プログラミング教育は近年の教育市場でも重要な位置を占め、いまや単なる技術スキルにとどまらず、論理的思考力や問題解決能力を育むための重要な学習内容として知られています。
小・中・高校それぞれの段階で、プログラミングの授業はどのように展開されているのでしょうか。各学年での授業内容やアプローチの違いを理解しつつ、どのように段階的にスキルが身についていくのか、本記事で詳しく見ていきましょう。
そもそもプログラミングの授業とは?
プログラミングの授業では、基本的なプログラムの書き方やコンピュータの動作原理を理解しながら、問題解決能力や論理的思考を養います。授業の目的は単にプログラミングの技術を学ぶことにとどまらず、複雑な問題を分解して解決する力や、創造的なアイデアを実現する能力を育むことです。
プログラミングを通じて数学的な論理やアルゴリズムの理解が深まったり、デジタル技術の基礎を固めることが可能になります。また現代社会ではITスキルが求められる場面がとにかく多いので、プログラミングの授業は将来の仕事や学問の幅を広げるうえでも有効といえます。
プログラミングを学ぶことで将来的に技術者としての可能性が広がるだけでなく、創造性や問題解決能力を高めるうえでも役に立ちます。
プログラミングの授業の特徴
プログラミングの授業の特徴としては、以下の点が挙げられます。
- 科目として追加されるわけではない
- 考え方や思考を身に付けるのが目的
それぞれ順を追って紹介します。
特徴①科目として追加されるわけではない
プログラミングの授業は従来の科目として追加されるのではなく、既存のカリキュラムの一部として統合されています。たとえばプログラミングは独立した科目ではなく、国語や算数などの授業に組み込まれる形で提供されます。
プログラミングの知識は単なる技術的なスキルにとどまらず、広範な学問領域に応用される実践的な力となります。そのため授業のプログラミングの学習で興味を促進し、その知見を他の分野にも応用できるようにするためにしているのです。
特徴②考え方や思考を身に付けるのが目的
プログラミングの授業の主な特徴は、単に技術を学ぶのではなく、考え方や思考のプロセスを身に付けることにあります。小学校低学年ではPCを使わず、プログラミング的な考え方を養う活動が中心です。
たとえばロジカルな思考や問題解決のステップを理解するためのゲームやブロックプログラミングが行われます。言語の記述法や具体的なコードの実装方法は後回しにされ、基本的な「論理的思考」を育てることが重視されます。
小学校高学年では正多角形の制作、中学生となるとデータ型やアルゴリズム、そして高校に進むとプログラミングの授業はより専門的な内容に進展します。学部や学科によってはC言語やPythonなどのプログラミング言語を実際に使用する機会もあります。
主にプログラムを書くための具体的な技術やツールを学び、より高度な問題解決能力を培うことが目的です。
学生が授業でプログラミングを学ぶメリット
学生が授業でプログラミングを学ぶメリットには、以下のようなものがあります。
- 論理的思考が身につく
- 創造力が鍛えられる
- 卒業後の選択肢が広がる
それぞれ解説していきます。
メリット①論理的思考が身につく
学生が授業でプログラミングを学ぶ大きなメリットとしていちばん大きいのは、論理的思考が身につくことです。プログラミングは問題を細分化し、具体的な手順に従って解決策を導き出す過程を通じて、論理的な考え方を養えるからです。
論理的思考は、今後社会で生きていくうえでもはや必須のスキルです。テクノロジーが進化する現代社会では、複雑な問題を解決する能力や合理的な判断が求められる場面が増えているので、プログラミングで培った論理的思考はどの分野においても大いに役立つでしょう。
メリット②創造力が鍛えられる
プログラミングの授業を通じて得られるもう一つの大きなメリットは、創造力が鍛えられる点です。プログラミングは単にコードを書く作業ではなく、アイデアを形にする過程そのものだからです。
たとえばゲームを作成したり、アプリケーションの機能を設計したりすることで、創造的な発想を実際のプロジェクトに反映させる力が養われます。こういった経験は論理的な側面だけでなく、想像力を駆使して新しいものを生み出す能力を高めます。
メリット③卒業後の選択肢が広がる
プログラミングのスキルは現在の多くの職種で重宝されるものであり、とくにIT業界では非常に高く評価されます。そして将来的にも単なる技術職にとどまらず、ビジネスやマーケティング、医療、教育など多岐にわたる分野で活かせます。
テクノロジーが進化し続ける中でプログラミングスキルを持つことで新しい業界や職種にもスムーズに適応できるため、将来的に多様なキャリアパスを選択する際の大きな武器となります。将来はおそらく今以上にどの業界でもIT人材は需要が生じるため、今から勉強するに越したことはないでしょう。
小学生が授業で学ぶプログラミングの内容
小学生が授業で学ぶプログラミングは、基本的な概念の部分が大きく、実際の言語や技術、記述法などに触れるわけではありません。まずプログラムとはどのようなものかを理解し、スクラッチやビジュアルプログラミングツールを使って、直感的にプログラムを組み立てる方法を学びます。
スクラッチは以下のような画面構成で、左側のオレンジ色のパーツが命令となります。右下の部分ではキャラクターの表示の大きさや位置を調整できるなど、思い思いかつ直感的に動かすことが可能です。
簡単なゲームを作成することでプログラミングの考え方を楽しく身につけるとともに、プロジェクト作成を通じて学んだ知識を実際に活用する経験を得ます。大まかな内容をまとめると、以下のようになります。
カテゴリ | 内容 |
基本概念 | プログラムの基本の概念 |
ブロックプログラミング | スクラッチやビジュアルプログラミングツールを使用して、基本的なプログラムを作成 |
ゲームプログラミング | 簡単なゲームを作成することで、プログラミングの実践を学ぶ |
グラフィックとアニメーション | 画面上での図形描画やアニメーションの基本、視覚的なフィードバックを理解する |
プロジェクト作成 | 単純なプロジェクトを作成し、学んだ知識を実践する |
なお以下の記事では、未来のエンジニアを育てるための小学生向けのプログラミング体験について解説しています。興味のある方はぜひご一読ください。
中学生が授業で学ぶプログラミングの内容
中学生が授業で学ぶプログラミングは、より本格的な内容に進みます。たとえばプログラミング言語の基本構文として、変数やデータ型、演算子などの基礎を学びます。
また条件分岐や繰り返し処理を通じて、プログラムの流れを制御する方法を習得します。そして関数の定義と呼び出し、コードの再利用を学び、モジュール化による効率的なプログラム作成の基本なども学びます。
環境によっては配列やリスト、辞書といったデータ構造に触れることもあります。学ぶことを大まかにまとめると、以下のようになります。
カテゴリ | 内容 |
プログラムの基礎 | プログラミング言語の基本構文(変数、データ型、演算子など) |
構文 | 条件分岐や繰り返し処理(if文、switch文、for文、while文など) |
関数とモジュール | 関数の定義と呼び出し、コードの再利用、モジュール化の基本 |
データ構造 | 配列やリスト、辞書などの基本的なデータ構造 |
アルゴリズム | ソートや検索などの基本的なアルゴリズム |
高校生が授業で学ぶプログラミングの内容
高校生の授業では、より専門的で実践的なプログラミングを学びます。PythonやJava、C++といった複数のプログラミング言語を実際に触り、基礎から応用まで学びます。
複雑なアルゴリズムやデータ構造を理解し、実装できるスキルを身につけたり、ソフトウェア開発のプロセスについても学んで実際のプロジェクトに応用できる知識を得ます。
また学校によってはデータベースの操作やWebプログラミング、基本的なセキュリティ対策についても学習します。さらに機械学習やAIの基本概念とモデル作成に触れられる学校も存在します。
高校生が授業で学ぶプログラミングの内容を一覧にまとめると、以下のようになります。
カテゴリ | 内容 |
プログラミング言語 | 複数のプログラミング言語(Python, Java, C++など)の基礎と応用 |
アルゴリズム | 複雑なアルゴリズム(ソートアルゴリズム、探索アルゴリズム、再帰など)の理解と実装 |
データ構造 | 複雑なデータ構造(スタック、キュー、ツリー、グラフなど)の理解と操作 |
ソフトウェア開発 | ソフトウェア開発の基本プロセス(要件定義、設計、実装、テスト、保守) |
データベース | データベースの基本概念、SQLを用いたデータベース操作、データの取得と管理 |
Webプログラミング | HTML、CSS、JavaScriptを用いたWebページの作成と基本的な動的機能の実装 |
セキュリティ | 基本的なセキュリティ対策(認証、暗号化、脆弱性管理など) |
機械学習とAI | 基本的な機械学習の概念と簡単なモデルの作成(オプション、学校のカリキュラムにより異なる) |
授業のプログラミングを学ぶならPython基礎セミナー
授業のプログラミングの内容をより理解したいなら、Python基礎セミナーがおすすめです。こちらは未経験者でもたった2日間でPythonをマスターレベルまで習得できる短期集中講座となっており、Pythonの基礎文法やライブラリの使い方やWebスクレイピング、データ可視化、Excelの自動化、画像処理、そしてAIの概要までを学振ことができます。
受講形式は、会場受講、ライブウェビナー、eラーニングの3つから選択可能で、eラーニングは他の講座と比較しても圧倒的に安い27,500円で受講可能。またこの講座は「Python3エンジニア認定基礎試験」や「データ分析試験」の対策にも役立つ内容となっており、授業のみならず、将来的に実務で即活用できるスキルをスピーディーに習得できます。
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なおPythonについて興味のある方は、以下の記事も参考になるのでぜひご一読ください。
プログラミングの授業まとめ
プログラミングの授業は、小・中・高校それぞれの教育段階で異なる焦点を持ちながら、確実にスキルを育むカリキュラムが組まれています。小学校では基礎的な論理的思考や簡単なプログラミング言語に触れ、興味を引き出す内容が多いです。
そして中学校ではより具体的なプログラミングスキルが求められ、実践的なプロジェクトや問題解決を通じて実力をつけていきます。高校では学部などで異なりますが、専門的な知識と技術を深め、より高度なプログラム開発やデータ処理など実社会で必要とされるスキルに近づける教育が行われます。
このように各教育段階で段階的にスキルを積み上げることで、学生たちは確かなプログラミング能力を身につけ、自信を持って未来に挑めるようになります。