Python初心者がPythonを使うとき、おすすめのツールがあります。それは、Pythonのフレームワークです。本記事では、Pythonのフレームワークとは何なのか、Pythonのおすすめフレームワーク、初心者がフレームワークを使う時の注意点についてお伝えします。
Pythonのフレームワークとは
フレームワークとは簡単に言うと「骨組み」という意味です。この意味の通り、Pythonのフレームワークは、効率的にシステムを開発できるように、使用頻度の高い機能をテンプレートのようにして提供してくれるものです。Webアプリケーションを開発するとき、普通は大量のコードを自力で書かなければなりませんが、フレームワークを使用すれば、大量のコードを書く手間を削減することができます。また、テンプレート化されていることでプログラムの書き方を複数人の間で共有しやすく、テンプレートを使わない場合に比べて他の人が書いたコードを理解しやすいことも大きなメリットです。そのため、近年では、Webアプリケーションの開発においては、フレームワークを使用した開発が主流となってきています。
Pythonのおすすめフレームワーク5選
ここでは、一般的に使われているPythonのおすすめフレームワークを5つ紹介します。ぜひ参考にしてください。
Django
Djangoは「ジャンゴ」と読みます。2005年に開発されたWebアプリケーションフレームワークです。無料で利用することができます。Djangoは、Webアプリケーションの開発に必要な機能(「ユーザー認証」「管理画面」「サイトの案内ぺージ」など)が一通り揃っているフルスタックフレームワークです。Djangoは多機能な万能型WEBフレームワークとされており、Djangoを使えば高品質なWebアプリケーションを簡単に作成することができます。また、DjangoだけでもWebアプリケーションの開発には十分な機能が備わっていますが、拡張のためのモジュールも用意されており、柔軟性が高いため、管理システムのみならずソーシャルネットワークなどにも活用できるといったように幅広い用途に対応しており、大規模向けのWebアプリケーション開発にも有効です。そして、Djangoでは簡単にプロトタイプを作ることができる点もメリットとなります。プロトタイプは「試作品」という意味で、プロトタイプを作ることによって開発にどれくらいの時間がかかりそうか、操作性はどうかなどの見積もりや検証を行うことができ、Webアプリケーション開発の効率を向上させることが期待できます。
Flask
Flaskは「フラスコ」または「フラスク」と読みます。Flaskは、マイクロフレームワークという軽量なフレームワークであり、必要最小限の機能のみを備えているため、小規模向けの簡単なWebアプリケーションを作るのに適しています。軽量であるため、処理速度が速いです。必要最小限の機能しか備わっておらず余分な機能がない分、Flaskの使用にあたっては学習コストが少なくて済む点から、Python初心者にはおすすめです。また、Flaskでは公式でわかりやすいチュートリアルサイトがあり、日本語にも対応しているので、参考にしながらWebアプリケーション開発を進めることができます。加えて、Flaskでは、データベース抽象化レイヤー・フォーム検証・それを処理するライブラリといった機能は備わっていませんが、拡張によってこれらの機能を追加するサポートもあります。他にも、オープン認証など、様々な機能を拡張によって追加することができます。
Bottle
Bottleは、Pythonで一番小さいWEBフレームワークとも言われており、シンプルさ・軽量さに特化しています。Bottleを構成するのはたった1つのファイルのみです。Flaskと類似していますが、Flaskよりもシンプルなものとなっています。そのため、個人でのWebアプリケーション開発に適しています。驚くべき軽量さから、処理も非常に速いです。どのフレームワークよりもシンプルな構成なので、学習コストが低い上、初学者がWEBアプリケーションの構成やフレームワークについて理解するには最適であると言えます。ただし、構造がシンプルすぎて備わっている機能が最小限であるがゆえに、実装したい機能が備わっておらず自分で実装したり他のライブラリで補ったりする必要性がある場合があります。
web2py
web2pyは、Djangoと同じように、Webアプリケーションの開発に必要な機能が一通り揃っているフルスタックフレームワークです。使いやすさに重点を置いた教育ツールとして提供されていたため、比較的初心者向けの構成となっています。web2pyは、セキュリティ確保に注力しており、Webアプリケーションに対する様々な脅威に対応するプログラムがもともと備わっています。そのため、初心者でも安心して使うことができます。ただし、Python3 との互換性が良くない点に注意が必要です。
Tornado
Tornadoは、「トルネード」と読みます。Tornadoの最大の特徴は、他のフレームワークと違って非同期通信ライブラリであることです。一般的に、コンピュータにデータ入力を行うと、ネットワーク上の同期をして処理が完了するまで次の処理を行うことはできません。しかし、非同期通信ライブラリのTornadoでは、ネットワークで接続されているデータの送信者と受信者、つまりサーバーとアプリケーションが同期を取らずに通信を行うことで、リクエスト送信した後にレスポンスを待たなくても他の処理ができます。そのため、ユーザーへの長時間の接続が必要なWebアプリケーション開発におすすめのフレームワークです。
初心者がフレームワークを使う時の注意点
初心者がPythonのフレームワークを使うとき、注意すべき点が2つあります。ぜひ参考にしてください。
1つ目は、フレームワークの使い方を覚える手間を惜しまないことです。フレームワークの使い方を覚えるには、時間と手間がかかります。構成が複雑で学習コストの高いフレームワークなら尚更です。また、プログラミング経験の浅い人がフレームワークの使い方を覚えるにはよりたくさんの時間と手間がかかるでしょう。しかし、フレームワークの使い方を覚えなければ、フレームワークを十分に活かした制作は不可能となります。ですから、インターネットや書籍を利用しつつフレームワークの使い方をしっかり覚えましょう。
2つ目は、フレームワークを使えば便利な反面、自由度が下がってしまう場合があることです。これまで、様々なフレームワークを紹介しましたが、その中にはシンプルなものも多機能のものもありました。このように、フレームワークによってその構成は様々です。そのため、Flaskのように自由度が高いフレームワークもあれば、Djangoにように自由度の低いフレームワークもあります。また、オリジナルのWebアプリケーションを作るためにフレームワーク内部のコードを編集しなければならないこともあるかもしれません。このように、フレームワークは骨組みとなる一方アプリケーション制作の自由度を制限する可能性があります。
Pythonのフレームワークを使って効率をアップしよう
Pythonのフレームワークは、Webアプリケーション制作などの効率性を向上させてくれる便利なものです。フレームワークのメリットとデメリット、それぞれのフレームワークの特徴を理解した上で利用すれば、きっとプログラミングの助けとなるでしょう。