シンプルな構文と汎用性の高さで人気のPython。
数あるプログラミング言語の中でも圧倒的認知度を誇り、AIやデータ分析といった最先端技術を中心に幅広く活用されています。
近年、Python人気を背景にスキルを証明する資格試験も続々と登場していますが、具体的にどのような試験が行われているのかよく知らない方も多いでしょう。
そこでこの記事では、Pythonの試験について徹底調査しました。
Pythonの試験の種類や各試験の難易度、受験方法について詳しく解説しているので、Pythonの資格試験に興味がある方はぜひ参考にしてください。
Pythonの試験とは?
Pythonの試験とは、汎用プログラミング言語・Pythonのスキルを評価する認定試験です。
Pythonの試験は世界中で実施されていますが、国内では以下の4つの試験が受験可能です。
- Python3エンジニア認定基礎試験
- Python3エンジニア認定データ分析試験
- Python3エンジニア認定実践試験
- PythonZen & PEP 8 検定試験
Pythonの試験は、それぞれレベルや内容が異なるため、自分に合った試験を選んでしっかりと試験対策して臨むことを心がけましょう。
Pythonとは
Pythonは、1991年にグイド・ヴァン・ロッサム氏が開発したプログラミング言語です。
Pythonの設計思想は「分かりやすさと効率性の両立」であり、コードの可読性を重視することで、開発者の生産性向上に貢献しています。
Pythonは、「There should be one– and preferably only one –obvious way to do it.(あることを行うための明白な方法は1つ、できれば1つだけであるべき)」という哲学のもと設計されました。
コードの美しさやシンプルさがプログラミング言語の中でも群を抜いているのは、この哲学に基づいた一貫した考え方によるものなのです。
参照:一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会「問題解説」
Pythonでできること
Pythonは、Web開発やデータ分析、AIシステム開発などできることは多岐にわたります。
以下では、Pythonでできる具体的な分野と用途を表にまとめてみました。
分野 | 具体的な用途 |
Web開発 | Webサイト、Webアプリケーションの開発 |
データ分析 | データの集計、分析、機械学習モデル構築 |
データベース操作 | データの保存、管理 |
機械学習・AI | 画像認識、自然言語処理、予測モデル作成 |
自動化 | 業務の自動化、データ収集、テストの自動化 |
デスクトップアプリケーション開発 | GUIアプリケーションの作成 |
ゲーム開発 | 2D/3Dゲームの開発 |
セキュリティ | セキュリティテスト、脆弱性診断 |
以下の記事は、Pythonでできることを詳しく解説しています。
Pythonの具体的な活用事例もお伝えしているので、Pythonの理解を深めたい方はぜひ参考にしてください。
Pythonの試験の種類
日本国内で行われているPythonの試験は以下の4つです。
それでは、各Python試験の難易度や受験方法、試験時間、合格ライン、試験料金などを詳しく紹介しましょう。
- Python3エンジニア認定基礎試験
- Python3エンジニア認定データ分析試験
- Python3エンジニア認定実践試験
- PythonZen & PEP 8 検定試験
Pythonの試験①Python3エンジニア認定基礎試験
Python3エンジニア認定基礎試験は、Pythonの基礎的な知識とスキルを評価する試験です。
試験はコンピューターを使った最新試験システム・CBT(Computer Based Testing)形式で実施されます。
試験の難易度は比較的低めです(経済産業省ガイドライン「ITスキル標準」レベル1に登録)。
主な試験範囲は「Pythonチュートリアル 第4版」の内容で、その他に一般的なプログラミング知識も含まれます。
Pythonの基礎を体系的に学びたい方、または自身のPythonスキルの客観的評価を得たい方に適した試験です。
主催 | 一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会 |
試験日 | 年間を通じ開催 |
試験会場 | 全国のオデッセイコミュニケーションズCBTテストセンター |
試験料金 | 11,000円(学割:5,500円) |
難易度 | 易 |
試験時間 | 60分 |
試験問題数 | 40問(選択問題のみ) |
合格ライン | 70% |
Pythonの試験②Python3エンジニア認定データ分析試験
Python3エンジニア認定データ分析試験は、Pythonを用いたデータ分析の基礎や実践スキルを評価する試験です。2023年7月1日より試験内容が一部改訂され、主教材が「Pythonによるあたらしいデータ分析の教科書 第2版」に変更されました。
この試験は比較的難易度が低く、先述の試験同様に経済産業省の「ITスキル標準(ITSS)」レベル1に登録されています。データサイエンティストを目指す方や、業務でPythonを用いたデータ分析を行いたい方におすすめです。
主催 | 一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会 |
試験日 | 年間を通じ開催 |
試験会場 | 全国のオデッセイコミュニケーションズCBTテストセンター |
試験料金 | 11,000円(学割:5,500円) |
難易度 | 易 |
試験時間 | 60分 |
試験問題数 | 40問(選択問題のみ) |
合格ライン | 70% |
Pythonの試験③Python3エンジニア認定実践試験
Python3エンジニア認定実践試験は、Pythonを用いたプログラミングの高度な実践スキルを評価する試験です。試験内容は、ライブラリの使い方やデバック、並行処理・並列処理、暗号関連などで、900点以上で合格した方には「Python Super Engineer」という称号を付与されます。
本試験は、Python3エンジニア認定試験の中でも最も難易度が高く、中級から上級レベルの知識と実践力が求められます。この試験に合格することで、Pythonを用いたデータ分析の高度なスキル証明できるため、データサイエンティストやデータエンジニアなどのキャリアを目指す方に最適です。
主催 | 一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会 |
試験日 | 年間を通じ開催 |
試験会場 | 全国のオデッセイコミュニケーションズCBTテストセンター |
試験料金 | 13,200円(学割:6,600円) |
難易度 | 中~上 |
試験時間 | 75分 |
試験問題数 | 40問(選択問題のみ) |
合格ライン | 70% |
Pythonの試験④PythonZen & PEP 8 検定試験
PythonZen & PEP 8 検定試験は、Pythonの設計原則とコーディング規約に関する知識を問う試験で、PythonZenとPEP 8に焦点を当てた問題が出題されます。試験は選択問題形式で、20問のうち半分がPythonZen、半分がPEP 8に関する問題です。
出題はあらかじめ用意してある40問の中からランダムに選ばれ、合格ラインは正答率70%となっています。難易度は上記の試験の中で最も低く、Pythonの入門レベルの知識があれば十分に合格可能です。
主催 | 一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会 |
試験日 | 随時 |
試験会場 | WBT(ネット環境のある場所) |
試験料金 | 無料 |
難易度 | 易(入門レベル) |
試験時間 | 60分 |
試験問題数 | 20問(選択問題のみ) |
合格ライン | 70% |
Pythonの試験で資格を取得するメリット
Pythonの試験を受けて資格を取得するといくつものメリットがあります。
ただし、Pythonの資格はそれぞれ難易度が異なり、難易度に比例して得られるメリットも変化することを留意しておいてください。大きなメリットを得たい場合は、やはり最高難易度の「Python3エンジニア認定実践試験」取得を目指しましょう。
メリット①就職・転職の幅が広がる
Pythonの資格試験を取得すると、就職や転職の幅が大きく広がります。特に、IT関連業界、金融業、製造業などPythonスキルが求められる分野では、資格の有無が採用合否を左右します。
データ分析、AI、Web開発、そしてリスク管理やポートフォリオ最適化などPythonの活用範囲は広がっていく中、Python資格保有者のキャリアアップは今後さらに期待できるでしょう。
メリット②市場価値が高くなる
Pythonの資格試験を取得することは、自身の市場価値を大きく高めてくれます。
Pythonの資格は国内でも評価が高く、さらにPythonスキルを客観的に証明する信頼できる証拠となるため、実務経験が少なくてもデータサイエンティスト、機械学習エンジニア、AIエンジニアなど、最先端の技術に関わる仕事に就くチャンスが広がります。
これらの職業は高収入かつ安定した将来性が期待できるため、キャリアアップを目指す上で大きなメリットとなるでしょう。
メリット③学習能力が向上する
Pythonの資格取得を目指して学習する過程では、学習能力の向上という大きなメリットも得られます。資格試験に向けて試行錯誤しながら最適解を模索することで、問題解決力や応用力、論理的思考力が高まります。
この経験は、試験に合格後ビジネスに活用するという具体的な目的達成だけではなく、日常生活や一般業務においても効率的なタスク遂行などのメリットを得られます。
Pythonの試験におすすめの学習方法
Pythonの試験に合格するためには、自分自身に最適な学習方法を選ぶことが重要です。
学習効果を最大限高めるためにも自分に合った学習方法を選択しましょう。
- 認定教材を活用する
- YouTubeを利用する
- セミナーに参加する
学習方法①認定教材で活用する
Pythonの試験に合格するためのおすすめ学習方法は、認定教材の活用です。
本記事で紹介した国内開催のPython資格試験は、すべて「一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会」が主催しており、公式サイトの試験要綱にはそれぞれ出題元となるテキストが明記されています。
たとえば、Python3エンジニア認定基礎試験は「Pythonチュートリアル」、Python3 エンジニア認定実践試験は「Pythonによるあたらしいデータ分析の教科書」が試験内容の主体です。これらの認定教材を使用することで、試験の出題範囲を確実にカバーできます。
ただし、基本的に独学となるため「学習効率が悪い」と感じる方は、講座やセミナーなど、プロ講師から直接指導を受けられる学習方法も検討すると良いでしょう。
以下の記事では、Pythonの学習におすすめの本を紹介しています。
レベルに合わせて適した本を紹介しているので、認定教材の併用学習に本を検討している方はぜひご一読ください。
学習方法②YouTubeを利用する
Pythonの資格試験は、YouTubeを利用して学習することもできます。
YouTubeにはPython3エンジニア認定試験の3種類(基礎・データ分析・実践)それぞれに対応したコンテンツが公開されており、学習内容はもちろん、勉強方法や学習のコツ、会場選びの方法など、Pythonの資格試験を受けるにあたり役立つ情報も紹介しています
YouTubeは視覚的に学べるため、プログラミングの概念を理解しやすく、さらに実際のコーディングプロセスを実際に見ることができるのも魅力です。一方、認定教材同様に、疑問を解決しにくいというデメリットがあります。
また、具体的に知りたいと思った部分をYouTube動画で解説しているとも限りません。試験学習に大切な網羅性を必ずしも担保していないという点も注意しておきましょう。
学習方法③セミナーに参加する
Pythonの資格試験におすすめの学習方法には、セミナーへの参加も挙げられます。
セミナーを利用して試験対策を行うと、上記の学習方法で挙げた主な課題点である「モチベーションを維持しにくい」というデメリットが軽減します。さらに、経験豊富な講師から直接指導を受けられるため、Pythonの複雑な概念に対する理解を深めたいという方にも最適です。
近年短期集中型ので学習するタイプも多く、比較的利用しやすい料金を設定しているセミナーも多くなりました。コロナ禍以降オンラインなど学習形態も多様化し、自由なスタイルで学習できるのも魅力といえるでしょう。
Python基礎セミナー講習|BIZROAD
Python基礎セミナー講習は、Pythonプログラミング初心者向けのセミナーです。
Pythonの基礎的なプログラミングやデータ処理からスタートし、AIプログラムや自動化プログラムまで幅広く学習します。本記事で紹介したPython3エンジニア認定基礎試験、およびデータ分析試験に適したカリキュラムです。
受講期間 | 2日 |
受講形式 |
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受講期間 | 3日 |
受講形式 |
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受講料金 |
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Pythonの試験についてまとめ
この記事では、Pythonの試験の種類、および各試験の難易度や料金などを詳しく解説しました。
Pythonの資格試験を受ける際には、自身の学習スタイルや目標に合わせて、最適な方法を選択することが試験合格への近道となります。着実に知識とスキルを積み重ねていきたい方は、セミナーを利用すると基礎から応用まで効率的にスキルアップできます。