プログラミング言語を学ぶ際に、多くのエンジニアが最初に触れるのがJavaとJavaScriptです。
しかし、JavaScriptの略称がJavaなのでは?と勘違いする初心者も少なくありません。
本記事では、JavaとJavaScriptの具体的な違いについて詳しく解説していきます。プログラミング学習を始める方や、どちらの言語を習得すべきか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
JavaとJavaScriptの3つの違い
JavaとJavaScriptは以下の3つの点に違いがあります。
- 使用用途や目的が異なる
- 実行環境に違いがある
- 文法や構文の書き方が違う
これらの違いをしっかり押さえておくことで、自分の目的に合ったプログラミング言語の習得が可能です。
それでは、JavaとJavaScriptの違いについて具体的に解説していきます。
使用用途や目的が異なる
Javaは主に、バックエンドエンジニアを目指す人向けでサーバーサイドで利用されるプログラミング言語です。データベースの操作を行なったり、大規模のアプリケーション開発やAPI開発を行う場合は、Java言語の習得が必須といえます。
一方でJavaScriptはWebサイトやWebアプリケーションの開発で利用されるプログラミング言語で、フロントエンドエンジニアを目指す人は習得がほぼ必須なのが特徴です。イメージとしては、スマホやパソコンでWebブラウザを使うときの画面を作る人、という認識で問題はありません。
実行環境に違いがある
JavaはJVM(Java Virtual Machine)というJavaのプログラムを動かすソフトウェアを使って動作します。JVMはOSに依存しない強みを持っているので、異なるOSのパソコンを持つ会社同士でもスムーズにアプリケーション開発が可能です。
JavaScriptは主にWebブラウザ上で動作するのが一般的ではありますが、近年ではNode.jsといったサーバサイドからでも動作する実行環境があります。
文法や構文の書き方が違う
JavaとJavaScriptでは同一の処理であっても文法や構文に違いがあります。例えば、「Hello,World!」と画面に出力するだけでも書き方に差が発生します。
String str = “Hello,World!”;
System.out.println(str);
let hello = ‘Hello,World!’;
console.log(hello);
変数に文字列を代入し変数を呼び出すという動きは変わりませんが、見てわかる通り書き方に違いがあります。もし、JavaとJavaScriptの両方の言語学習を行う場合は、文法や構文の混同に注意が必要です。
JavaとJavaScriptの名前が似ている理由
JavaとJavaScriptにどのような違いがあるか分かったところで、なぜ名前が似ているのか気になりますよね。実は昔、JavaScriptの元の名前はLiveScriptでした。
当時はSum Microsystems社(現在はOracle社)が開発したJava言語が主流になるほど注目を浴びており、LiveScriptを開発したNetscape社が人気をあやかるために、JavaScriptに改名したという逸話があります。
JavaScript側がJavaに合わせにいったので、名前が似ているのです。
JavaとJavaScriptのそれぞれの特徴とは?
JavaとJavaScriptは、IT業界で幅広く利用されるプログラミング言語ですが、できることや強み、特性に違いがあります。
ここでは、それぞれの言語の特徴について詳しく解説していきます。
Javaの特徴
Javaはオブジェクト指向というルールのもと、プログラムを構築していきます。オブジェクト指向というのはパーツごとに役割を持たせ、それらを組み合わせてプログラムを構築するという考え方です。
Javaはこのオブジェクト指向のルールをベースにプログラムを作っていくので拡張性が高く、再利用もしやすいのが最大の特徴といえるでしょう。
Javaでできること
Javaは汎用性が高いため、あらゆる分野で扱われています。
例題でいうと、次のとおりです。
- 業務アプリケーション
- Androidアプリの開発
- Webアプリケーション
- ゲーム開発
身近なものでいうと銀行の入出金や決済システムや、Androidなどのモバイルアプリにも使われています。また、Spring BootというJavaのフレームワークを用いたWebアプリケーションにも利用されているので、あなたが利用しているECサイトでも使われている可能性があります。
Javaのメリット・デメリット
Java言語のメリット・デメリットについては以下の通りです。
メリット
- OS関係なくJavaプログラムが実行可能
- コードの拡張性が高くメンテナンスしやすい
- 大規模開発に適している
- ライブラリやフレームワークが豊富
デメリット
- 学習難易度がJavaScriptに比べると高い
- ライブラリやフレームワークの量が豊富なので使い方に戸惑いやすい
- コードが冗長になりやすい
Javaはコードの再利用ができる強みを持つ一方で、処理によってはコードが冗長になってしまう場合があります。これらのメリット・デメリットを押さえてどちらを学ぶか参考にしましょう。
Javaの資格の種類
Javaには大きく2つに分けた資格があります。
- Oracle認定Javaプログラマ
- Javaプログラミング能力認定試験
Oracle認定JavaプログラマはJavaを開発したOracle社が提供している資格で、Bronze・Silver・Goldの3つがあります。
Javaプログラミング能力認定試験はサーティファイが提供している資格で、3級・2級・1級の3つがあります。こちらはOracle認定Javaプログラマと比較しても難易度が優しく入門者〜中級者向けの資格です。
JavaScriptの特徴
JavaScriptはWeb開発で使われるプログラミング言語で、Webページを作成するときに活躍します。スマホのブラウザでよく見るハンバーガーメニューやボタンをタップしたときのアニメーションは、JavaScriptによって動作しています。
Webページの可読性やデザイン、UIはフロントエンド領域の仕事なので、ユーザー目線に立って操作しやすいWebサイトを作りたい人にJavaScript言語が向いています。また、ReactやVue.jsといったフレームワークを利用すれば、サーバーサイドの開発にも携われます。
JavaScriptでできること
JavaScriptでできることは主に次のとおりです。
- Webサイトのアニメーション実装
- シングルページアプリケーション(SPA)
- バックエンド開発
- ブラウザゲーム開発
JavaScriptを使えば動的なUIが実現できます。ユーザーが操作しやすいように誘導ができるのはJavaScriptの強みといえるでしょう。また、フレームワークを使えばバックエンド開発もできますし、ブラウザで動作する2Dや3Dゲームの開発も可能です。
JavaScriptのメリット・デメリット
JavaScript言語のメリット・デメリットについては以下の通りです。
メリット
- 文法がシンプルで入門者に優しい
- ブラウザで動作するため環境構築が不要
- ライブラリやフレームワークが豊富
デメリット
- ブラウザごとに動作が異なる場合がある
- セキュリティリスクがある
- Webサイトのパフォーマンスが落ちる場合がある
JavaScriptは入門者でも学びやすいほどシンプルな文法が特徴です。また、ブラウザで動作するので難しい環境構築が不要なのも、初心者にとって手に取りやすい強みがあります。
しかし一方で、JavaScriptはブラウザ間の互換性がない場合もある上、脆弱性対策も必要になってくるので注意が必要です。
JavaScriptの資格の種類
JavaScriptで有名な資格は以下の通りです。
- CIW JavaScript Specialist
- Webクリエイター能力認定試験
JavaScriptの資格で国内外問わず人気・信頼性が高いのはCIW JavaScript Specialistという資格です。難易度は中級者向けの資格のため、入門者が目指すべき資格といえます。
次にWebクリエイター能力認定試験はサーティファイが提供している資格で、スタンダードレベルではHTMLとCSSを中心に学び、エキスパートレベルではJavaScriptを用いた基本・応用が出題されます。
JavaとJavaScriptを学ぶときの選び方
JavaとJavaScriptを学ぶときの選び方は目的によって異なってきます。
- 開発したいものから選ぶ
- 学習難易度から選ぶ
- キャリアを考えて選ぶ
ここでは上記、3点に絞って解説していきます。
開発したいものから選ぶ
Javaはバックエンドで使用される言語で、Java言語を扱えればデータ送受信や処理の分岐、バックアップ処理などプログラムの根幹に携われます。もし、あなたがシステムの仕組みについて詳しく知りたいと考えているなら、Java言語を学ぶのがおすすめです。
Webサイトのデザインにこだわりを持つ人やクリエイター気質な人におすすめなのが、JavaScriptです。HTMLやCSSはもちろんのこと、JavaScriptを用いることでユニークなWebサイトを作れますよ。
学習難易度から選ぶ
学習難易度はJavaの方が高く、JavaScriptの方が文法もシンプルで学びやすい特徴があります。ただし、JavaScriptの実務レベルでは自由度が高いため設計力やデザインの理解が求められることも。そのため、どのレベルまで習得したいかを明確にすることが大切です。
キャリアを考えて選ぶ
Javaはあらゆる企業の業務システムで用いられることも多いため、求人が豊富で安定してキャリアを築きやすい強みがあります。その一方で、JavaScriptはWeb開発の現場では需要が高いのでフロントエンドのプロフェッショナルを目指したい人におすすめです。
JavaとJavaScriptの学習方法とは?
効率よくJavaやJavaScriptを学習する際におすすめなのが以下の方法です。
- 初心者向けの書籍を利用して学ぶ
- Youtubeなどの動画学習を行う
- 学習サイトを利用する
- プログラミングスクールを利用する
中でもおすすめなのがプログラミングスクールの利用です。なぜおすすめなのか詳しく解説していきます。
初心者向けの書籍を利用して学ぶ
JavaやJavaScriptはプログラミング言語の中でもベーシックなため、書店でも豊富に書籍を取り扱っています。中でも初心者向けなのが次の書籍です。
- スッキリわかるJava入門
- 確かな力が身につくJavaScript「超」入門
これらの書籍からでも十分に基礎学習ができます。
Youtubeなどの動画学習を行う
YoutubeにもJavaやJavaScriptの使い方を解説する動画があるので、実際に見ながら学びたい人は動画学習が便利です。ただし、注意点として動画が古かったりすると最新バージョンとは異なる操作法を求められる場合があるので適宜調べながら行うようにしてください。
学習サイトを利用する
オンライン学習サイトを用いて、自身のスマホやパソコンを使って手軽にプログラミング学習が可能です。オンライン学習サイトなら無料で学べますし、より専門的な学習をしたいときにサブスクリプション契約をすれば良いので入門者にとって経済的負担にもなりにくいメリットがあります。
プログラミングスクールを利用する
学習サイトよりは金額がかかってしまいますが、現場の生きたスキルや知識を学びたいならプログラミングスクールの利用もおすすめです。プログラミングスクールでは他の入門生と一緒に学習を進めていくので現場に近いチーム開発経験も得られます。アプリ開発も実施するので就職活動で役立つポートフォリオも作成ができる点が強みです。
JavaとJavaScriptの比較
総評として、JavaとJavaScriptの違いを比較したい人は、以下の表をご覧ください。
項目 | Java | JavaScript |
使用用途 |
| Web開発 |
実行環境 | JVM(Java仮想マシン) | ブラウザ |
代表的なフレームワーク | Spring Boot |
|
開発規模 | 大規模開発向き | 小規模〜中規模向き |
求人数 | 多い | 少ない |
学習コスト | 高い | 低い |
よくある質問
最後に、JavaとJavaScriptに関してよく見受けられる質問について回答します。
JavaとJavaScriptはどちらが難しいですか?
Javaの方が習得難易度が高いと言われています。Javaはサーバーサイドで動かすことがほとんどなので、データベースの学習も必須となってきます。
JavaとJavaScriptはどれくらい学習時間が必要ですか?
Javaの習得にかかる学習時間はおよそ200時間〜300時間、JavaScriptの学習時間はおよそ15時間〜200時間といわれています。
JavaとJavaScriptはどちらの方が人気ですか?
仕事の分野や目的によって異なってきますがプログラマ目線でいうと圧倒的にJavaの方が人気が高いです。
理由としてJavaを1度習得すれば他の言語も学びやすいですし、専門性が高いので求人数も豊富で給与も高い傾向にあるからです。
JavaエンジニアでもWeb開発を行う場合、JavaScriptに触れる機会は多く存在します。そのため、Javaを学んだ後にJavaScriptを学ぶ方が幅広い分野での活躍が期待できます。
