「業務でAWSを使っているけれど使い方が分からない」「資格取得を目指したいがどこから学べばいいか迷っている」という悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、AWS初心者に向けて効率的な勉強方法や目的別のおすすめ資格を紹介します。さらに、AWSを導入するメリット・デメリットまで触れているので、これからクラウドを学びたい方はぜひ参考にしてください。
AWSとは?
AWS(Amazon Web Services)は、Amazonが提供する世界最大級のクラウドサービスです。インターネットを通じて、サーバー・データベース・ストレージなどを必要なときに必要な分だけ使えるため、多くの企業や開発者が利用しています。
AWSを理解するには、まず「クラウドコンピューティング」の考え方と、従来の仕組みとの違いを知ることが重要です。
クラウドコンピューティングの仕組み
クラウドコンピューティングとは、インターネットを通じてサーバーにあるコンピュータの機能をサービスとして利用する仕組みのことです。
AWSのようなクラウドサービスを使えば、世界中のデータセンターにあるサーバーをインターネット経由で使えるため、設備投資や維持管理の手間が大幅に軽減されます。
オンプレミスとクラウドコンピューティングの違い
オンプレミスとは、企業や個人が自社内にサーバーやネットワーク機器を設置し、すべてを自ら管理・運用します。対してクラウドコンピューティングは、AWSのようなサービス提供会社が運営するインフラを、インターネットを通じて必要な分だけ利用する方法です。
AWSの主要サービス5選
AWSには数多くのサービスがあり、ここでは代表的な5つを紹介します。
サービス名 | 用途 | 代表的な活用例 |
---|---|---|
Amazon EC2 | 仮想サーバー | WebアプリやAPIサーバーの運用 |
Amazon S3 | クラウドストレージ | 画像・動画・バックアップデータの保存 |
Amazon RDS | データベース管理 | MySQLなどのデータベース運用 |
AWS Lambda | サーバーレス実行 | 通知やバッチ処理の自動実行 |
Amazon CloudWatch | 監視・モニタリング | サーバーの状態監視とアラート通知 |
それでは、これらのサービスを上から順番に詳しく解説していきます。
仮想サーバーでアプリケーションを動かすサービス
Amazon EC2を使えば、WebアプリやAPIを動かすサーバーを数分で立ち上げることができます。OSの選択やスペックの調整、起動・停止など、従来のサーバーと同じ感覚で操作できるのがポイントです。
大量のファイルを安全に保管・共有できるクラウドストレージ
「Amazon S3(Simple Storage Service)」は、AWSが提供するクラウドストレージサービスです。画像や動画、ログファイル、バックアップデータなど、あらゆる形式のファイルを大容量で保存できます。
データベースの構築・管理を自動化できるサービス
「Amazon RDS(Relational Database Service)」は、リレーショナルデータベースの構築・運用を自動化できるサービスです。
MySQLやPostgreSQL、Oracleなどに対応しており、バックアップやスケーリング、パッチ適用などの管理作業を自動化できます。Webアプリのユーザー情報や商品データの保存先として活用されることが多いです。
サーバー管理不要でコードを実行できるサーバーレス機能
「AWS Lambda」を使えば特定の条件(イベント)が発生したときに、自動でコードが実行されます。
たとえば「ファイルがアップロードされたら処理を開始」「毎日深夜に自動で集計を実行」といった自動化が可能です
AWSのリソースをリアルタイムに監視・分析するサービス
「Amazon CloudWatch」は、AWS上のリソースやアプリケーションを監視・ログ分析できるサービスです。
CPU使用率やネットワークのトラフィック、エラーログなどをリアルタイムに可視化でき、異常があれば自動でアラート通知も行えます。安定した長期運用には欠かせないツールです。
AWSのメリット・デメリットとは?
AWSを導入する前に、どのようなメリットとデメリットがあるかしっかり把握しておくことはとても大切です。
それでは、まずAWSの代表的なメリットから見ていきましょう。
AWSのメリット
AWSのメリットは次の4点が挙げられます。
- 従量課金制によりサーバー購入や設備投資が不要
- ユーザー数に応じてサーバー性能を自動調整できる
- 高い稼働率と自動復旧で信頼性が高い
- 業界水準のセキュリティ対策が標準搭載
高い稼働率とコストパフォーマンスの良さを兼ね備えたAWSは、多くの企業にとって魅力的な選択肢となっています。
AWSのデメリット
AWSのデメリットは以下の4点が挙げられます。初心者がAWSを利用する上でとくに注意しておきたいポイントです。
- 料金が変動するため、コストの見積もりが難しい
- サービスが多すぎて学習に時間がかかる
- 日本語情報が少ないサービスもあり理解に時間がかかる
- 設定漏れで予期せぬ請求が発生する可能性がある
利用前には事前に料金シミュレーションや基本的なサービス知識を身につけておきましょう。
AWS認定資格の種類と選び方
AWSを体系的に学びたい方にとって、「認定資格」は明確な学習目標になります。
以下の表では、代表的なAWS認定資格を難易度・受験料・概要ごとにまとめましたので、自分に合った資格を選ぶ参考にしてください。
資格名 | 難易度 | 受験料 | 概要 |
---|---|---|---|
AWS Certified Cloud Practitioner | 初級 | 15,000円 | クラウドの基本的な知識を証明 |
AWS Certified Solutions Architect – Associate | 中級 | 20,000円 | 可用性とコスト効率を考慮した設計スキルを証明 |
AWS Certified Developer – Associate | 中級 | 20,000円 | AWS上でのアプリケーション開発スキルを証明 |
AWS Certified SysOps Administrator – Associate | 中級 | 20,000円 | 運用管理とデプロイメントのスキルを証明 |
AWS Certified Solutions Architect – Professional | 上級 | 40,000円 | 複雑なソリューションの設計スキルを証明 |
AWS Certified DevOps Engineer – Professional | 上級 | 40,000円 | DevOpsの実践的スキルを証明 |
AWS Certified Security – Specialty | 上級 | 40,000円 | セキュリティに特化したスキルを証明 |
資格によって学ぶべき内容や活用シーンが異なるため、自分の目的や将来像に合った選び方をすることが大切です。
初心者におすすめのAWS勉強方法
AWSをこれから学び始める初心者にとって「どこから勉強すればいいのか分からない」という悩みを抱えている人も多いはずです。
ここでは、AWSをこれから学び始める初心者に向けておすすめの勉強方法をご紹介します。自分に合ったやり方を見つけて、無理なくAWSの基礎を身につけましょう。
AWSの無料チュートリアルを活用する
AWSでは公式で無料のチュートリアルを提供しています。そのため、手軽に学ぶならAWS公式サイトにある「AWS Skill Builder」で基礎を学ぶのがおすすめです。
無料チュートリアルでは、操作しながら学べるハンズオン形式の教材も多く、実際に手を動かすことで理解が定着しやすい利点があります。無料ですぐに始められるため、まずはここから学んでいくと良いでしょう。
動画教材で学ぶ
テキストによる勉強が苦手という人は、視覚情報で学べる動画教材を活用した勉強方法が効果的です。
AWSは利用ユーザーが多いこともあり、YouTubeやUdemyなどでAWSの各サービスや資格対策に特化した教材が多くあります。動画教材なら通勤時間やスキマ時間を使って学べる点も特徴です。
AWSのセミナーに参加しスキルを習得
「独学では少し不安」「実務レベルで通用するスキルを短期間で習得したい」という方には、AWSで始めるインフラ構築基礎セミナーの活用もおすすめです。
このセミナーは2日間でインフラ構築の基礎から応用までを網羅するカリキュラムで、クラウド未経験者や初心者でも安心して参加できる内容になっています。実務で使える知識を得るだけでなく、「構築経験」まで得られるので初心者がスキルを定着させるのに効果的です。
セミナーの詳細については以下の表をご覧ください。
セミナー名 | AWSで始めるインフラ構築基礎セミナー |
---|---|
運営元 | GETT Proskill(ゲット プロスキル) |
価格(税込) | 38,500円〜 |
開催期間 | 2日間 |
受講形式 | 対面(東京)・ライブウェビナー |
参考書を活用して学ぶ
出典:図解即戦力 Amazon Web Servicesのしくみと技術がこれ1冊でしっかりわかる教科書
紙の本や電子書籍でじっくり学びたい方には、AWS関連の参考書を使った学習がおすすめです。とくに「図解即戦力 Amazon Web Servicesのしくみと技術がこれ1冊でしっかりわかる教科書」は、図解や具体例が豊富で初心者にも理解しやすい構成になっています。
ほかにもおすすめのAWS参考書を知りたい方は、以下の記事でまとめているのでチェックしましょう。
試験対策問題集で理解を深める
AWS認定資格の取得を目指すなら、問題集によるアウトプット学習がとても重要です。知識をインプットしただけでは本番でうまく対応できないことが多いため、実際の出題形式に慣れることが合格への近道です。
AWSの勉強を挫折せずに続けるモチベーションの保ち方
AWSは覚えることが多く専門用語もあるので勉強のモチベーションが下がりやすいという声もあります。
そこで、ここではAWSの勉強を無理なく継続するためのモチベーションの保ち方を紹介します。
学習スケジュールを立てて習慣化する
AWSの学習を継続するには、無理のないスケジュールで「習慣化」することが大切です。
「毎日30分だけ勉強する」「朝活で動画を見る」など、生活の中に自然に組み込むと続けやすくなります。いきなり長時間の学習を目指すと挫折しやすいため、まずは短時間から勉強を始めて無理のないペースで積み重ねましょう。
学習記録やSNSで進捗を見える化する
モチベーションを保つうえで効果的なのが、自分の学習記録を「見える化」することです。
学んだ内容をメモアプリに記録したり、SNSに投稿するだけでも継続への意識が高まります。また、勉強仲間とつながることで、よりモチベーションが上がりやすくなるのでおすすめです。
コミュニティや勉強会で仲間と学ぶ
一人での学習が続かない人には、コミュニティや勉強会に参加するのが効果的です。
AWSには「JAWS-UG」という学習者向けのコミュニティ・オンライン勉強会があります。日本全国に支部があるため、どこからでも参加できます。
初心者歓迎のイベントやテーマ別のもくもく会も定期的に開催されているため、知識に自信がなくても気軽に参加可能です。
実務や模擬プロジェクトで応用する
AWSは学んだことを実際に使うことでより理解を深められます。模擬プロジェクトや個人開発にAWSを組み合わせることで、学んだ内容をアウトプットする機会が得られます。初心者なら最初はLambdaで自動通知機能を作ってみたりするのもおすすめです。
AWSの勉強は段階的に進めるのが成功への近道
本記事では、AWSの勉強方法や代表的なサービス、AWSを使うメリット・デメリットについて解説しました。
AWSは多機能なため、まずは基本的なサービスから学び、徐々に応用や実践に進むことで理解を深めていくのが効果的です。動画や参考書、AWSセミナーを活用すれば、内容をしっかり理解できるだけでなく、サービスの使い方の具体的なイメージもつかめるようになります。
まずは自分の目的と勉強ペースに合った方法で、無理なくAWSスキルを身につけていきましょう。
