【2024】AIによる求人サービスとは?メリットやデメリット・注意点を解説

厚生労働省は、ハローワークのサービスに生成AIを導入し、求職者と企業のマッチング精度を向上させる取り組みを本格化させます。このプロジェクトを推進するため、ChatGPTを開発した米OpenAIをアドバイザーに迎え、専門家によるチームを立ち上げる予定で、生成AIの具体的な活用方法やプライバシー保護など、導入にあたっての課題を検討していきます。今後、ハローワークのオンラインサービスにおいて、生成AIを活用した求人サービスが登場する可能性があるでしょう。

そこで今回は、AIによる求人サービスのメリットやデメリット、導入する際の注意点を解説します。

AIによる求人サービスとは

AIによる求人サービスは、AIを活用して求人情報の作成から書類審査、面接などの採用業務の一部分を自動化したり、効率化したりするサービスです。AIは大量のデータを短時間で処理できるため、人間が長時間かけて行っていた作業を迅速に行うことができるのです。

ハローワークのサービスで導入するような、応募書類のマッチングでは生成AIが過去の採用データに基づいて、応募者のスキルや経験を自動的に評価し、面接に進むべきか否かを判断することができます。また、面接の際には、生成AIが事前に用意された質問を候補者に投げかけ、その回答を分析することで、候補者の適性や能力を評価することも可能です。

生成AIは人間の能力を補完する役割も担っているため、膨大な数の応募者の中から、企業が求める人物像に最も近い候補者を絞り込むことができます。これにより、人材担当者は、より質の高い候補者との面接に集中できるようになるのです。今後も、AI技術の進歩に伴い、生成AI採用の範囲はますます広がっていくことが予想されます。

生成AIについては、以下の記事でも詳しくご紹介しています。ぜひ参考にしてください。

【2024】生成AIとは?ビジネスへの活用方法までわかりやすく解説

AIによる求人サービスのメリット

AIによる求人サービスのメリット

AIによる求人サービスは、従来の採用手法に革新をもたらし、より効率的で精度の高いマッチングを実現しつつあります。以下で、AIによる求人サービスのメリットについて具体的に見ていきましょう。

工数の削減で効率化が図れる

AIは、自然言語処理や機械学習などの技術を活用することで、応募書類に記載されたスキルや経験、求める職種とのマッチ度などを数値化し、客観的な評価を下すことができます。そのため、人手による選考で起こりうるバイアスを最小限に抑え、より公平な採用を実現することができます。また、AIは24時間365日稼働することができるため、夜間や休日の応募にも対応することが可能です。

担当者の負担を軽減できる

AIは膨大な数の応募書類から、企業が求めるスキルや経験を持つ候補者を効率的に抽出することができます。そのため、採用担当者は書類選考に費やす時間を大幅に削減し、より重要度の高い業務に注力できるようになります。例えば、AIが候補者をある程度絞り込んだ後、その中からさらに深く掘り下げ、候補者の人物像や企業へのフィット感を評価することができるのです。

担当者のバイアスが軽減できる

人間は、どうしても個人差や経験に基づく偏見や先入観を持ってしまうものです。そのため、採用選考では、無意識のうちに特定の候補者を評価してしまう可能性がゼロではありません。一方、AIは感情や主観に左右されることなく、客観的なデータに基づいた評価を行うことができます。

過去の採用データや求める人物像などの情報を学習することで、候補者のスキルや経験を定量的に評価し、より公平な選考が可能になります。

人間無意識のうちに感情や主観に左右される可能性がある
AI感情や主観に左右されることがない

チームの少数精鋭化ができる

AIによる業務自動化は人材が本来注力すべき、人間ならではの判断やコミュニケーションを伴う業務に集中できます。そのため、少ない人員でも効率的な採用活動を実現し、組織全体の活性化を促すことが期待できるのです。

AIによる求人サービスのデメリット

AIによる求人サービスは、効率化と客観性を高め、採用活動に革新をもたらす一方で、AIが担う役割が拡大するにつれて、人材の多様性や人間関係などのAIには捉えきれない要素が軽視されるリスクも高まっています。以下で、AIによる求人サービスがもたらすデメリットを詳しく解説します。

応募者の個性を適切に判断できない可能性がある

応募者のエントリーシートや志望動機は、AIがその魅力を完全に把握し、適切に評価することは難しいのが現状です。AIは、数値化できるデータや明確な基準に基づいて判断するため、応募者の文章に込められたニュアンスや熱意などの人間ならではの繊細な部分を見逃してしまう可能性があります。

そのため、採用すべき優秀な人材を誤って選考から外してしまう可能性もあるのです。AIの分析結果を参考にしながら、人間が応募者の個性や熱意を深く理解し、総合的に判断することが、より良い人材を採用するための鍵となります。

AIでの求人に抵抗を感じる人もいる

AIを活用した求人は、効率化や公平性の観点から注目されている一方で、AIによる判断に抵抗を感じる人も少なくありません。AIによる評価を「温かみがない」「人の心がない」と感じる人は、時間をかけて作成したエントリーシートが、AIによって不採用と判断された場合は納得感を得られず、企業への不信感に繋がる可能性も考えられます。

そのため、AI求人は導入しているが、最終的な判断は人間が行っている、といったメッセージを積極的に発信するなど、AIの導入に抵抗を感じる人への配慮が不可欠です。

AIの学習には多くのデータや時間が必要である

AIを採用活動に導入する際、大きな課題となるのが、AIが学習するためのデータの不足と学習時間の長期化です。AIは過去のデータを基にパターンを学習し、将来を予測したり、最適な選択肢を提示したりします。そのため、大量かつ質の高いデータがなければ、精度の高い判断を行うことは困難です。

大企業のように、多数の応募者からデータが蓄積される環境であれば、比較的短期間でAIを有効活用できる可能性があるでしょう。しかし、中小企業や新規事業を始める企業の場合、十分なデータがすぐに集まらないため、AIが学習し、採用活動に役立つレベルになるまでに時間がかかるでしょう。

AIを導入する際には、これらの課題を十分に認識し、計画的な導入を進めることが重要です。

AIによる求人サービスの注意点

AIによる求人サービスの注意点

AIを活用した求人サービスは、膨大な求人情報を効率的に検索したり、応募者のスキルと求人のマッチング精度を高めたりするなど、多くのメリットをもたらします。しかし、その一方で、AIによる求人サービスには以下のような注意すべき点も数多く存在します。

  • 最終的な判断は人間が下す
  • AIの学習は慎重に行う
  • 個人情報の取り扱いには十分に注意する

それぞれを以下で詳しく解説します。

最終的な判断は人間が下す

書類選考はAIの判断に頼るだけでなく、必ず人の目で確認し、最終的な判断は慎重に行うべきです。AIは過去のデータに基づいて応募者の適性を評価しますが、応募者との対面による会話などは、人間ならではの判断が不可欠です。

応募者との対話を通じて得られるAIでは測れない人間的な側面や、企業へのフィット感を考慮することも、採用成功には欠かせません。

AIの学習は慎重に行う

AIは、膨大なデータを学習することで、高度なタスクをこなせるようになります。しかし、その学習過程には、思わぬ落とし穴が潜んでいます。AIが学習するデータは、過去の現実世界のデータを基にするため、データに偏りや誤りがあると、AIはそれらを「正しい」情報として学習してしまう可能性があります。

その結果、誤った情報に基づいた判断を行うため、結果として誤った結論を導き出すことがあります。AIを求人で活用するためには、学習データの品質管理を徹底し、AIが公平かつ公正な判断を行うための仕組みを構築することが不可欠です。

AIのおすすめ学習方法については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。ぜひ参考にしてください。

【2024】AIを簡単に学習させる方法3選!ライブラリやおすすめ学習方法も解説

個人情報の取り扱いには十分に注意する

求人活動が終了し、原則として取得した個人情報は破棄すべきですが、不採用の応募者の情報を残して利用する場合には、その利用目的を明確にし、本人の同意を得ることが法律で定められています。AIを活用した求人は、過去の膨大なデータを基に判断するため、過去の応募者の情報も重要な資産となります。特に大手企業では、AIが保有する個人情報の量は膨大になるでしょう。

現代社会において個人情報の漏洩は、企業の信用失墜だけでなく、社会的な問題に発展する可能性もあります。そのため、AIを活用した採用においても、個人情報の保護は最優先事項として取り組むべき課題です。

AIによる求人サービスで採用活動を効率化しよう!

AIによる求人サービスで採用活動を効率化しよう!AIによる求人サービスで採用活動を効率化しよう!

今回は、AIによる求人サービスのメリットやデメリット、導入する際の注意点を解説しました。AIを活用することで、膨大なデータを分析し、最適な人材と企業をマッチングさせることで、採用ミスマッチを減らす可能性を秘めています。

しかし、AIの導入には注意すべき点も存在します。AIは、過去のデータに基づいて学習するため、新たな価値観やスキルを持つ人材を見逃してしまう可能性や応募者から公平性に対する疑問が生じる可能性も考えられます。

AI採用を成功させるためには、AIのメリットとデメリットを正しく理解し、自社の状況に合った導入計画を立てることが重要です。CROSS TECHでは、AIを活用したAIプロジェクト推進サービスを行っております。様々な業界・業種へのコンサルティング実績を持つコンサルタントが貴社の課題をヒアリングをした上で、課題解決のために最適なAIソリューションをご提案いたします。お電話やメール、ご訪問、いずれも無料で承ります。まずはお気軽にご連絡ください。

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