【2025】プロトコルの種類30選一覧!ITや医療での意味・使い方・ChatGPTとの関連も紹介

インターネットの普及とともに耳にすることが多くなった「プロトコル」という言葉。しかし、具体的にどういう意味の言葉なのか、またITにおいて、どのような役割がある技術なのかいまいちピンとこない方もいるのではないでしょうか。

この記事では、プロトコルの種類30選を一覧で紹介します。ITや医療などの分野ごとの意味、ChatGPTとの関係もお伝えするので、ネットワークの仕組みについて詳しく知りたい方もぜひご一読ください。

プロトコルとは?

プロトコルとは、コンピューターやシステム同士が、スムーズにデータをやり取りするための共通ルールのことです。例えば、Webサイトを見る、メールを送るといった通信は、このプロトコルによって成り立っています。

プロトコルの基本的な意味

プロトコルは英語で「Protocol」と書き、元々「条約」「協定」「外交儀礼(作法)」といった意味を持った言葉です。例えば、郵便は「宛先はここに書く」「切手を貼る」という決まり事を守れば、誰がどこに送っても手紙が確実に届きます。つまり、異なる人やシステムが関わっても、迷わず動けるように決められたルールを意味する言葉なのです。

プロトコルの語源

プロトコルという言葉は、古代ギリシアにまでさかのぼります。当時、パピルスで作られた巻物の最初の1枚目を「protokollon」と呼んでいました。この最初のページには、巻物全体の内容や概要が記されており、いわば目次のような役割を果たしていたのです。

「プロト」は「前に」、「コル」は「糊」という意味を持ち、文書の最初に貼り付けられたものを表しています。つまり、プロトコルとは本の中身そのものではなく、その仕様や形式を示す部分を指していました。時代が進むにつれて、草稿、議事録といった意味を経て、議定書や外交儀礼といった、より幅広い意味へと発展していきました。

分野ごとのプロトコルの意味・使い方

分野ごとのプロトコルの意味・使い方

現在、プロトコルは、IT分野を主に、医療や外交でも活用されています。ここでは、分野ごとのプロトコルの意味、および使い方をお伝えしましょう。

外交分野でのプロトコル

外交の世界で使われる「プロトコル」は、国際的な場での礼儀や手順をまとめた基本ルールです。法的拘束力はないものの、円滑な関係を築くための共通マナーとして重視されています。

内容は、席次や国旗の扱い、服装、言葉遣いなど細部にまで及び、日本では相手国への敬意から、あえて他国旗を上位に掲げる場合もあります。なお、外務省の定義では「先任者優先」「右上位」です。

使い方の例
「今回の国際会議では、厳格なプロトコルに従って各国代表の席次が決められた」
「大使館での歓迎式典に参加する際は、外交プロトコルを事前に確認してください」

医療分野でのプロトコル

医療でいう「プロトコル」とは、患者に安全で一貫した医療を提供するための実践的な手順書です。診断や治療の流れを定めたガイドラインで、学会や病院が疾患ごとに作成します。

また、がん治療におけるレジメン(薬の用量や期間)や、入院スケジュールを示すクリニカルパスもプロトコルと呼ばれることがあります。治験では、治療の目的や方法、検証内容まで細かく記された計画書をプロトコルといいます。

使い方の例
「この病院では、糖尿病患者の治療プロトコルに従い、標準的なケアを徹底している」
「新薬の治験プロトコルを厳守し、データは正確に記録してください」

IT分野でのプロトコル

IT分野におけるプロトコルは、コンピュータ間の通信規約(ルール)です。もともとはナポレオン時代のフランスで、公文書の送受信を管理する仕組み(プロトコルレジスタ)として誕生しました。

現在では、異なるメーカーの機器同士でも正確に情報交換ができるよう、国際標準である「OSI参照モデル」を基盤に作られています。インターネットの主要なルールは「RFC」という文書で公開され、世界中で共有されています。

使い方の例
「新しいアプリケーション開発では、既存の通信プロトコルとの互換性を必ず確保する」
「HTTPSプロトコルは、インターネット上のデータを暗号化して安全に送受信する」

こうしたプロトコルの理解は、AI開発における安全で正確なデータ処理力に直結します。AIエンジニア育成講座では、Pythonを使ったAIの実装を実践的に学べます。プロトコルの理解をAI開発に直結させる、データの扱い方や機械学習ライブラリの活用法まで網羅するカリキュラムです。

プロトコルの種類30選一覧!

プロトコルの種類30選一覧!IT分野におけるプロトコル(通信プロトコル)には膨大な種類が存在し、それぞれが特定の役割を担っています。ここでは、主要なプロトコルを用途別に分類して一覧にまとめ、その後役割による分類表、OSI参照モデル別分類表も合わせてお伝えします。

主要な通信プロトコル一覧

まずは、主要なプロトコルを用途に分けて一覧表でお伝えしましょう。

Webとインターネット関連

プロトコル正式名称役割
HTTPHyperText Transfer Protocol
  • Webページの閲覧に使用
  • ブラウザとサーバ間でデータをやり取り
HTTPSHyperText Transfer Protocol Secure
  • HTTPに暗号化機能を追加
  • 安全なWeb通信を実現
DNSDomain Name System
  • ドメイン名をIPアドレスに変換
  • URLを機械が処理できる形式にする
FTPFile Transfer Protocolネットワーク経由でファイルを送受信
SFTPSSH File Transfer ProtocolSSHでデータを暗号化し、安全に転送

メール関連

プロトコル正式名称役割
SMTPSimple Mail Transfer Protocol
  • メールの送信プロトコル
  • 通信仲介サーバー・SMTPに従い動作
POP3Post Office Protocol version 3
  • メールの受信プロトコル
  • メールのオフライン閲覧を実現
IMAPInternet Message Access Protocol
  • メールの受信プロトコル
  • 複数端末からのアクセスを同期

データ転送の基盤

プロトコル正式名称役割
IPInternet Protocol
  • データを分割し、宛先へ転送
  • インターネットの住所(IPアドレス)
TCPTransmission Control Protocol
  • データを正しく届ける接続を確立
  • 信頼性の高い通信を実現
UDPUser Datagram Protocol
  • 接続を確立せずにデータを送信
  • 軽量なプロトコルで、スピーディ

ネットワーク管理・制御

プロトコル正式名称役割
DHCPDynamic Host Configuration Protocol
  • ネットワーク設定を自動的に配布
    (IPアドレスなど)
ARPAddress Resolution Protocol
  • IPアドレスからMACアドレスに変換
  • LAN通信で必要
ICMPInternet Control Message Protocolネットワーク状態確認・エラー通知実施
SNMPSimple Network Management Protocolネットワーク機器監視・管理実施に使用
NTPNetwork Time Protocolネットワーク上機器の時刻を正確に同期

セキュリティ関連

プロトコル正式名称役割
SSL/TLS
  • Secure Sockets Layer
  • Transport Layer Security
  • 通信を暗号化
  • データの盗聴や改ざんを防止
SSHSecure Shell
  • リモートコンピュータに安全に接続
  • 通信内容を暗号化
IPSecIP Security Protocol
  • パケットを暗号化し安全に接続
  • VPNなどで使用

遠隔接続・操作

プロトコル正式名称役割
TelnetTeletype Network
  • ネットワーク越しにコンピュータ接続
  • 初期のプロトコル
SSHSecure Shell
  • Telnetの安全版
  • 暗号化された遠隔接続を提供

ルーティング関連

プロトコル正式名称役割
RIPRouting Information Protocol
  • ネットワーク内で経路情報を交換
  • 小規模ネットワーク向き
OSPFOpen Shortest Path First
  • ルーターで情報交換・最適経路決定
  • 大規模ネットワークにも対応
BGPBorder Gateway Protocol
  • 自立システム間で情報交換
  • 巨大なネットワークを構成

マルチメディア・リアルタイム通信

プロトコル正式名称役割
SIPSession Initiation Protocol
  • セッション開始・管理
    (音声通話やビデオ会議)
RTPReal-time Transport Protocol
  • リアルタイムデータを転送
    (音声や動画など)

物理層・データリンク層

プロトコル正式名称役割
Ethernetイーサネット
  • 最も普及しているLAN技術の規格
  • 高速通信を実現
Wi-Fi無線LAN規格規格は接続速度・通信方法決定、セキュリティ決定の2種類
PPPPoint-to-Point Protocol
  • 2点間の直接接続で使用
  • データを圧縮する機能を搭載
HDLCHigh-Level Data Link Control
  • データリンク層の通信規約
  • ISO規格で標準化

役割による分類

プロトコルは、Webサイトの表示、メールの送受信、ファイルの転送など、実現する機能によっても分類できます。この分類は、普段利用しているインターネットサービスとプロトコルの関係を理解するのに役立ちます。

区分主なプロトコル概要
アプリ用HTTP、HTTPS、SMTP、POP3、IMAP、FTP、DNS、SSH、Telnetなど利用者が直接利用する通信サービスルール
(Web閲覧、メール、ファイル転送など)
転送用TCP、UDP、IP、Ethernet、Wi-Fiなど
  • アプリのデータ伝送と経路制御
  • トランスポート層プロトコルを活用
管理・制御用DHCP、DNS、ARP、ICMP、SNMP、NTP、RIP、OSPF、BGPなど
  • ネットワーク管理・監視・同期ルール
    (ネットワーク機器設定、時刻同期など)

OSI参照モデル別分類

ネットワーク通信は非常に複雑なため、国際標準化機構(ISO)が定めたOSI参照モデルという7つの階層の枠組みで整理されています。ここでは、この区分で分けてみましょう。

OSI層名称主なプロトコル代表的な用途
第7層アプリケーション層HTTP/HTTPS、SMTP、FTP、DNS、DHCP、SSH、Telnet、SNMP、NTPWeb通信、メール、管理など
(ユーザー向けサービス)
第6層プレゼンテーション層SSL、TLS、SDP、AFP、PIDF暗号化・圧縮・データ形式変換
第5層セッション層SIP、H.323、IMAP通信セッション開始~終了まで管理
第4層トランスポート層TCP、UDP、SCTP、DCCP
  • 送信元と宛先の間で通信を制御
  • 管理データ運搬の信頼性を確保
第3層ネットワーク層IP(IPv4/IPv6)、ICMP、IPX、RIP、OSPF、BGP
  • ネットワークの経路を選択
  • 宛先までの道筋を決定
第2層データリンク層Ethernet、PPP、ARP、HDLC、Token Ring
  • 直接接続された機器の通信方式規約
  • 伝送経路構成・データ識別方法を規定
第1層物理層ISDN、10BASE-T、RS-232C、SDH、SONET
  • ネットワーク通信の土台
  • データを物理信号に変換して伝送

プロトコルは、その目的や機能に応じて数多く開発され、それぞれが連携してネットワークサービスを成り立たせています。用途に応じたプロトコルの選択と組み合わせることで、効率的で安全な通信が実現します。

プロトコルが注目される理由

プロトコルが近年注目を集めている大きな理由のひとつは、この技術がサイバーセキュリティを支える基盤となっているからです。

インターネットを通じた情報のやり取りが増えるなかで、データが盗聴や改ざんといったリスクにさらされる機会も多くなっています。こうした危険から大切な情報を守る役割を担っているのが、セキュリティ関連のプロトコルです。

ウェブサイトの通信を守る

例えば、ウェブサイトアドレス「https://」の「HTTPS」は、通常の通信プロトコルである「HTTP」に、暗号化技術「SSL/TLS」を組み合わせた仕組みです。これにより、通信内容を安全に守っています。

ブラウザのアドレスバーにある鍵マークをクリックすると「接続がセキュリティで保護されています」と表示されますが、これはHTTPSが正しく機能している証拠です。このプロトコルによって、個人情報やクレジットカード番号といった重要なデータが、外部から盗み見られるのを防いでいます。

生成AIと外部ツールをつなぐ

そして近年では、こうした通信分野だけでなく、生成AIの世界でも新たなプロトコルが注目を集めています。それが「MCP(Model Context Protocol)」です。MCPは、生成AI「Claude」のAnthropic社が開発した、生成AIに外部の情報を与える共通規格ツールで、生成AIと外部アプリケーションを連携させる際に使われています。

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AIエンジニア育成講座は、MCPのようにAIと外部システムをつなぐ際に欠かせない、Pythonによる実践的なプログラミング力を身につけられる短期集中講座です。実装したAIモデルの評価や可視化、チューニングまで幅広く学べる内容で、「AIシステムを自力で構築し、自在に制御したい」という方に最適なカリキュラムを提供します。

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MCPについては以下の記事で解説しているので、ぜひこちらもご一読ください。初心者向けにわかりやすく解説しています。

【2025】MCPをわかりやすく解説!生成AIとの関係・APIやRAGとの違い・Pythonでの実装方法

MCPは2024年11月にリリースされた新しい技術です。このように、AIは日進月歩の勢いで急速に変化しており、その勢いはとどまるところを知りません。

以下の記事は、そんな目まぐるしく変化する最新AI情報を複数紹介しています。MCPについても触れているので、ぜひこちらもご参照ください。

【2025】AI最新情報15選!GPT-5の新技術・面白いニュース・AIモデルを知りAI時代の勝者になる!

プロトコルとChatGPTとの関係

プロトコルとChatGPTとの関係

プロトコルとChatGPTとの関係は、AIエージェントが外部システムと連携し、新しいサービスを提供する相互関係にあります。具体的な対応関係は以下のような仕組みです。

  1. プロトコルは外部通信を安全に行う共通ルールを提供
  2. AIはそのルールに基づき安全な新機能を提供

この関係性は、現在ChatGPTで具体化しています。その代表例が、OpenAIが2025年9月29日に決済サービス企業Stripeと共同で発表した「Agentic Commerce Protocol(ACP)」です。ACPは、AIを介した安全なオンライン取引を実現する新しい通信プロトコルで、ChatGPTにも正式導入されました。

この仕組みにより、ユーザーはチャット画面上で商品の検索から購入、決済(Instant Checkout)まで行うことが可能になりました。ショッピング時の取引データやクレジットカード情報はプロトコルによって暗号化され、AIを介しても高い安全性が保たれています。

プロトコルについてまとめ

インターネットの普及とともに、通信プロトコルという共通ルールが広がり、私たちの暮らしやビジネスを支えています。

プロトコルを知ることは、Webやセキュリティの裏側にあるルールを読み解く基盤となり、特にAIシステムを外部と繋げる上でも重要です。ぜひ本記事を参考に、プロトコルの種類や仕組みを深く理解してみてください。

【2025】プロトコルの種類30選一覧!ITや医療での意味・使い方・ChatGPTとの関連も紹介
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