【2025】インドがAI導入で急成長する理由とは?活用事例や企業ができる人材不足解消の方法

インドにおけるデータセンターへの投資が、日本、シンガポール、香港といったアジアの主要国を大きく上回るペースで拡大しています。投資ラッシュの主な要因は、米アマゾンやインドのリライアンス・インダストリーズといったグローバル企業による大規模投資であり、インド国民のインターネット利用が著しく高まり、電子決済やオンラインショッピングなどの利用が加速していることが背景にあるようです。

今回は、インドにおけるAI活用事例やインドのAI市場が急速な成長を遂げる理由をご紹介します。

AI市場におけるインドとは

AI市場におけるインドとは

世界の統計調査データを提供するStatista社の市場調査レポートによれば、グローバルAI市場は2030年までには1,812億ドルに達すると予測されています。深層学習や自然言語処理などのAI技術の飛躍的な進歩と製造業や金融、ヘルスケアなど多岐にわたる産業におけるAI導入の加速によるものです。

その中でもインドのAI市場は、2022年の6億8,000万ドルから、2028年には39億3,550万ドルへと大幅な拡大が見込まれています。これは、インド政府がAI技術を国家戦略の柱として位置づけ、研究開発への投資を積極的に行っていることや世界レベルのエンジニアを輩出する教育機関の存在が後押ししているためです。

インドにおけるAI活用事例

以下では、インドにおいてAIがどのように活用されているのか、具体的な事例を交えながらご紹介します。

AIを活用した取り締まり

AIを活用したデータ分析により、犯罪発生リスクの高い地域を特定し、警察の迅速な対応を可能にすることで、犯罪の防止に努めています。具体的には、過去の犯罪データやSNS情報、交通情報などを統合し、AIで分析することで、犯罪発生の予測や警察の巡回ルートの最適化を実現しています。

また、交通事故の発生パターンを分析し、救急車やパトカーの配備を最適化することで、迅速な対応を可能にしています。4,000カ所以上に設置された10,000台の防犯カメラにより、特に女性や子どもたちの安全確保にも力を入れているようです。

さらに、サイバー犯罪対策ではサイバー警察署を設置し、オンライン上の犯罪活動を監視しています。市民からの苦情処理にも、デジタル化を進め、迅速な対応を実現しました。

ファッションECサイトの機能

インド最大のファッションECサイト「Myntra(ミントラ)」では、AIを搭載した以下の機能が注目を集めています。Myntraは日本のZOZOTOWNのような存在であり、数多くのインド国内外のファッションブランドやライフスタイルブランドの商品を取り扱っています。

My Stylist機能

ユーザーの過去の購入履歴や閲覧履歴、好みのスタイルなどを学習し、最適な商品を提案してくれるAI機能です。まるで、パーソナルスタイリストが付き添ってくれているかのように、個々のユーザーに合わせたコーディネートや商品を提案してくれます。

MyFashionGPT機能

MyFashionGPTは、ユーザーが文章で服の希望を入力することで、パーソナライズされた商品を提案するChatGPTを活用した機能です。例えば、「今日のパーティーに着ていくような華やかなワンピースが欲しい」と入力すると、ワンピースだけでなく、アクセサリーや靴まで提案してくれます。

最大6つのコーディネートから、自分の好みのスタイルを選ぶことが可能です。

オンライン診療アプリ

インドの医療制度は、公的医療機関及び医師不足という深刻な課題を抱えています。特に農村部では、医療へのアクセスが非常に限られており、長蛇の列や医療の質の低下といった問題も指摘されています。

このような状況下のため、インドではオンラインアプリでの診療が急速に普及しています。オンライン診療アプリでは、以下のようなことができます。

  • AIにチャット感覚で自分の体調や症状を伝えることができる
  • 症状に合う医師の一覧から、ビデオ通話や音声、テキストで診療を受けられる
  • 家族のアカウントも作成でき、家族みんなで健康状態を共有できる

必要に応じて、医師から薬の処方箋が発行されるほか、症状が悪化したり、直接会って診てもらいたい場合は、病院の予約も可能です。AIが診断をサポートしてくれるので、より正確で迅速な医療サービスを受けることができます。

安全で手軽なデジタル決済

インドの銀行では、金融サービスへのアクセスが難しい農村部の人々に向けた画期的な決済サービスを導入しました。このサービスでは、AIを搭載したシステムがユーザーの音声による指示を理解して決済を代行します。

ヒンディー語と英語に対応しており、スマートフォンを使えない人でも簡単に利用できます。さらに、インターネット環境がなくても決済ができるよう、近距離無線通信技術を活用したオフライン決済システムの開発も進んでいるようです。そのため、インド全土でより多くの人々が、安全かつ手軽にデジタル決済を利用できるようになります。

害虫を早期検出

2017年、インドの農業は害虫被害により大きな打撃を受けました。この危機感から、ベロール工科大学チェンナイ校の機械電気ロボット・オートメーション工学を学ぶ2人の学生は、AIを用いた害虫検出システムを開発しました。

AIを活用した画像認識技術によって作物に発生する害虫を早期に発見できるこのシステムは、低コストでありながら高い精度を実現しました。Kishan Knowと名づけられたテクノロジーは、あらゆる社会事業分野で無料で利用可能となったようです。

画像認識の仕組みについては、以下の記事でも詳しくご紹介しています。ぜひ参考にしてください。

ディープラーニングによる画像認識の仕組みを徹底解説

インドのAI市場が急速な成長を遂げる理由

インドのAI市場が急速な成長を遂げる理由

先述したようにインドのAI市場は目覚ましい成長を遂げています。その背景には、いくつかの要因が複雑に絡み合っています。以下では、インドのAI市場がなぜこれほどまでに急速に成長しているのか、その理由を解説します。

企業の技術支出の増加

インドの企業は、生成AIを導入することで、カスタマーサービスの自動化はもちろん、パーソナライズされた製品の開発や新たなビジネスモデルの創出など、多岐にわたる分野でイノベーションを起こしています。

生成AIの登場は、インドの企業にとって新たな成長の機会をもたらしており、生成AIを駆使したグローバルな競争力を強化しています。

AI投資の大幅な増加

AIへの投資は近年急激に拡大しており、2023年には830億ドル規模に達する見込みです。この投資拡大は、企業がAIをビジネスの中核に据え、競争優位性を確立しようとする動きを反映しています。

テクノロジー・プロバイダーは、生成AIや自動化ツール、データ分析ソリューションなど、多様なAI技術を駆使したサービスを開発し、ヘルスケアや金融、小売など幅広い業界に提供しています。

インドのAI人材基盤の拡大

インドはAIスキルを持つ人材数が世界でも多く、そのスキルレベルは他の国を大きく上回っています。AIへの投資が急増していることから、インドのAI人材に対する需要は2027年まで年平均15%で成長すると予測されています。

実際に、インドのハイテク業界では、過去12カ月間でAI関連の職種が15%以上増加しており、特にAIエンジニアの需要は急増しているようです。

インド人AI人材の技術レベルとは?

インドは、初等教育からのプログラミング教育の導入やインド工科大をはじめとした高等教育機関の質の高さが相まって、世界屈指のIT人材大国へと成長しています。近年では、AIの活用により、より高度なプログラミング教育が可能となり、人材育成が加速しています。

また、インドの人口は、ITの発展を後押しする大きな要因となっています。インドでは若年層の割合が高く、デジタルネイティブ世代が多数を占めるため、新しいテクノロジーへの適応能力が高く、柔軟に対応できる人材が豊富です。

インドの人口は中国を抜くとも言われており、世界最大となる見込みです。人口増加と高いITリテラシーを併せ持つ人材の増加は、インドのIT産業をさらに発展させ、世界経済に大きな影響を与えることが予想されています。

AI人材不足を解消する方法

インドではAIの導入が加速する一方、日本においては、その進歩が遅れているという指摘がされています。この遅れの要因は主に以下の4つに集約されます。

要因内容
AIリテラシーの低さ経営層において特に低い水準にとどまっている
技術力の不足基礎的な技術力の不足がAIの開発を阻害している
AIベンダーの少なさAI導入を検討する企業にとって選択肢が限られる
AI人材の不足企業が最も苦労している

これらの要因が複合的に作用し、日本におけるAI導入が遅れていると考えられます。企業がAI導入を加速させるためには、以下のような具体的な方法があります。

G検定・E資格を取得する

G検定はAIに関する幅広い知識を問う試験である一方、E資格はより専門的なエンジニアリング知識を評価します。これらの資格を取得することで、AIの基礎知識を体系的に習得し、AIに関する業務に携わるための土台を築くことが可能です。

企業内においては、G検定やE資格の取得を推進することで、従業員のAIリテラシーを向上させることができます。AI導入に関する理解を深め、スムーズな導入を促進することができるでしょう。

セミナーを受講する

AIは企業の成長戦略において欠かせない要素となっています。AIに関するセミナーでビジネスへの応用を学び、企業の競争力を強化することがおすすめです。

AI研究所のAIセミナーは、未経験の方でも短期間でAIの基礎から最新技術まで、幅広く学ぶことができます。以下で詳しく解説します。

おすすめのAIセミナーについては、以下の記事でも詳しくご紹介しています。ぜひ参考にしてください。

【2025】おすすめAIセミナー7選!初心者OKからオンラインの本格講座まで内容を徹底比較

AIエンジニア育成講座

AI研究所のAIエンジニア育成講座は、AIの基礎から応用までを短期間で習得できる実践的なプログラムです。Pythonを使ったプログラミングや機械学習ライブラリを用いたAIモデルの開発など、AIエンジニアとして即戦力となるスキルを3日間で習得できます。

JDLA認定 G検定対策講座

AI研究所のJDLA認定G検定対策講座は、AIの基礎知識から応用までを網羅し、G検定合格を目指す方を強力にサポートします。最新のシラバスに基づいたカリキュラムで、1日という最短期間で確実に合格を目指せます。

E資格対策ディープラーニング短期集中講座

AI研究所のE資格対策ディープラーニング短期集中講座は、最短でE資格取得を目指す方に最適なプログラムです。短期間で、ディープラーニングの理論を理解し、実際にコードを書いてモデルを構築する経験を積むことができます。

合格まで専門スタッフが徹底サポートするのも安心です。

インドをはじめ世界でAIの導入が進んでいる

今回は、インドにおけるAI活用事例やインドのAI市場が急速な成長を遂げる理由をご紹介しました。インドではAI導入が積極的に進む中、日本もようやく動きに拍車がかかり始めています。日本企業でもさまざまな業界でAI活用の事例が見られており、様々な分野での成功事例が、他の業界にも波及し、AI導入がさらに加速していくことが期待されます。

しかし、「AIを使いこなせるか」「無駄な投資になるのでは」といった不安を抱く企業も少なくありません。そのような企業様に対して、AI研究所では、人材育成から導入までをサポートいたします。AIに関する知識やスキルを習得し、自社に合ったAI導入を実現するための最善の策をご提案します。

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