Chainerとは?初心者でも機械学習のプログラミングができるフレームワーク!

こんにちは、AI研究所の三谷です。
今回は、初心者エンジニアでも簡単にディープラーニングでAI(人工知能)をプログラミングできる、無料の機械学習ライブラリフレームワークのChainerについて徹底解説します!

ディープラーニングに特化したフレームワークChainerとは?

chainerとは?

※2019年12月、開発元のPFNはフレームワーク開発を終了してChainerはメンテナンスフェーズへ移行すること、自社はChainerからFacebookが主導するPyTorchに順次移行することを発表。

Chainerとは、日本の企業であるPreferred Networks(PFN)が開発している、Pythonベースのディープラーニング向けのフレームワークです。
Preferred Networks(PFN)が日本の機械学習系のベンチャー企業であることから、日本語の関連資料が多いという初学者にとってはうれしい特徴があります。

ニューラルネットワークを使用した学習を行うための機能が、オープンソースで提供されています。
Python 2.x系および3.x系で利用でき、GPUによる演算もサポートしています。
AI初学者が、GPUを使って機械学習やディープラーニングに取り組みたい場合、環境構築に想像以上の手間が発生することがありますが、chainerではセットアップ作業に要する時間を極力削減するためにコンテナ技術を適用することもできます。

世界的に見ると、Google社の開発するTensorflowの方がシェアは大きいと言われていますが、日本のベンチャー企業が開発しているため、様々な情報交換が行われるコミュニティフォーラムには日語版が用意されていることもあり、日本国内を中心として利用が広がっています。

Pythonライブラリ『Chainer』の特徴と解説

それではChainerがどんなフレームワークなのか特徴を紹介していきます。

初心者でも機械学習がスタートしやすい

Chainerは、深層学習に使用するニューラルネットワークの構造や学習(トレーニング)の方法を、Pythonのプログラムとして記述することができるようになっています。
シンプルなコードでディープラーニングのモデルが構築できるため、初心者でもわかりやすいと言われています。

さらに、2019年4月には、初学者向けのChainerのチュートリアルサイトを公開したため、誰でも簡単にChainerを使用したディープラーニングの方法を日本語で学ぶことができるようになりました。

「Powerful (高性能)」「Flexibility (柔軟性)」「Intuitive (直感的)」で開発がスムーズに

Chainer の最大の特徴として、Powerful (高性能)」「Flexibility (柔軟性)」「Intuitive (直感的)であることが挙げられます。

Chainerは、初心者がとっつきやすいように直感的にコードが記述できるように開発されており、作成したモデルを柔軟に編集することもできます。
また、初心者向けというわけではなく、新しい手法の発見を目指す研究者、実用的なシステムへの応用を行いたい開発者まで、多岐にわたる技術者が、様々なアイデアを試し、評価してそのフィードバックに基づいてまた新たなアイデアを試す、という試行錯誤のループを高速に回せることを目指して開発が進められています。

Define-by-Runの実行方式

ニューラルネットワークの計算を表現した計算グラフは、一般的に使われているCaffeやTensorflowでは、学習前にあらかじめ構築することが多くあります。
計算グラフを定義してから計算を実行するので、この方式は「Define-and-Run」と呼ばれることが多くあります。
一方、Chainerでは、計算グラフはデータを入力した際にPythonプログラムに基づいて動的に構築されるため、計算の実行時に同時進行で計算グラフが定義されることから、「Define-by-Run」という実行方式と呼んでいます。

Chainerは、Define-by-Runというモデル設計手法を取り入れた深層学習のフレームワークの先駆け的存在で、後に開発されたPyTorchなどにも大きな影響を与えました。
Define-by-Runでは、データの構造が変わった際のモデルの再構築が楽にでき、デバッグも容易であるという特徴を持っています。

Tensorflowのスペック紹介
メーカーPreferred Networks
価格オープンソース(無料)
対応OSLinux、macOS、Windows
対応プログラミング言語Python
リポジトリhttp://github.com/chainer/chainer

Chainerでできること

それでは、Chainerはどのようなことに使えるのでしょうか?
1つ1つ分かりやすく紹介していきます。

  1. ニューラルネットワークの構築
  2. 人間の音声や画像を認識して機械学習に使える
  3. シンプルなネットワークの構築が簡単にプログラミングできる
  4. 拡張機能を利用したより深い学習モデルの開発

①ニューラルネットワークの構築

ニューラルネットワークの構築

ニューラルネットワークは、最近流行しているディープラーニングの元となっているモデルです。
ディープラーニングのフレームワークとは、ニューラルネットワークの設計や訓練、評価などに必要な一連の実装を簡単にするためのフレームワークです。

特に、層数の多いニューラルネットワークを GPU などを用いて高速に訓練できるようにする機能を備えたものを示すことが多く、Chainer の他にも様々なディープラーニングフレームワークが発表されています。
人間のニューロンをモデル化した構造で、クラス分類や回帰の問題を解くことができます。

②人間の音声や画像を認識して機械学習に使える

まず音声認識とは、人間の声などをコンピューターに認識させることです。

人間の会話を文字列に変換したり、音声の特徴を捉えて声を出している人を識別したりする機能を指します。こうした機能を使い、音声合成ソフトや自動返答Botなどの開発もできます。

また、画像を分析する機械学習では、漁業の効率化などの例があります。
今までは熟練の腕と経験を持つ漁師さんが空を飛ぶ鳥や波の動き、泡の量などから経験則に基づき、魚の大群がいるかどうか判断をしていましたが、プログラムで画像を分析することで漁業の素人でも魚の大群が捕捉できるようになります。

③シンプルなネットワークの構築が簡単にプログラミングできる

フレームワークの中には、できることが多いものもありますが、その分、実装は複雑で初心者には難しく感じてしまうこともあります。
Chainerはシンプルなネットワークも複雑なネットワークも同じように記述できるため、簡単なことから難しいことまで対応することができます。

④拡張機能を利用したより深い学習モデルの開発

Chainer は、通常のライブラリに加えて、様々な拡張機能も取り揃えています。

  • 画像認識を行なう際にはChainerCV(コンピュータービジョン)
  • 化学・生物学分野を行なう際にはChainer Chemistry
  • 強化学習のためにはChainerRL(Reinforcement Learning)

がそれぞれ存在しています。
これらの拡張機能では、各分野のアルゴリズムや学習済みモデルを実装しています。

Chainerを無料でインストールする方法

Chainerは、MacでもWindowsでも利用することができますが、インストールの方法に違いがあります。

Chainerを無料でインストールする方法について詳しく解説した記事がございますので、こちらをご覧ください。

機械学習用ライブラリ「Chainer」のインストール方法

Chainerを使ったディープラーニングの方法

Chainerを使って、ディープラーニングを実際にプログラミングしたみた記事を、下のリンクからご覧いただけます。
この記事では、MNISTという機械学習を学び始める際によく利用されるデータセットを利用して、ディープラーニングの学習モデルを構築しています。

参考:
MNISTとは、Mixed National Institute of Standards and Technology databaseの略で、0~9までの手書きの数字画像が含まれたデータセットです。
学習用のデータが60,000個、テスト用のデータが10,000個の、合計70,000個の手書き文字データが含まれています。

MNIST

Chainerをより詳しく学ぶ方法

①強化学習プログラミング講習

強化学習プログラミング講習」では「Chainer」「ChainerRL」「OpenAI Gym」の3つのライブラリを使用して、Pythonで強化学習をする方法を学ぶことができます。
1日で終わるセミナーなので、気軽に強化学習を学んでみたいと思う人にぴったりです。
ニューラルネットワークの仕組みの理解とPythonの知識があればすぐに申し込みできるので、ぜひ一度申し込んでみてください。

②ディープラーニング入門 Chainer チュートリアル

ディープラーニング入門 Chainer チュートリアル

Chainerを開発するPreferred Netwoks社が提供する、初心者向けのチュートリアルです。

初学者でも挫折しづらいような工夫がされていますので一度試してみるのもいいかもしれません。
TensorFlow(TF)のtutorialを、Chainerでも実装してみたというQiitaの記事がありましたので、TensorFlowを知っている人はすぐに理解できるかもしれません。
実際、記述も似ているところが多く、TensorFlowは「import TensorFlow as tf」、Chainerは「import Chainer functions as F」などとなっています。

③Chainerによる実践深層学習

Chainerによる実践深層学習引用先:Amazon
¥2,640

自然言語処理の内容も多いですが、Chainerを使った学習プログラムを作成する例題も載っています。
いろんな参考書がありますので、ネットの情報などを比較しながら自分に合うものを探してみてください!

Chainerについて まとめ

いかがだったでしょうか。
数あるディープラーニング用のフレームワークの中でも、Chainerは計算が得意だったり、日本発ということもあり親近感が湧いたのではないでしょうか。

Chainerの他にも、Python用のフレームワークはTensorFlow、Keras、PyTorchがあり、それぞれに違いがありますので、是非いろいろなフレームワークを試して機械学習のスキルを高めてみてください。

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