生成AIの発展に伴って、企業でのAIエンジニアの必要性が高まっています。そこで多くの企業や個人が課題として挙げるのが、人材育成のための方法です。
しかし、AIエンジニアを増やすには、学習や研修の体制が整っていない企業や個人も少なくありません。そこで、学習内容とその手順、おすすめな学習方法4選について紹介します。
AIエンジニアに学習が必要な理由
AIエンジニアは、エンジニア職の中でも特に基礎知識と最先端の学習が必要な職種です。そのため、以下の内容を主に学ぶ必要があります。
- 基礎知識の習得
- 具体的な開発スキルを身につける
基礎知識の習得
まずはAIエンジニアが最初に身につけるべき基礎知識の習得が挙げられます。エンジニアの基礎知識とは、数学や情報の基礎、プログラミングなどです。
また、AIは情報処理としてデータを扱う技術分野のため、OSやソフト、情報データなど最低限の知識が不可欠です。
具体的な開発スキルを身につける
次に、Pythonで開発の具体的な基礎を学ぶことです。
Pythonは、AIのコード作成や学習データの取り扱い、AIモデルの開発が具体的にできます。その際、開発環境の構築、ライブラリの使い方などを学ぶことが大事です。
文法・構文を学ぶだけでは実際にコードを作成することは難しく、コード設計やAI用のライブラリ活用などを体系的に覚えていく必要があります。AIエンジニアとして活躍するには、プログラムの理論だけでなく実際に動くものを作るスキルが欠かせません。これがPythonを使ってプログラムを書く理由です。
AIエンジニアの学習手順
次に、AIエンジニアの学習内容を踏まえた手順を紹介します。
手順 | 詳細 |
①AIの全体像と仕組みを理解する | AIエンジニアは、AIの概要や全体像を押さえる必要がある |
②必要な数学的基礎を身につける | AIの理解をさらに深めて、統計・データの扱いに必要な数学を学ぶ |
③Pythonを使ってプログラミングの知識の習得 | Pythonの文法・構文を学んで、環境構築を行う |
④Pythonのコード作成の中で開発スキルを磨く | 提供されているAPIやライブラリの活用、全体のコード設計のスキルなどを磨く |
⑤機械学習のアルゴリズムと考え方を学ぶ | 機械学習のアルゴリズムを理解し、データを活用できるようになる |
⑥生成AIや最新の技術トレンドに触れる | 最新技術を追うだけでなく、それを使えるようにAPIを通じて既存のモデルを自分のプログラムに組み込む |
⑦学んだ成果を形にする | 外部に対して自分のスキルをアピールできるようにする |
まずAIエンジニアは、AIの概要や全体像を押さえる必要があります。次に、AIエンジニアはAIの理解をさらに深めて、統計・データの扱いに必要な数学を学びます。数学的な基礎として例えば、確率や線形代数(ベクトル・行列)、微積分などです。数学があまり得意でない方は、基本的な計算ルールや基礎の基礎から学び直すケースもあります。
AI周りの知識を押さえたら、今度は具体的な開発スキルを身につけて、開発現場でも使えるレベルに引き上げることです。そのためには、Pythonの文法・構文を学んで、同時に環境構築まで行います。
さらに、提供されているAPIやライブラリの活用、全体のコード設計のスキルなどを磨きます。このとき、AIに関連した数値処理のライブラリ(NumPy、Pandas)や機械学習・深層学習のライブラリ(scikit-learn、TensorFlow)などはよく使われるため、実務に耐えるレベルまで使い方を知って慣れることです。ここまでの基本的な開発技術を手にするまでに200~300時間がかかります。
基本を習得した後は、Pythonと数学的基礎を組み合わせて、機械学習のアルゴリズムを理解し、データを活用できるようになることです。本来、AIで使用するデータは、職業や業種によって異なるデータがあります。例えば、画像データの処理、文章データの処理、時系列データの処理、表データの処理などに分類されるのです。この先、自分が就きたい業種・業界にあわせたデータの学習を重点的に進めることです。
また、学習を進める際に、最新技術を追うだけでなく、それを使えるようにAPIを通じて既存のモデルを自分のプログラムに組み込むことも可能です。AIエンジニアにとっては、応用の幅が一気に広がります。
最後は、学んだ内容を形にして発信することが必要となります。外部に対して自分のスキルをアピールできるようにするのです。特にエンジニア案件の獲得や企業への就職では、制作物や実績をまとめた「ポートフォリオ」が判断・評価の対象です。自作のAIプロジェクトをGitHubに公開したり、小さなプロジェクトに参加して実績を積んだりすることが有効です。
AIエンジニアの学習ポイント
AIエンジニアが学習を始める際は、以下のポイントを押さえることが大事です。
- 目標を決める
- キャリアパスを見通す
- 自分にあった学習方法にする
目標を決める
1つ目は、目標を決めることです。目標といってもAIエンジニアの場合は具体的に職種を決めるだけで十分に目標となります。職種によって必要なスキルや経験は異なるためです。
自分が目指す職種やポジション、案件に必要な技術レベルやスキルを逆算し、学ぶべき内容と深さを具体的に計画することが効率的な学習につながります。
キャリアパスを見通す
2つ目は、長期的なキャリアパスを通して、適切な学習を進める計画を立てることです。
例えば、初期段階では「AI開発補助」や「分析サポート」といった職種で経験を積みます。その後、モデル設計やデータ戦略に関与する中級のAIエンジニアへとステップアップするケースです。
さらに上を目指すなら、「AIアーキテクト」や「研究開発職(R&D)」のように、技術全体の設計や新技術を担う立場を目指すこともあります。最近ではプロジェクトマネージャーや技術顧問として、AI戦略を企業全体に適用する役割も求められるでしょう。
もちろん、上記はほんの一例で、AIエンジニアとして将来の最終目標から、いますべき業務内容や学習内容を明確にすることです。
自分にあった学習方法にする
AIまわりの学習は範囲が広く、数学やAIの応用などは内容が高度になりがちです。そのため、自分に合った学習方法を見つけて効率的に学ぶことが必要です。
例えば、動画で直感的に理解する方が得意な方もいれば、書籍やセミナーで体系的に学ぶほうが集中できる方もいます。また、独学が得意な人もいれば、オンラインのコミュニティや講座で人と関わりながら進める方が続けやすい人もいるでしょう。
時間の確保の仕方やモチベーションの維持にも個人差があります。そのため、自分に無理のないペースと方法で学習を継続することが、最終的な成長の差となるのです。
AIエンジニアにおすすめな学習方法4選
ここでは、AIエンジニアにおすすめな学習方法4選を紹介します。
- 書籍学習
- YouTube動画・WEBサイト学習
- eラーニング・ウェビナー
- スクール・セミナー
書籍学習
書籍は、AIや機械学習を体系的に学ぶのに適した教材です。特に理論やアルゴリズムの背景を基礎からしっかり理解したい人にとって、紙の本や電子書籍は信頼できる情報源です。
1冊で完結するものから複数冊で応用まで学べるシリーズもあり、入門編・基礎編などでは数学的な基礎からニューラルネットワークの仕組み、モデルの評価指標まで段階的に解説されています。
また、定番のAI専門書は研究者や実務家が執筆していることも多く、信頼性が高いのが特徴です。ただし、書籍の学習は独学となるため、わからないことがあっても誰かに聞けないという欠点があります。
YouTube動画・WEBサイト学習
2つ目の方法は、YouTube動画・WEBサイト学習です。書籍は費用負担で購入して学習する方法ですが、この方法は基本的に無料で学習可能です。YouTubeや専門サイトでは、視覚的に学べるため、抽象的な概念の理解がしやすくなります。
特に初心者向けの動画では、数学の基本やPythonの文法、機械学習の仕組みなどを音声や図解、アニメーションでわかりやすく解説しているものが多く、学習の入り口として効果的です。
ただし、情報が古かったり、信頼できる人物が監修していない素人コンテンツだったりすることがあります。そのため、内容の信頼性や体系性にはばらつきがあり、情報源の確認や複数のコンテンツを比較しながら学習を進めることが必要です。
eラーニング・ウェビナー
3つ目の方法は、eラーニングの動画・文章コンテンツによる学習やウェビナー・オンライン学習です。まずeラーニングは、カリキュラムが整理された初学者から中級者まで段階的にスキルを積み上げられる学習方法です。
無料の学習方法とは異なり、オンライン学習プラットフォームやAIスクールがeラーニング向けに提供している教材を使用します。そのため、一定の費用がかかることが欠点です。
しかし、動画・テキスト・クイズ・実装課題がセットになっていることが多く、学びながら手を動かせる構成となります。そのため、楽しみながら学びやすい工夫がされています。
また、動画は用意されたコンテンツを視聴するだけですが、ウェビナー・オンライン学習の場合はリアルタイムで授業を受けるスタイルで学習できます。現役エンジニアや研究者による最新事例の紹介や質疑応答があり、積極的に聞いて学べるのが魅力です。通学が難しい人や、自分のペースで学びたい人にとっては、有効な選択肢といえます。
スクール・セミナー
4つ目の方法は、AIエンジニアやAi基礎分野に関連した学習ができるスクール・セミナーの利用です。AI専門スクールやリアル開催のセミナーは、体系的なカリキュラムと講師からの直接指導を受けられる点が強みです。
特に、現場で使われている実践的な学習内容で、実務に直結したスキルが身につくのです。期間は短期間のものから中・長期のものまでさまざまです。短期集中セミナーでAIの基礎部分を短期間で学びたいときに便利でしょう。
また、リアル会場だけでなく、オンライン形式で受講できるスクールも増えています。eラーニング・ウェビナーのほうに申し込めるセミナーを使えば、地域や時間に縛られず学べる環境を用意することが可能です。
AIエンジニアにおすすめな個人・法人向けセミナー
以下に、おすすめの短期集中セミナー講座を個人向けと法人向けにそれぞれ紹介します。
- 個人の場合におすすめな「AIエンジニア育成講座」
- 法人の場合におすすめな「DX・AI人材育成研修サービス」
個人の場合におすすめな「AIエンジニア育成講座」
個人でAIエンジニアを目指しながら学習をする方におすすめのセミナーが「AIエンジニア育成講座」です。基礎からAIを身につけられるため、AIやプログラミングが未経験の個人の方でも安心して学べる内容となっています。特に、短期間で実務に直結するAIスキルを習得できる点が大きな魅力です。
学習手順もPythonの基本から始まり、機械学習やディープラーニング、画像認識、時系列データ分析まで幅広くカバーされています。
セミナー名 AIエンジニア育成講座 運営元 GETT Proskill(ゲット プロスキル) 価格(税込) 41,800円〜 開催期間 2日間 受講形式 対面(東京)・ライブウェビナー・eラーニング
法人の場合におすすめな「DX・AI人材育成研修サービス」
法人向けとしておすすめなセミナーが「DX・AI人材育成研修サービス」です。この研修サービスは、AIエンジニアをはじめとした人材育成を目的としています。
社員にただ研修を受けさせるのではなく、企業のDXレベルをチェックして、教育体制を整える提案を受けられるのが強みです。そのため、課題とゴールを明確にした上で、人事評価と連動させる仕組みを導入、外部に頼らない自社研修を実施することができます。
すでにこの研修サービスを利用している一部の企業が、業務効率化や自社のAI開発の下地作りなどを果たすなど、多数の導入実績があります。
AIエンジニアにおすすめな学習方法のまとめ
AIエンジニアの学習方法は、独学からスクール、セミナーを利用したものまで多彩です。学ぶ内容は、AIの仕組みや数学、Pythonの基礎・応用、深層学習、さらに最新の生成AI技術です。
自分の目標やキャリアパスを見据え、必要なスキルを逆算して計画的に学ぶことで、無理なく実力を積み重ねることができます。また、自分に合った学習方法を選び、実務で活かせることが大事です。
