【2024】チャットボットの作り方は?自社開発や作る際の注意点

チャットボットは自社のお問い合わせ対応などで活用され、オペレータの業務負荷軽減や顧客満足度向上につながる有効な手段の一つです。導入検討中でチャットボットの作り方に関する情報を調査している方は徐々に増えてきています。

今回はそんなチャットボットの作り方に関する2種類の方法を解説し、チャットボットを作る際の注意点についても解説していきます。

まず「チャットボット」とは

まず「チャットボット」とは

チャットボットは、ユーザーからのメッセージに対して適切な返答を自動で返すシステムです。
ホームページの右下に表示されたり、LINEで利用したりすることが多いでしょう。

さらにチャットボットの基本的な知識として、チャットボットの仕組みと種類について解説します。

チャットボットの仕組み

チャットボットは基本的に

  1. 反応する言葉
  2. 反応する言葉を問いかけられた際の返答

この2つを決めておいて、データベースに組み込みます。
ですので、「こう問いかけられたらこう答える」と教えて自動化するシステムとなります。

チャットボットの種類

チャットボットには「AI型」と「シナリオ型」があります。それらの違いやメリット・デメリットについて説明します。

AI型

AI型チャットボットは、AI(人工知能)が搭載されたシステムです。学習済みのデータと運用中に新たに記憶したデータを用いて、AIが適切な回答を導き出すような仕組みになっています。

常に学習を繰り返すため、質問者の問いかけ方に追従できるようになり、徐々に精度が上がっていくというメリットがあります。一方、導入・運用にかかるコストが高く、導入初期のメンテナンスに手間もかかってしまうというデメリットがあります。

短期的にはメリットを生かしきれないため、長期的な目線での導入メリットを検討する場合にはおすすめのタイプです。

シナリオ型

シナリオ型チャットボットは、あらかじめ設定した質疑応答の形式(シナリオ)にしたがって、問い合わせに返答するタイプのシステムです。

AI型と比較すると、導入・運用コストが安価であることがメリットといえますが、細かなミスを繰り返してしまう場合には都度シナリオを更新する必要があるため、精度向上のためにはAI型よりも手間がかかってしまいます。

ただ、シナリオさえ作成できればすぐに運用できることから、ITに関する高い技術が必要なく、多くの企業で導入しやすいタイプといえます。

チャットボットの作り方の種類

それでは実際、チャットボットを作るには具体的にどうしたら良いのでしょうか。

チャットボットの主な作り方には「作成ツールを使う方法」と「自社開発する方法」の2種類があります。
具体的な作り方を説明する前に、それらの難易度や費用感などについて解説します。

チャットボット作成ツール

チャットボット作成ツールとは、プログラミングなどのITに関する専門的なスキルがなくても、チャットボットが作成できるツールやサービスのことをいいます。ツールの利用のために費用がかかりますが、教育コストなどを考えるとコストパフォーマンスに優れ、すぐに導入できるというメリットがあります。

近年、ツールも数多く出ていますが、ツールによってサービスや機能が異なります。ツールを利用したチャットボットの導入検討をする場合には、必要な機能が搭載されているか、無駄な機能にお金を払うようになってしまっていないかなど、細かく吟味する必要があります。

自社開発

自社開発とは、文字どおりチャットボットを自社でプログラミングして作成・運用する方法です。

この方法では、プログラミングに関する知識を持った人材が必要であるため、通常の職場では難易度が高く、現実的な選択肢とはいえません。ただし、細かな設定調整ができたり、ツールの利用料金にあたるものが発生しなかったりするため、自社でプログラミングさえできれば、コストパフォーマンスに優れています。

現実的に導入を検討する場合には、外部に開発を委託する必要があるため、開発費用が別途発生するため、その分も含めたトータルコストがどうかを検討しておく必要があります。

基本的なチャットボットの作り方

基本的なチャットボットの作り方

それでは基本的なチャットボットを作る手順を紹介していきます。

①チャットボットを設置する場所の確認

まずは、チャットボットの設置場所を決めておきましょう。設置場所には、大きく分けて2種類があります。

1つ目は「自社サイト」に設置する方法です。自社サイトやECサイトにアクセスしたときに、ユーザーが困りそうなことを、チャットボットで解決することができます。

2つ目の設置場所は「SNS」です。TwitterやLINEではAPIと呼ばれるシステム同士をつなげるためのツールのようなものが用意されているため、それを使ってチャットボットを連携させておくという方法です。ユーザーとの接点としてSNSが主流になりつつある昨今、こちらも有効なチャットボットの活用場所といえます。

どちらがよりユーザーに接点があるかということを意識して設置場所を設定するようにしましょう。

②チャットボットの目的・目標を明確化しておく

次に、チャットボット導入による目的と目標を明確にしておくことが必要です。現在のオペレーションにおいてどのような課題があり、それがチャットボットによって解決できるのかをよく吟味した上で導入を検討しましょう。

「チャットボットを導入する」というのが目的となってしまっては、計画が良からぬ方向に行ってしまうこともありますし、目標設定が具体的であれば、運用後に導入効果を数値として把握しやすくなります。

③サイトに来るユーザーのニーズ収集

ユーザーがどのようなニーズを抱えているか把握することも重要です。

目的・目標の明確化は、どちらかというとオペレータ側の困りごとですが、ニーズはユーザーにとっての困りごとの把握です。これまでにオペレータの問い合わせで多かった質問や回答を把握しておくことで、チャットボットの精度や対応範囲を具体的に検討しやすくなるため、担当したオペレータから過去の問い合わせ内容ややり取りに関して、よくヒアリングしておきましょう。

④チャットボットの運用専任者を任命

チャットボットの導入は複数人で進めることになるかと思いますが、チームでの活動にあたり、意思決定の責任者にあたる人を決めておくことが重要です。

責任者が不在のままでは、全体の作業の進捗や運用後のトラブルなどへの対応ができず、システムの開発や運用が困難になってしまいます。開発中の情報をすべて把握しておく人や、運用後のトラブルに関して対応する人を決めておけば、スムーズに状況を改善できるので、チャットボットを作り出す前に任命しておきましょう。

⑤FAQデータの収集

次に過去の問い合わせに関するデータ(FAQデータ)を集めます。この作業が最も重要で、FAQデータが多ければ多いほどチャットボットの精度や顧客満足度が高められることになります。

逆に、FAQデータが十分でないと、チャットボットで対応できなかったことを、結局オペレータが対応することになってしまうため、従業員の負担が軽減できていないことになります。過去のお問い合わせ履歴がデータに残っていれば、それを参照し、少なかったりなかったりした場合は、実際に担当したオペレータに聞くなどして必ず用意するようにしましょう。

⑥シナリオとメッセージの作成

そして、FAQデータを活用してシナリオとメッセージを作成します。

たとえば、まずは質問のジャンルを絞り込むために複数の選択肢の中からユーザーに選んでもらうものとし、それを何度か繰り返していくと最終的な疑問に辿りつくようにしておきます。

ここでは、選択肢の数や選択肢を選ぶ回数があまり多くならないように注意しながら、メッセージと選択肢の内容をよく考えましょう。あまりに選択肢が多いとユーザーが迷ってしまいますし、選択肢を選ぶ回数が増えてしまうとユーザーがストレスに感じてしまうためです。

⑦シナリオとメッセージの入力

次に、チャットボット作成ツールの画面に表示される案内にしたがってシナリオとメッセージを入力していきます。作成ツールによって使いやすさは異なりますが、ツールを選ぶ際には直感的に入力・編集などの操作方法がわかりやすいものを選んでおけば、ここで苦労することはないでしょう。

⑧チャットボットの動作テストをする

最後に、社内で動作テストを行います。実際の作業担当者は思い込みが入ってしまうため、ミスを発見しにくいといえます。そのため、最終的なテストの段階では第三者にやってもらうと良いでしょう。

また、一人ではミスが修正しにくいため、テストする人は複数人で行いましょう。文字を入力するような方式では、人によって問いかけ方が異なりますが、そういった調整も社内テストを行うことで公開前に潰し込んでおくことができます。

自社開発チャットボットの作り方

次に、自社開発でのチャットボットの作り方について解説します。
自社開発の場合は、システム設計やプログラミングに関する知識を持つエンジニアがいることが前提になります。

①自社開発とAPIの利用区分の明確化

まずは、APIをどれくらい活用するか検討します。APIは、 Application Programming Interfaceの略称で、アプリケーション同士のやり取りを行う際に使用するプログラムの塊のようなものです。

今では、プログラムを一から組むよりも、既存のAPIをできるだけ流用して開発コストを下げることが主流になっており、チャットボットに関しても例外ではありません。外部のシステムを活用する場合には、APIがあるかも含めて選定するようにしましょう。

②要件定義を定める

次に、チャットボットに盛り込むべき機能や対応内容を決めます。

具体的には、作成ツールの説明と同様、まずはFAQデータを集めます。ここで集められたデータ量に応じて開発に必要な期間と人数が把握でき、チャットボット開発の計画を立てることができます。

③チャットボットのデザインを決める

続いて、外部設計を行います。外部設計とは、ユーザーに関係する部分のシステムを設計する作業のことで、チャットボットでいえば「画面のデザイン」や「ユーザーの操作方法」について検討する作業のことをいいます。

ここでは、プログラムで実現可能であり、かつユーザーにとっても使いやすいデザインを決めておく必要があります。

④外部設計に沿ったプログラムの組み方を設計する

次は、内部設計です。内部設計とは、ユーザーが直接見ることのない部分の機能を設計する作業のことです。

チャットボットでいえば、メッセージの解釈方法や、問いかけに対する条件分岐(シナリオ)とその後の処理などのことをいいます。ここでは、外部設計に対して矛盾なく、かつ次の工程であるプログラミングが行いやすいような骨組みを作っていく必要があります。

⑤内部設計に沿ってプログラミングを行う

プログラミングは、実際にプログラム本文を打ち込んでいく(コーディング)作業のことをいいます。

プログラミングには、言語や連携すべき他のシステム仕様を理解する能力などが必要になります。また、システムが膨大になるほど、プログラミングでのひと工夫によって処理速度、つまり顧客満足度を向上させられることもあるため、非常に重要な工程です。

⑥単体テスト・結合テスト・運用テストを行う

プログラミングまで完了したシステムは、これまでの設計思想の通りにできているかを確認するため、各工程で設計した方針(仕様)に合わせてテストを行う必要があります。テストの種類として「単体テスト」「結合テスト」「運用テスト」などがあり、単体テストではシステム内で完結する部分に関するテストを行い、結合テストではシステム間の連携を含めたテストを行い、運用テストではユーザーの操作を想定したテストを行います。

このように、設計のフェーズに合わせてテストフェーズを逆順に行うことは「V字プロセス」といい、ソフトウェア開発における基本の流れになります。

チャットボットの作り方で注意するポイント

チャットボットの作り方についてはすでに説明しましたが、実際にチャットボットを作成する上では、注意すべきポイントがあります。ここからは、そのポイントについて解説します。

課題を明確化させプロジェクト内で共有する

チャットボットを作るための事前準備にて、目的と目標の明確化について説明しましたが、明確にしただけでは実は十分でないことがあります。明確化した後には、その情報を共有する必要があります。

これを行うことによって、プロジェクト全体での意識統一になり、メンバー間での役割分担を行うことができるようになります。これは、チャットボットに限らず、プロジェクト開始において必須の動きだといえます。

自社にあった作成ツールを選ぶ

チャットボット作成ツールでの導入を検討している場合、どのようなツールを選ぶかが重要になります。ツールの選定基準としては、必要な機能が備わっていることはもちろん、自社のITスキルで使いやすいかどうか、サポートが充実しているかなども重要です。

特に、サポートに関しては、運用後にもさまざまなトラブルが発生した際に大きく影響してくるため重要です。サポートへの連絡のしやすさや、対応のスムーズさはツールを選ぶ際に体験版の利用などを通して確認しておきましょう。

導入後も設定を継続的に見直す

チャットボット導入後には、さまざまなタイミングで設定を見直す必要が出てきます。たとえば、サービス内容が変更になればチャットボットの返答を変更する必要が出てきますし、問いかけ方による表記ゆれが把握できてこれは、その内容を織り込んで精度を上げる必要があります。

こういった調整を繰り返していけば、徐々に精度は向上し、最終的には従業員の負担がほとんど不要になり、顧客満足度も向上させられるという効果が期待できます。

チャットボットの作り方についてまとめ

今回はチャットボットの作り方について解説しましたがいかがでしょうか。
チャットボットはオペレータの負担軽減に有効な手段ですが、実際に作ろうと思うとやり方によってはかなり難易度が上がってしまいます。
自社の状況を確認しながら、チャットボットを自社開発するのか・ツールを使って簡単に開発するのかを検討してみましょう。

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