AI(人工知能)同士は会話できるのか!?

今回は、AI(人工知能)の会話の分野について書きたいと思います。

AIの会話の分野は、活発に研究開発が進められており、以前話題になったマイクロソフトのLINEアカウント「りんな」やAIアプリ「SELF」など、AIと人間が会話できるようになりつつあります。

「りんな」に関しては、2020年から、相手の会話の内容を踏まえて、より具体的で内容のある返答をする「コンテンツチャットモデル(Contents Chat Model)」が採用されました。
また、ソフトバンクのPepperは街中で見かける機会も増えており、Pepperと会話したことのある方もいらっしゃるかと思います。
では、AI同士で会話することは現状可能でしょうか。

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AI開発の現状

AIをつくるというと、ガレージみたいな研究室にベッドが置いてあって、アトムのようなアンドロイドが寝かせてあるようなものを思い浮かべる方がいらっしゃるかもしれません。

ですが、多くの人がイメージするAIを搭載したロボット(アンドロイドといった方がイメージに合うでしょうか)は、脳みそにあたるAIに加え、ロボット工学(センサー・モーター等による姿勢制御)などが組み合わさった集大成の技術となります。
ちなみにPepperは、この脳みそにあたるAI部分がクラウド上で管理されているため、ネットワークを切ると少し賢くなくなるという話もあります。

現在、世の中にあるAIは特化型というものしかありません。
五感で言うと、視覚は画像処理や映像処理、聴覚は自然言語処理や音声認識、触覚はセンサー制御などで、それぞれ別々の特化したAIが開発されています。
より細かく言うと、同じ画像認識でも、ゾウやイルカのような一般的なものを見分けるAIと、ある機械のある小さな部品という一般的でないものを見分けるAIは別々で開発する必要があります。
また、味覚や臭覚はあまり開発が進んでいないのが現状です。

また、画像認識等で人間を凌駕してきていますが、現在のAIを作るには大量のデータが必要になってきます。
例えば、ゾウの写真を見てゾウだと当てることができるAIを作るには、一般的に10,000枚程度の様々なゾウの写真を用意する必要があります。
人間の赤ちゃんのように、2~3種類のゾウを見ることでそれがゾウと認識できるまでには至っていないのが現状です。

今回はこのAIの中から、対話システムについて見てみましょう。

対話システム

AIと会話

専門的には、会話するようなAIは対話システムと呼ばれます。
対話システムの開発は学習データの少なさがネックとなっています。
先の例のように、AIの学習には大量の学習データが必要で、ものによっては10,000枚では少ない場合もあります。
画像認識などでAIが精度を上げてきたのはハードウェアの発達により大量の学習データを処理できるようになったことが大きな要因ですが、対話システムに関してはそれを活かしきれていないのが現状なのです。

対話システムの開発において比較的入手しやすいのは雑談データです。
SNSやインターネットでの対話が一般的になったからです。
しかし、雑談はAIにとって最も難しい問題の一つだと言われています。
みなさんは何気なく雑談をしていると思いますが、うまく雑談をするためには、今日の天気などの周りの環境や、相手の容姿やどういう仕事をしているか、女性なのか男性なのか、一般常識の知識…様々な情報を駆使する必要があります。
そのため、雑談をするAIというのはまだ研究段階の技術なのです。

そのため、雑談や日常会話の対話システム以外では、ルールベースのプログラムで対応しているのが実情です。
「こう言われたら、こう答える」というプログラム(ルール)を大量に用意しておく手法です。

以前の記事で紹介したチャットボット作成ツール「Dialogflow」は、ルールベースと機械学習の二つをあわせたハイブリッド型になります。
Dialogflowの詳細については下記記事でも詳しく紹介しています。

AI同士で会話ができるか

AI同士では会話が噛み合っていなくても、お互い違和感を感じないので、その意味では「会話ができる」と言っても問題ないでしょう。
それらしい会話をすることは現状の技術で可能です。
ですが、その会話を人間が聞いて違和感がないものになるか、と言われれば、まだ難しいでしょう。

例えば、以下のようなAI同士の会話は十分あり得ます。

A:「好きな食べ物はなんですか」
B:「ラーメンが好きです、あなたは?」
A:「私もラーメンが好きです、チャーシューがたまりません」
B:「チャーシュー美味しいですよね」
A:「チャーシューといえばラーメンですよね」
B:「ラーメン大好きなんです、Aさんもラーメン好きですよね」
A:「ラーメンは好きです、チャーシュー美味しいです」
B:「チャーシュー美味しいですよね」

これは例として作ったものですが、なんとなく会話が同じところをグルグル回っていて、違和感があるのをお分かりいただけたかと思います。
しかし、A→Bだけ、B→Aだけで考えれば成立していますよね。
このように、部分的に見れば成立していても、全体としてはおかしい会話になることがあります。

あるいは、以下のような会話です。

A:「今日は暑いですね」
B:「そうですね。今は暇ですか?」
A:「はい。眠いです」
B:「なるほど。寝不足ですか」
A:「わかりません」

特に問題なく思われるかもしれませんが、なんだか単調な会話に見えますね。
ここで問題なのは、日常会話で「そうですね」「はい」「了解です」「なるほど」など良く使われるものがあり、これらは学習データとの一致率が高くなるため、返答として採用される確率が高くなるのです。

ですので、「良く使われる単語+新しい話題」のような会話なら、現状のAI同士でも会話が可能でしょう。

最後に、現在最先端と言われている対話システムのデモンストレーションの動画をご紹介します。
英語ですが、人類の未来についてAI同士が会話しています。

AI同士でチャットさせたり、チャットボットの作成を学びたい場合は、AI研究所の「チャットボット講習」がおすすめです。

AI同士の会話についてまとめ

いかがだったでしょうか?
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