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【2022】DX(デジタルトランスフォーメーション)とは何か?わかりやすく解説

近年、ニュースや新聞などでよく耳にする「DX(デジタルトランスフォーメーション)」。大企業だけでなく、中小企業においても、DXを進めていくことは必要だといえるでしょう。

しかし、「DX」という言葉は耳にしたことがあったとしても、実際にどのように行うべきなのか、何をしたら良いのかなど不明な点も多いことでしょう。そこで今回は、DXを成功に導くポイントや事例などを紹介していきます。

DXとは何か?

DXとは、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略称で、簡単にいえば「デジタルによる変革」です。Transformationは「変革」と訳されますが、なぜ「DT」ではなく「DX」なのかというと、英語圏では「Trans」を「X」と略す文化があるからです(「Trans」には交差するという意味があり、一文字で表せる「X」が用いられています)

DXは、デジタル技術を活用して社会をより良く変革することをいい、業界を問わず取り組むべき課題だといえます。

DXの定義

世界で初めてDXを定義したのは2004年、スウェーデンのエリック・ストルターマンらが論文で発表したことが起源とされています。ICT(情報入手のためのSNSなどのサービスやツール)技術の浸透が人々のあらゆる面でより良い方向に変化させるというもので、2010年イギリスでは、ガートナーやマイケル・ウェイドによって著しく変化するビジネス業界の戦略が定義されました。

令和元年の日本では、経済産業省がDX推奨ガイドラインにおいて、DXを次のように定義しています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

参照元:「DX 推進指標」とそのガイダンス(経済産業省)

DXに取り組むべき理由・背景

では、なぜこれほどまでにDXに取り組むべきといわれているのでしょうか?それは、市場の国際化や労働力の不足、顧客の価値観の変化など、ビジネス環境が変化してきているという背景があるからです。

DXが推奨されているのは、DXを推進することで「企業の生産性を向上させることができる」と期待されているからです。DXを推進することで、業務内容の改善や自動化が可能になります。そのため、ニュースでもしばしば取り上げられている残業問題や、労働者不足が改善されることが期待されています。

また、DXにより、企業の製品を利用する顧客が製品に対して求めていることをデータ分析することもできるようになります。これにより、商品の品質向上や新製品の開発などにもつながると考えられます。

企業間競争の激化や他国との差

近年、人工知能のAIやクラウドなど、最先端のデジタル技術が普及しました。また、多くの商品やサービスが生まれ、企業間競争が激化しています。

たとえば、デリバリー業界では近年話題のUber Eats(ウーバーイーツ)の利用者が多くなっています。Uber Eatsでは、料金はアプリ決済で行われ、利用者がドライバーを評価するシステムとなっています。そのため、マナーの悪いドライバーは除外されていくといったサービス向上のためにデジタルが駆使されています。デリバリー業界においては、Uber Eatsの登場で、配車サービスの企業間競争は激化してきています。

また、世界と比べ、日本はITやデジタルの分野で遅れをとっているといわれています。DXへの理解のある人材の不足や、老朽化したシステム(レガシーシステム)を使っていることなどが原因であるといわれています。日本国内での企業間競争で戦っていくことができたとしても、まだまだ世界には敵わないのが現状といえるでしょう。

2025年の崖

経済産業省が発表した「2025年の崖」をご存じでしょうか?2025年の崖とは、2025年までに予測されている人材不足や老朽化したシステムにより、改善がされなければ年間12兆円の経済損失が生まれると想定されているものです。

その原因となるのは、国際競争力で負けること、セキュリティの老朽化などが挙げられており、その要因となるのはエンジニア不足やアプリケーションのサポート切れ、市場のデジタル化進行が挙げられます。

企業のDX推進は、国が推進していることでもあるのです。

参照元:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~

デジタイゼーションやデジタライゼーション、ITとの違い

DXということばとともによく使用されるものに「デジタイゼーション(Digitization)」「デジタライゼーション(Digitalization)」「IT」があります。これらは、DXとはどのように違うのでしょうか?

「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」「DX」は、いずれも「デジタル化」と訳されます。では、それぞれ違いは何なのでしょうか?

その違いは、「段階」で表すとわかりやすいといえます。第一段階を「デジタイゼーション」、第二段階を「デジタライゼーション」、第三段階が「DX」と分けることができます。

デジタイゼーションとは

デジタル化の第一段階をデジタイゼーションと呼びます。デジタル化のはじまりは、アナログデータや物理データをデジタル化することから始まります。

経済産業省は、デジタイゼーションを「アナログ・物理データのデジタルデータ化」と定めています。たとえば、紙でのマニュアルをデジタル化してデータ管理をするようにしたことや、会議の議事録を録音データとして自動的にデジタルデータに変換させ、人の代わりに作成することなどをデジタイゼーションにあたります。

デジタライゼーションとは

デジタル化の第二段階をデジタライゼーションと呼びます。

経済産業省は、デジタライゼーションを「組織やプロセス全体をデジタル化すること」と定めています。たとえば、経費の処理の過程を自動で行い、さらにそのデータを他のシステムと連携しデータ入力を簡略できるRPAの活用や、業務のオンライン化などがデジタライゼーションにあたります。

デジタイゼーションは部分的な取り組みとして考え、デジタライゼーションは長期にわたる視野で過程をみていくという違いがあります。ここからさらに進んだ段階をDXといい、デジタルを利用して業務を変革させ生産性を向上させるという目的があります。

参照元:D X レポート 2 中間取りまとめ (概要)(経済産業省)

ITとは

では、しばしば耳にする「IT」とはどういったものなのでしょうか?

ITはInformation Technologyの略称であり、直訳すると「情報技術」です。つまり、情報処理に携わっている技術を指しています。

ITとデジタルは異なり、デジタルは情報を数値で表す手法、ITは情報を活用する技術のことです。つまり、ITは情報を活用する技術であり、DXはデジタル技術やデジタルそのものを利用して業務に変革をもたらすことです。

ITはそもそもデジタル化されたデータの活用が主なので、DXの一つとしてITも含まれるといえます。

経済産業省のDX推進ガイドラインとは

日本の企業がDXを進めていく上での課題と対応策の検討を行い、「2025年の崖」の克服とDXを本格的に展開していくことを目的として、経済産業省によりガイドラインが作成されました。「DX推進のための経営のあり方、仕組み」や「DXを実現する上で、基盤となるITシステムの構築」などが記載されています。

体制づくりのあり方や仕組、実行のプロセスについてまで言及されており、DXを進めていくための一つの指標になるでしょう。

参照元:デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX 推進ガイドライン)Ver. 1.0

DXを推進するための6つのステップ

はじめにお伝えすると、DXの進め方は企業によって異なります。飲食店と建設会社の経営方針が異なるように、DXの進め方も業界や企業ごとに異なります。正解がないため、企業に合わせたDXを進める必要があるのです。

ただ、そうはいっても、基準がなければDXを進めるヒントにならないため、ここではDXの進め方を6つのステップに分けて解説します。これを参考に、ご自身の会社に合ったDXを進めてみてください。

目的を明確にする

まずは、目的を明確にします。勘違いしてはならないのは、DXの導入は目的を果たすためのプロセスであるため、DXを進めること自体が目的ではありません。

目的を明確にすることで達成するまでの道筋が見え、意識が高まります。そのため、DX導入の目的をはっきりさせることが重要です。

組織全体の同意と共通認識を得る

DXの導入には、組織全体の同意が不可欠です。組織の中で現場のスタッフだけが意識が高くてもいけませんし、逆に上層部が上から押し付けるような形ではうまくいきません。

個人で取り組むものではなく、組織全体で意見交換をして進めていくことが必要です。共通認識を持つことで組織全体のモチベーションが上がり、良い発想が生まれます。

課題を抽出する

続いて、自社の問題点や課題を洗い出します。そのためには、自社の現状を知る必要があります。

現状抱えている課題を一つひとつ割り出し、特にシステムの老朽化などに着目すると良いでしょう。現状と課題を細かく確認することで、今後「どうあるべきか」という理想像が見えてくるでしょう。

目標を定める

課題を抽出することができたら、課題を達成するための目標を定めます。話し合いの担当者を選任し、目標は組織全体で共有すると良いでしょう。目標は、高すぎるとモチベーションが下がるため注意が必要です。

計画を立案しスケジュール化する

目標が決まったら、行動計画を立案していきます。どの計画から進めていくかは、計画のコストや期間、優先順位を決めてスケジュール化します。実現までの期間や毎日のタスクへの影響など、考えられる事柄を想定します。

行動計画を詳細化し、マイルストーンを決めてスケジュール化するとスムーズに進めることができます。その都度目標が達成できているかを確認していくことも必要です。

PDCAを回す

PDCAとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)のサイクルを繰り返し行うことで、持続して業務の改善をしていくことです。DXの導入にどのような変化があったのかPDCAを回し、日々変化する社会に合わせたDXを改善していきます。

DXを進める上での課題・注意点

DXを進めていく際に課題になるのは、エンジニア不足やDXを進める人材の不足が挙げられます。システムを新しくするためのコストや人材が不足していることで、DXへの活動を妨げる原因となるケースがあり、どのような業界においても人材不足は深刻な問題といえるでしょう。

また、DXを導入したからといって安心してはなりません。外注ばかりに頼るのではなく、自社のエンジニアやDX推進の人材育成を怠らないこと、DXした先もPDCAを回すことを注意していきましょう。そうすることで、DXを導入した後も、社会の変化に乗り遅れにくくなるといえます。

目的や目標を明確にすること

DXは、目的や目標を明確にする必要があります。目的や目標を定めることで筋道が見えるようになります。そのため、それぞれのタスクを進めている中でも、「〇〇をするために現在のタスクを行っている」という理解ができるため、組織全体として共通目標を持って進めることが可能です。

「あれも取り入れよう、この技術も必要かも」となんでもかんでも取り入れてしまうと、DXを推進したものが企業の戦略にまったく意味をなさないということもあり得ます。

担当者や役割を明確にすること

DXに必要な職種は、主に7つあるといわれています。

  • プロダクトマネージャー
  • ビジネスデザイナー
  • テックリード(エンジニアリングマネージャー、アーキテクト)
  • データサイエンティスト
  • 先端技術エンジニア
  • UI/UXデザイナー
  • エンジニア/プログラマー

これらをすべて社内の人材に割り当てることは難しいかもしれません。まずは、最低限DXを進める責任者を決めるところから始めると良いでしょう。それぞれの責任者の役割を明確にし、業務内容も明確にしていくことが必要です。

組織全体で行うこと

DXを進めるにあたって、企業によってはチームを編成することもあるでしょう。

ただ、このチーム内で完結させるのではなく、各部署で情報を共有できるような場を設けるなど、組織全体で変革を行っていくことが重要です。組織全体に目的や目標を浸透させ、同じ方向を向いてDXを進めていく必要があるからです。

そうすることで、組織全体が前向きになり業務が活発化すると、新しい意見や発想が生まれやすくなるでしょう。

ツールやシステム導入で満足しないこと

システムを導入したからといって、DXが終わりというわけではありません。目標が達成できているか、たとえば、顧客の満足度は本当に上がっているのかなど、想定していた結果を出せているのかを振り返ることが大切です。

生産性向上など、DXはあくまでも企業の最終的な目的のためのプロセスに過ぎないことを理解しておきましょう。

DXを成功に導くためのポイント

DXを成功に導くポイントにはどのようなものがあるでしょうか?ここでは、DXの推進を成功させるポイントについて解説していきます。

スモールスタートからでも始めてみる

完璧な計画のもと、DX化をスタートさせようと思っていると、なかなか計画段階から前に進めることができません。あらゆるリスクヘッジを行い、完璧だといえる計画ができるまでに、相当な時間もかかってしまうでしょう。

DX化を進めていくにあたって、完璧な計画で進めていくよりも、「できるところから少しずつ始めていく」ことで、一歩ずつDX化に向けて、着実に進めることができるでしょう。

先ほど解説したように、第一段階をデジタイゼーション、第二段階をデジタライゼーション、第三段階をDXと分け、まずは第一段階のデジタイゼーションから始めていき、身近なアナログ作業やデータをデジタル化すると良いでしょう。このように、DXの土台をつくるためのスモールスタートから始めていくのです。

「いつもの業務」から変革してみる

まずは、いつも行っている業務から見直していくことも重要です。DXをどこから進めたら良いのかヒントを得ることができ、社員一人ひとりが業務の見直しができるようになるからです。

担当している業務にどれくらい時間がかかっているのか、重要度や優先順位の把握をしましょう。業務を洗い出すと、必要な業務と優先度が低い業務を把握することができます。

DXの成功事例

では、DXの推進に成功している企業はどのような取り組みをしているのでしょうか?最後に、DXの成功事例として、株式会社日立製作所、清水建設株式会社、凸版印刷株式会社、ソフトバンク株式会社の事例を紹介します。

株式会社日立製作所

株式会社日立製作所は、創業100年を超える電機メーカーです。DXにおいては、自治体DXなど、DXのサービスを提供する側の立場にもありますが、自社内においてもDXを進め、「DXグランプリ2021」においてはグランプリを受賞しています。

自社内でのDX化推進において、「Lumada」という日立製作所独自の技術を利用したサービスを通して、ステークホルダーや顧客との間で生まれるやり取りをデータ化し、共有し、新たなビジネスの展開などに役立てています。

また、日立製作所が持つ多様なパートナーをLumadaによって連携させ、顧客や社会が持つ課題に対して適材適所で対応するネットワークをLumadaによって構築し、お客様に最善に提案ができるような環境づくりをしています。

清水建設株式会社

大手ゼネコンの一つである清水建設株式会社は、「ものづくりをデジタルで」「ものづくりを支えるデジタル環境」「デジタルな空間・サービスを提供」の3つのコンセプトを柱としたデジタル戦略を掲げています。

たとえば、「ものづくりを支えるデジタル環境」においては、これまで内線電話を利用していた環境から脱し、スマートフォンを全社員に配布することで、時間や場所にとらわれずに業務を遂行できるよう環境を整えました。

コロナ禍においても在宅勤務やテレビ会議の対応など、これまで考えられなかった施工管理の効率化をスマートフォン導入や各種検査アプリの導入によって実現させています。

凸版印刷株式会社

印刷会社大手の凸版印刷株式会社は、印刷テクノロジーを中心とし、さまざまな分野を展開してきました。経済産業省と東京証券取引所が選定する「DX銘柄」にも選ばれるような、積極的にDX化に取り組む企業として注目されています。

雑誌や新聞などの紙媒体からデジタルに消費者が移行していくなか、印刷業界も変革を必要とされており、その中で凸版印刷株式会社は「新たな価値を創出するDX」を推進してきました。

その具体的な例としては、減少した「印刷業務」への対応として、小ロットでも受注可能なデジタルプリントの導入を行い、これまで印刷業界では当たり前のように行われていた「製版」を利用せず、コストを抑え、安価でかつ小ロットの受注も可能にしました。

SDGsの取り組みにもあたる、「必要なものを必要な分だけ」という部分においてもDX化を進めることで実現しています。

ソフトバンク株式会社

ソフトバンク株式会社は通信、インターネットメディア、コミュニケーションサービス、キャッシュレス決済サービスなどの多くの事業を展開する企業ですが、DXにおいては2017年10月にDX本部を立ち上げるなど、DXの取り組みをいち早く進めてきた企業の一つです。

たとえば、ソフトバンクが提供するサービスの一つとして、企業が従業員の健康を維持するため、「HELPO(へルポ)」というヘルスケアアプリを開発、提供し、24時間365日、いつでも体の不安や健康に関することを相談できるサービスを展開しています。

コロナ禍において在宅勤務や現場勤務など、勤務体系の状況に関係なくサポートできる仕組みを提供することにより、企業に従事する従業員の方の健康管理や不安解消など、デジタルを通して解決をしています。

まとめ

DXとはどのようなものなのか、事例を交えながら解説しました。

新型コロナの影響でリモートワークやオンライン会議、在宅勤務が増えてきたこともあり、多くの企業で新型コロナがDXを促進するきっかけになったことでしょう。

DXを進めていく上では、さまざまな課題もありますが、一つずつできるところから進めていくことで、着実にDX化を進めていくことができるでしょう。まずは、企業が持つ課題について、組織内で話し合うことから始めてみてはいかがでしょうか?

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