「社員を採用してもすぐ辞めてしまう」「育成は現場任せで一貫性がない」といった悩みを抱えている中小企業の採用・人事担当者は多いのではないでしょうか。人材不足が深刻化する中、採用活動だけでなく、採用した人材をいかに定着・戦力化させるかが企業の競争力を左右する時代になっています。
しかし、限られた人手と時間で自社だけでの育成には限界がある企業も多いでしょう。そんなときに活用したいのが「人材育成コンサルティング」です。
本記事では、人材育成コンサルティングとはどのようなサービスなのかをわかりやすく解説。また、派遣や人事コンサルとの違い、導入すべき企業の特徴や選び方のポイント、おすすめのコンサルティングサービスまで詳しくご紹介します。
人材育成コンサルティングとは
人材育成コンサルティングとは、企業内の従業員の能力向上を目的として、研修制度の整備や研修プログラムの提案・実施などを通じて社員のスキルアップと組織力強化を支援するサービスです。「新人研修の仕組みが整っておらず新人が育たない」「どのような研修が自社に適しているかわからない」といった課題を専門家の視点で分析し、解決策を提案・実行します。
人材育成コンサルタントは、企業の現状や従業員一人ひとりのスキル・課題を診断した上で、人材育成の目標設定、教育体制の整備、研修プログラムの設計・実施などを行います。研修内容は全社員向けの基礎から管理職向け、専門技術研修まで幅広く、各社のニーズに合わせてカスタマイズされるのが一般的です。
派遣との違い
人材育成コンサルティングと人材派遣は目的も手段も異なります。人材派遣は、必要な期間だけ即戦力となる人材を外部から受け入れ、自社の業務を遂行してもらう仕組みです。一方で人材育成コンサルティングは、現在在籍している自社の社員を育てることに焦点を当てています。
派遣契約では派遣社員が即戦力として目の前の業務をこなすことが基本です。それに対しコンサルティング契約では、特定の課題解決に向け専門知見を活用して助言・提案を行い、人材や組織の力そのものを高めるアプローチを取ります。
採用・人事コンサルティングとの違い
人材育成コンサルティングは、同じ「人事領域」のコンサルである採用コンサルティングや人事コンサルティングとも対象範囲が異なります。採用コンサルティングが主に採用活動の支援や人材戦略の立案など、人材を「採用・獲得」する部分をサポートするのに対し、人材育成コンサルティングは採用後の社員の育成・能力開発に特化しています。
人材育成コンサルはその人事コンサルの一分野であり、研修制度の構築や人材育成プログラムの実施に専門特化したものと考えて良いでしょう。
人材育成コンサルティングを利用すべき企業
まずは人材育成コンサルティングを利用すべき企業について解説します。
- 教育担当者や育成ノウハウが不足している企業
- 若手人材の定着や育成に悩んでいる企業
- DXやAIなど新領域に取り組みたい企業
教育担当者や育成ノウハウが不足している企業
育成の仕組みが整っておらず、「ベテラン社員の感覚頼み」「引き継ぎが曖昧」といった状態では、社員の成長が属人化しやすくなります。人材育成コンサルを活用すれば、体系的な育成設計とナレッジの蓄積が可能になり、業務の標準化にもつながります。
若手人材の定着や育成に悩んでいる企業
若手社員が短期間で辞めてしまう、指導役が育成に時間をかけられないなどの課題がある企業では、外部のコンサルによる定着支援が有効です。成長ステージに合わせた育成フローの導入により、モチベーションと定着率の向上が期待できます。
DXやAIなど新領域に取り組みたい企業
既存社員のスキルセットが古く、新たな分野に対応できる人材が不足している企業にとって、外部専門家によるトレーニングは必須です。最短距離でスキル獲得を図りたいときには、現場に即したAIやデジタル教育が受けられるコンサルの導入が効果的です。
人材育成コンサルティングの利用が必要ない企業
一方で、すべての企業にコンサルティングが必要とは限りません。ここでは、コンサルティングの必要性が薄い企業についてそれぞれ解説します。
- 教育専門の担当者が社内に常駐している企業
- 日常業務の中で自然に学ぶ仕組みが機能している企業
- 育成とマネジメントの一体化が可能な企業
教育専門の担当者が社内に常駐している企業
人事部門にトレーナーや教育担当が配置されており、研修設計・運営のノウハウがある場合は、自社で育成を完結できます。新入社員・中堅社員・管理職それぞれに応じた育成ステージが明確に定義されていれば、外部コンサルに頼る必要は少ないでしょう。
日常業務の中で自然に学ぶ仕組みが機能している企業
上司や先輩による実践的な教育が日常的に行われており、現場全体で人を育てる意識が共有されている企業では、外部の仕組みに頼らずとも教育が循環しています。文化が定着している企業は、むしろ内製型の育成のほうが効果を発揮しやすいでしょう。
育成とマネジメントの一体化が可能な企業
社員数が少なく、経営者や部門長が直接指導・育成を行える企業では、外注よりも現場密着型の育成のほうが合っているケースも多いです。業務内容と人材育成が密接につながっているため、コンサルよりも柔軟かつ迅速に対応できます。
自社に最適な人材育成コンサルティングを選ぶポイント
人材育成コンサルティング会社を選ぶ際は、以下3つのポイントを留意しましょう。
- 幅広く支援してくれるか
- 自社の業務に応じたコンサルを実施してくれるか
- 自社業界・業種に知見があるか
①幅広く支援してくれるか
まず注目したいのは、コンサルティング会社が人材育成をどこまで支援してくれるかです。研修プログラムの提供だけでなく、導入前の課題整理や計画設計、実施後の効果測定や定着支援まで対応できるかを確認しましょう。特に中小企業では、社内に育成担当者がいないケースも多いため、一貫支援してもらえればコア業務に集中できます。
人事制度や組織開発まで支援できる会社であれば、育成を軸に組織全体の課題にも対応できます。選定時には、「どこまでサポートしてもらえるか」「研修後のフォロー体制があるか」などを事前にヒアリングし、自社のニーズに合うかを確認しましょう。
②自社の業務に応じたコンサルを実施してくれるか
次に重視すべきは、コンサルタントが自社の業務内容に合わせた提案や研修を行ってくれるかどうかです。職種や業界によって求められるスキルは異なるため、企業独自のカリキュラムでは効果が限定的です。
優れたコンサルは、自社の課題を丁寧にヒアリングし、目的に合った育成プログラムを設計します。たとえば、製造業なら現場リーダー向け、IT業界なら若手定着に向けた支援など、内容を調整してくれるかどうかが重要です。「自社に合わせて研修内容を調整できるか」「課題解決に向けた提案があるか」を確認しましょう。
③自社業界・業種に知見があるか
コンサル会社を選ぶ際は、自社の業界や業種に対する理解や実績があるかもポイントです。業界特有の習慣やスキル要件を理解していないと、研修内容が現場とずれてしまい、浸透しづらくなります。
例えば、中小規模の会社で従業員が少ない場合、人材を採用するコンサルティングではなく、少ない人数で成果・売上を最大化するためのノウハウを教えてくれます。選定時には、同業界での事例や支援実績、会社規模に合ったサポートが可能かをチェックするとよいでしょう。
人材育成に強いコンサルティング・研修サービス5選
ここからは人材育成に強いコンサルティング・研修サービスを5つ紹介します。
サービス名 | 料金 | 特徴 |
DX・AI人材育成研修サービス | 要問い合わせ | ビジネス創出力・汎用技術力・専門技術力の3要素を、組織階層や個人レベルに合わせてプランニング |
人材育成・組織開発サービス | 要問い合わせ | オンボーディング、リーダー育成、キャリア支援、営業力強化、組織風土改革など多様なテーマに対応 |
「頂点への道」講座 |
| 経営者やリーダー向けに、自己成長・目標達成・組織発展を支援 |
DX人材育成研修 | 要問い合わせ | DXリテラシー標準・DX推進スキル標準に基づいた体系的なカリキュラム |
Well-being | 要問い合わせ | 働く人のウェルビーイング向上を軸とした人材育成・組織開発サービス |
①DX・AI人材育成研修サービス
「DX・AI人材育成研修サービス」は、DXやAI分野に特化した企業向け研修サービスです。専門講師が在籍しており、基礎から応用まで幅広いカリキュラムに対応。未経験の社員でも参加しやすく、実務に活かせるスキルを効率的に習得できます。
1日完結型から長期型まで柔軟に対応し、導入時の支援や受講後のフォローも充実しています。たとえば、AIの基本理解から業務導入、プロジェクトマネジメントまでを段階的に学べるコースも。企業ごとのカスタマイズにも対応しており、課題に応じた最適な研修を提供しています。最新のDX動向を反映した教材もあり、即実践できる知識を習得できる点も強みです。
以下のリンクから詳細をチェックできるので、ご覧ください。
②人材育成・組織開発サービス
引用:リクルート
「人材育成・組織開発サービス」は、社員の自律的成長と企業の変革を支援する包括型の育成ソリューションです。新入社員から管理職までの階層別研修や、企業別に設計されたオーダーメイド研修、eラーニングやアセスメントなど、メニューが多いのが特徴。
リクルートは年間数千社への提供実績があり、質の高いコンテンツと支援体制が強みです。人材採用や制度構築とも連動できるため、組織診断や人事制度改革といった広範な支援も可能です。中小企業でも少人数から参加できる公開講座があり、成長ステージに応じた柔軟な活用が可能です。研修後のフォロー体制も整っており、「何から育てるべきか分からない」企業も利用しやすいでしょう。
③「頂点への道」講座
引用:アチーブメント株式会社
「頂点への道」講座は、個人の目標達成力と意識変革に特化した3日間集中型の研修です。上場企業の幹部から士業・アスリートまで、累計6万人以上が受講してきた人気講座で、「アチーブメントテクノロジー」と呼ばれる成功原則に基づいて構成されています。
目標設定、モチベーション維持、メンタル強化など、実践的な内容が特徴で、単なるスキルではなくマインドや習慣の変革を重視します。実際に「行動計画を立てられるようになった」「意欲が高まった」との声も多く、業績向上に結びついた事例も豊富です。中小企業でも経営層や管理職のリーダー育成として導入されており、社員の主体性を高めたい企業に適しています。
④DX人材育成研修
引用:株式会社グロービス
「DX人材育成研修」は年間3,300社以上に研修実績があり、研修は「全社員のDX基礎力向上」と「リーダー育成」の2軸で構成。初心者向けにはIT基礎やデータ活用、キーパーソン向けには戦略思考や巻き込み力などを教えます。
MBA教育で培われた体系的カリキュラムと、実例に基づく教材により、実践的な学びが得られるのが強みです。研修形態も柔軟で、対面・オンライン・eラーニングなどに対応。研修後はスキルの可視化や効果測定にも対応しており、戦略から育成まで一気通貫で伴走してくれる点が魅力です。DX推進に本気で取り組む企業におすすめです。
⑤Well-being
引用:株式会社ビジネスコンサルタント
「Well-being」は、社員の幸福度や働きがいを高めるための人材育成・組織開発サービスです。「健康な組織と卓越した人材づくり」を掲げ、職場のエンゲージメント向上やメンタルヘルス対策を支援します。
具体的には、組織診断ツールを活用して課題を可視化し、マインドフルネス研修や健康経営セミナーなどを実施。最新研究と現場実践を組み合わせた「共創ラボ」も特徴です。単なる健康プログラムにとどまらず、社員の自発性や創造性を引き出す研修を通じて、生産性や定着率の向上にもつながるでしょう。
人材育成に強いコンサルティングを受けるメリット
人材育成に強いコンサルティングを受けるメリットは主に以下3つです。
- ノウハウの蓄積
- リソースの軽減
- 従業員のスキルアップ
①ノウハウの蓄積
人材育成コンサルタントを活用するメリットの一つは、自社にない育成ノウハウを取り入れ、蓄積できることです。様々な支援経験をもつコンサル会社は、効果的な研修手法や失敗しやすいポイントを熟知しています。
たとえば、自社で初めて取り組むテーマであっても、コンサルの知見に基づいた助言を受けることで、効率的な設計と実施が可能に。現場担当者や管理職もノウハウを学ぶことで、次回以降の社内運用にも活かせるようになります。組織の資産として蓄積され、中長期的な育成力の底上げにつながるでしょう。
②リソースの軽減
中小企業では人材育成が人事や現場の業務になりがちで、準備や運営に時間を取られてしまうケースが少なくありません。人材育成コンサルに依頼すれば、研修企画・資料作成などの作業をアウトソーシングでき、本来の業務に集中できます。
特に新人研修など毎年発生する業務は、外部のプロに任せることで時間と手間を削減。加えて、育成計画の立案や効果測定といった専門的な領域も任せられるため、「何から始めるべきか分からない」という悩みも解消できます。資料をゼロから作る必要もなく、すでに体系化されたプログラムを活用すれば、研修実施までのスピードも向上できるでしょう。
③従業員のスキルアップ
外部研修を活用する価値は、従業員のスキルと意欲の向上が実感しやすい点にあります。体系的に設計された研修は、知識習得にとどまらず、学習意欲やマインドにも良い影響を与えます。たとえば、DX研修を受けた社員がデータ分析スキルを活用したり、目標達成研修で営業成績が上がったりと、成果が行動に反映されるケースも少なくありません。
プロ講師による指導は分かりやすく、実践形式により学習定着も促されます。また、社外の講師だからこそ、社員にとって刺激的で、集中力が高まりやすいという効果も。結果的に企業全体の競争力を底上げする要因となるでしょう。
人材育成に強いコンサルティングについてのまとめ
人材育成コンサルティングは、社内の「育てる力」を外部から補い、企業成長を支える専門サービスです。派遣や採用支援とは異なり、社内の人材を育て上げることを目的とし、研修体制や担当者が不足している中小企業に有効です。
活用にあたっては、支援の幅・自社への適合性・業界理解の3点を確認することがポイントです。また、企業ごとの課題や状況に応じて、最適なパートナーを選ぶことが重要です。DX・AI人材育成研修サービスの資料ダウンロードも無料でできますので、ぜひチェックしてみてください。
