ゲームAIの種類と特徴、仕組みまとめ

ゲームAIは、敵や味方のキャラクターを動作させるなど、重要な役割を担う存在です。
その完成度次第で、ゲームの面白さも変わってきます。

今回は、そんなゲームAIについて知りたい方に役立つ情報をわかりやすくまとめました。
種類や動作の仕組み、機械学習との関係などについて見ていきましょう。

ゲームAIは主に3種類:その特徴と用途について

ゲームAIの特徴と用途について
ゲームAIは主に以下の3種類に分類されます。

  1. キャラクターAI
  2. メタAI
  3. ナビゲーションAI

1.キャラクターAI

キャラクターAIは文字通り、プレイヤーが操作する以外のキャラクター(NPC)を動かすために利用されます。
具体的には、格闘ゲームの敵キャラクターや、RPGで主人公を支援する仲間が代表例です。
ゲームAIとしては、最もイメージしやすい存在かもしれません。
このタイプのAIは、プレイヤーやAIと対戦したり、協力したりすることでゲームを盛り上げる大切な存在です。
コンピュータゲームが登場した頃は、決まった動作を繰り返すだけでしたが、近年は技術が進化して、より複雑・高度な判断を行えます。

2.メタAI

ゲーム進行を司るのが、メタAIの特徴です。
一定の条件を満たしたらイベントを開始したり、ステージに応じて敵やアイテムの配置を変更したりと、ゲーム画面の裏で色々な処理を行っています。
こちらも古くから搭載されていましたが、近年は大きく進化しており、臨機応変に対応できるよう、処理能力が増してきました。
例えば、プレイヤーが緊迫した体験をできるように、迫りくるゾンビの数や配置をコントロールするよう、自律的に操作しているソフトもあります。

3.ナビゲーションAI

キャラクターAIやメタAIに対し、各種情報を提供して動作をサポートするのが、ナビゲーションAIの役割です。
例えば、主人公に対して敵キャラクターを接近させる場面などで欠かせません。
FPSゲームでは、ナビゲーションAIが主人公の位置や進行方向、障害物に関する情報を与えることで、敵キャラクターは遮蔽物を使って身を隠しながら近づいてきます。
この仕組みがないと、キャラクターAIは正確な動作を行えません
主人公からすると的外れな方向に走っていったり、銃撃を受けても身を隠さなかったりと、不自然な現象が生じるのです。

キャラクターAIを動かす仕組み

PRGやFPS、ボードゲームなど多彩なゲームに利用されるのが、キャラクターAIです。
このため、動作させる仕組みも豊富で、ゲーム内容や目的に応じて使い分けられています。

ルールベースAIは条件判断で動作します。
主人公が戦闘不能になった時、味方が回復アイテムを使ってくれるような、条件に応じて行動パターンが決まっているのが特徴です。

他には、ステートベースAIも有名なタイプ。
これは、キャラクターやゲーム空間の状態(ステート)によって、AIの動作を制御する仕組みです。
例えばFPSゲームでは、主人公との距離が近いとナイフで攻撃し、遠ざかると銃を使うと言う具合に制御します。

メタAI

メタAIは、ナビゲーションAIから受け取った情報を元に、分析・判断・指示を行うのが一般的な仕組みです。
例えばRPGでは、いつも一本調子で敵が登場していると、プレイヤーは退屈するか、窮地に陥ります。
いつも勝てる相手だと緊張感に欠けますが、逆に緊迫したバトルになる強敵が繰り返し出現すると、HPやアイテムが尽きてしまうのです。
そこで、メタAIは主人公の位置情報やアイテムの量などを分析し、どのような敵を出現させるのが最適かを判断し、ゲームシステムに指示を与えます。

ナビゲーションAI

各種の情報を提供するのがナビゲーションAIの役割です。
これを実現する仕組みには、主に以下の技術が用いられています。

  • ウェイポイント・グラフ
  • ナビゲーションメッシュ
  • パス検索

ゲーム上では壁や障害物などが用意されているので、敵キャラクターは、それらを避けて移動する必要があります。
しかし、場合によってはキャラクターAIに、壁や物を判断させるのは好ましくありません。
壁に向かって突進し、ぶつかったら別の方向に走る、と言うような不自然な動作をしかねないためです。
解決策としては、まず、実際に通れるエリアを地図のようにまとめておきます
これが、ウェイポイント・グラフやナビゲーションメッシュで、キャラクターAIに動ける範囲を理解させるために重要です。

しかし、通れる場所がわかっただけでは、敵キャラクターを正しく動作させることはできません。
遠回りをしたり、袋小路に迷い込んだりと、思わしくない動きを見せます。
そこで、ナビゲーションAIはパス検索と呼ばれる技術を使って、最適な道順を計算し、キャラクターAIに伝達するわけです。
つまりナビゲーションAIは、ゲームフィールドのどこを通れるのかをウェイポイント・グラフなどにまとめ、どうすれば目的地にキャラクターAIを適切に移動させられるかを計算して、情報を与えています。

AIの進化と機械学習の関係

ゲームAIの進化に関して、機械学習は重要な役割を担いました。
従来のゲームAIは、クリエーターが準備したプログラムに則って動作するしかなかったのです。
人間が用意した選択肢によって動作が決まるため、臨機応変な対応をさせるのは難しく、限界もありました。
高度な動きを実現する場合は、プログラミングも大変です。

しかし、機械学習が登場して状況は一変します。
コンピュータが自動で情報を収集し、高度な分析ができるようになったため、AIによる柔軟な処理が可能となったのです。

従来の条件分岐型と比べ、大きな変化があったのは将棋ソフトでしょう。
以前は、大体決まった手順で駒を動かすのが限界でした。
しかし、機械学習を使うと人間の癖や、得意な戦術などをAIに学習させることができます。
結果的に、将棋用のAIは膨大な対局データを元に勝因や敗因だけではなく、序盤を有利に進める方法や、終盤で巻き返すためのノウハウなども研究するようになりました。
戦うほどに強くなる特徴が、現在、プロ棋士が負けるケースが増えている原因の一つと言えそうです。

また、身近な家庭用ゲームでも、機械学習によるゲームAIの変化は感じられます。
例えばキャラクターAIは、従来の条件分岐型との違いは明白です。
条件分岐型は、例えば主人公との距離や自身のHPなどの情報に基づき、決まった動作を行います。
しかし、これでは人間が想定していない場面では、正しい判断が行えません。
NPCが不自然な行動をとったり、自滅してしまったりして、困惑した経験を持つプレイヤーは珍しくないでしょう。

この点、機械学習を応用したAIは、キャラクターの作り方が全く違うのです。
例えば、AIが好ましい結果を出した時に、高評価を与えるような仕組みを用意します。
すると、人間が細かく指示をしなくても、AIは膨大な数のシミュレーションを行ううちに、効率的に高評価を得るような方法を、自分で導きだすのです。
その結果、人間が想定していなかったシチュエーションに遭遇しても、適切な判断ができる可能性が高まりました。

ゲームAIの進化はまだまだ発展途上

ゲームAIの種類と特徴、機械学習との関係について紹介してきました。
コンピュータゲームは1912年に登場して以来、急速に進化しています。
AIの登場により、ゲームにおいても機械学習によって条件分岐型を越える処理が可能となり、更に注目度は高まってきました。
ゲームAIの有効活用に関して様々な模索が行われており、今後も更なる発展が期待されます。

最新情報をチェックしよう!