリンやディーゼルなどの燃料を燃焼させることで得られるエネルギーを動力源としています。この燃焼によって生じる熱エネルギーが機械的な運動エネルギーに変換され、タイヤを回転させるのです。

一方、EV車をはじめとする電動車両は、電気エネルギーを動力源としています。大きなバッテリーに蓄えられた電気エネルギーがモーターに供給され、その回転力がタイヤに伝わることで走行します。

EV車に向いている自動運転については、以下の記事で詳しくご紹介しています。

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EV車の種類

一般的にEV車というと、100%電気のみで走る車をイメージされることが多いですが、電気を使って走行する車は全てEV車に含まれます。EV車には4種類あり、それぞれに異なる特徴とメリットがあります。

BEV車(Battery Electric Vehicle)一般的なEV車
HEV車(Battery Electric Vehicle)ハイブリッド車
PHEV車(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)バッテリーが切れてもエンジンで走行可能
FCEV車(Fuel Cell Electric Vehicle)電気でモーターを駆動する燃料電池車

すべてのEV車に共通するのは、電気を使ってモーターを動かすという点ですが、EV車の種類によって電気の作り方や走行距離、充電時間などが異なります。

BEV車

BEV車はバッテリー式電気自動車とも呼ばれ、ガソリン車とは全く異なる仕組みで動く車です。エンジンを持たず、代わりにバッテリーに蓄えられた電気エネルギーでモーターを駆動させて走行します。そのため、走行中に二酸化炭素を排出しないことから、環境負荷が低く、エコカーと言えるでしょう。

BEV車の大きな魅力の一つは、維持費の安さです。ガソリン代がかからないため、長距離走行を頻繁に行わない限り、燃料費は大幅に削減できます。

ただし、航続距離がガソリン車に比べて短いという側面もあるため、こまめな充電が必要になります。しかし、自宅や公共の充電設備を利用することで、手軽に充電を行うことができます。

HEV車

HEV車は、ガソリンエンジンと電気モーターの2つの動力源を組み合わせたハイブリッド車です。ハイブリッドという言葉が示す通り、それぞれの動力源のメリットを活かして、より効率的な走行を実現しています。

HEV車には、大きく分けてストロングハイブリッドとマイルドハイブリッドの2種類があります。

ストロングハイブリッドエンジンで発電した電力でモーターを駆動し、モーターのみで走行できる
マイルドハイブリッドエンジンを主体として、発進時や加速時などにモーターが補助する

ストロングハイブリッドはさらに、エンジンとモーターの組み合わせ方によって以下に分類されます。

  • シリーズ方式:エンジンは発電のみに使用し、走行はモーターのみで行う
  • スプリット方式:走行状況に応じて、エンジンとモーターの出力割合を調整する

一方、マイルドハイブリッドは、主にエンジンが主に走行を行い、モーターが補助するパラレル方式を採用しています。

PHEV車

PHEV車はプラグインハイブリッド電気自動車とも呼ばれます。ガソリンエンジンと電気モーターの2つの動力源を持つ点ではHEV車と共通ですが、大きな違いは、外部電源から充電できる点にあり、コンセントにプラグを差し込んで充電するため、プラグインと名付けられました。

PHEV車は、HEV車に比べて大容量のバッテリーを搭載しており、電気だけで長距離を走行することができるため、充電さえすれば、内燃機関に頼ることなく、より環境負荷の少ない走行が可能です。

万が一、バッテリーが切れてしまっても、ガソリンエンジンで走行できるため、電気自動車に対する航続距離の不安を解消できます。これは、PHEV車が電気自動車とガソリン車の両方のメリットを兼ね備えていることを意味します。

PHEV車の充電方法には、BEV車と同様に普通充電と急速充電がありますが、すべてのPHEV車が急速充電に対応しているわけではありません。

特に輸入車の場合、急速充電に対応していないモデルが多い傾向にあるため、急速充電を頻繁に利用したい場合は、国産車の中から充電方法を確認して選ぶことをおすすめします。

ちなみに、PHEV車には、EREV車(レンジエクステンダー自動車)と呼ばれる種類もあり、発電専用エンジンを搭載し、バッテリーの電力を使い果たした場合に、エンジンで発電してモーターを駆動する仕組みになっているため、バッテリーの航続距離をさらに伸ばすことができます。

充電スタンドが少ない場所での長距離ドライブを計画している場合など、バッテリー残量を気にせずに安心して旅行を楽しみたい方には、EREV車がおすすめです。

FCEV車

FCEV車は水素を燃料とする電気自動車でガソリン車とは異なり、水素と酸素の化学反応によって電気を生み出す燃料電池を搭載しています。そのため、走行中に排出されるのは水のみで、二酸化炭素を全く排出しないクリーンなエネルギー源として注目されています。

FCEV車の大きな特徴の一つは、ガソリン車と同等の航続距離を実現できる点です。さらに、水素の充填時間はわずか数分で済むため、充電に時間がかかる電気自動車と比較して、利便性が高いと言えるでしょう。

FCEV車にはまだ高い車両価格や水素ステーションの整備が進んでいないといった課題も存在しますが、日本の主要な自動車メーカーを中心に開発が進められており、今後の普及が期待されています。

EV車におけるデメリット

EV車は多くのメリットから注目を集めている一方で、多くの課題も存在します。以下では、EV車導入を検討されている方が、現実に直面する可能性のあるデメリットについて解説していきます。

車両価格が高い傾向にある

EVとエンジン車の大きな違いの一つとして、車両価格の高さがあげられます。特に、軽自動車の価格帯を比較するとその差は顕著です。例えば、日産の軽EV「サクラ」の価格は約255万円〜304万円と、同クラスのエンジン車「デイズ」の約144万円〜200万円と比べて高額です。

また、EV車は車両価格が高いだけでなく、選べる車種が少ないという課題も抱えています。EVはこれから普及していく新しい技術であり、欧州や中国など、世界的な需要が高い市場ではミニバン型のEV車も存在しますが、より高級感のある大型SUVやセダンが人気を集めているため、現時点では国内で販売されているEV車の車種は限られているのです。

航続距離が短い

EV車は、航続距離の短さが課題として挙げられることがあります。一般的に、EVの航続距離は200~600km程度であるのに対し、ガソリン車は500~1,500kmと、一回の燃料補充で走行できる距離に大きな差があります。

先述したEV車の車両価格がガソリン車よりも高くなる要因の一つに、高価なバッテリーのコストが挙げられます。EVの航続距離は、搭載されるバッテリーの容量に比例して長くなります。

つまり、より多くの電気を蓄えられる大容量のバッテリーを搭載すれば、それだけ長い距離を走行できるようになるのです。

燃料の補充に時間がかかる

ガソリン車であれば数分で給油が完了するのに対し、EVの充電は車種やバッテリーの状態によって異なりますが、通常充電では満充電まで7~14時間、急速充電であっても30分~1時間近くを要することが一般的です。

この充電時間の長さは、ガソリン車に慣れたユーザーにとっては大きな不便に感じられるでしょう。さらに、急速充電に対応した充電スポットは、ガソリンスタンドのようにどこにでも設置されているわけではありません。

利用できる場所が限られているため、長距離のドライブや緊急時の充電など、柔軟な利用が難しいという課題も抱えています。

バッテリーの持ちが悪くなる

EV車の多くは、スマートフォンにも使われているリチウムイオン電池を駆動用バッテリーに採用しています。スマートフォンを使っていると、時間が経つにつれてバッテリーの持ちが悪くなり、頻繁に充電が必要になることを経験する方も多いでしょう。

このことから、EV車のバッテリーも数年で劣化してしまうのではないか?と心配するユーザーは少なくありません。

充電設備の設置が必要になる

EV車を自宅で充電するためには、専用の充電設備が必要となります。戸建て住宅の場合、敷地内に充電設備を設置するためのスペースを比較的容易に確保できるため、所有者の判断で設置が可能です。

一般的には、ブレーカーを備えた専用の100Vまたは200Vコンセントを用いた普通充電器が設置されますが、マンションやアパートなど、複数の世帯が共同で生活する集合住宅の場合、充電設備の設置は戸建て住宅に比べて複雑な手続きが必要となります。

まず、充電設備を設置するためのスペースを確保しなければならず、同じ建物に住む他の住人の理解と同意を得るため、管理組合での決議が必要となるケースが一般的です。さらに、マンションによっては、電気容量や配線の状況により、充電設備の設置が難しい場合もあります。

そのため、集合住宅にお住まいの場合は、あらかじめ充電設備が設置されている物件を選ぶか、入居後に管理組合と協議し、充電設備の新設や増設を検討することが必要です。

EV車を購入する際のポイント

EV車を購入する際のポイント

EV車のデメリットは、適切な対策を講じることで、その影響を軽減することができます。以下のポイントを把握することで、EV車のメリットを最大限に活かし、より快適なカーライフを送ることができるでしょう。

補助金を活用する

EV車の購入を検討されている方は、国や地方自治体による補助金制度、EV車独自の税制優遇制度を活用することで、よりお得にEV車を手に入れることができます。

例えば、CEV補助金は自治体の補助金と併用できるため、よりお得にEV車を手に入れることが可能です。補助金の対象は個人だけでなく、地方公共団体や企業も含まれています。

また、EV車の充電設備についても補助金が支給されるケースがあります。ただし、補助金の対象となる充電設備の型式は限られているため、導入前に必ず確認して下さい。

さらに、EV車には独自の税制優遇制度も適用されます。自動車税や自動車重量税が軽減されるため、ガソリン車と比較して、長期的にお得に利用できるでしょう。

EVの購入を検討されている方は、これらの補助金や税制優遇制度を賢く活用することで、より経済的にEV車を購入することができます。

走行距離を考慮した車両を選ぶ

EVを導入する上で最も重要なことは、日常的な走行距離を追加の充電設備に頼ることなくカバーできるかどうかを慎重に検討することです。

長距離を走行する場合、大容量バッテリーを搭載した車両が必要となる一方で、車両価格も高額になるため、普段の走行距離を踏まえ、最適な車両を選ぶことが重要です。

計画的に充電する

EV車は、ガソリン車とは異なり手軽に充電できるという特徴があります。例えば、オフィスに戻った際に、ケーブルを繋ぐだけで充電できるため、ガソリンスタンドにわざわざ立ち寄る必要がありません。

営業や送迎など、日常的な移動であれば、200km程度の航続距離で十分なことが多いでしょう。長距離運転の場合でも、事前に充電スポットを調べておいたり、休憩中に計画的に充電したりすることで、不便さを感じることはありません。

例えば、非利用時に少しずつ充電しておいたり、移動中に立ち寄る場所にある充電設備を利用したりすれば、航続距離や充電時間に対する不安を解消できます。

一般的に、EVの航続距離は200km程度と言われており、片道20kmの通勤であれば、4~5日は走行できるため、3日に1回充電するといった計画的な充電を行えば、航続距離を過度に心配する必要はありません。

EV車には納得できるタイミングでシフトしよう

EV車には納得できるタイミングでシフトしよう

今回は、EV車におけるデメリットやEV車を購入する際のポイントを解説しました。EV車は、ガソリン車に比べて騒音や振動が少ないため、非常に静かで快適な乗り心地が魅力です。

また、電気で動くため、燃料費が抑えられ経済的で環境への負荷も少ないという点も注目されています。一方で、EV車はバッテリーが高価なため、ガソリン車と比較すると初期費用がかかってしまったり、航続可能距離が短いモデルは、長距離の移動には不安を感じたりする方もいるかもしれません。

さらに、充電時間が長いという点も改善の余地がある部分です。しかし、補助金制度を利用したり、自宅に充電設備を導入したりすることで、これらの課題を解消できる可能性もあります。

電気自動車を選ぶ際には、メリットとデメリットを比較し、ご自身のライフスタイルや用途に合った一台を見つけることが大切です。ご自身のカーライフをより豊かにするために、EV車の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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