チューリングテスト

チューリングテストとは

チューリングテストとは、ある機械(人工知能)が知的かどうかを判定するためのテストです。イギリスの数学者アラン・チューリングが1950年に考案しました。

チューリングテストでは視覚や音声で判定できないように、人間と機械を対面の対話ではなく、文字のみのやり取りで会話させます。
人間側が「この相手は人間である」と思い込めば、機械と人間の区別がつかなかったとみなされ、この機械はチューリングテストに合格したとされます。

最近の技術発展により、チューリングテストを突破する人工知能も登場しました。
2014年にはスーパーコンピュータ「ユージーン」がチューリングテストを突破したと話題になりました。また、チューリングテストの一種であるCAPTCHA(Completely Automated Public Turing test to tell Computers and Humans Apart)は、チャレンジ・レスポンス型テストの一種で、応答者がコンピュータでないことを確認するために用いられています。2017年には再帰的皮質ネットワークモデルが、ディープラーニングモデルの300倍効率よくCAPTCHAを突破しています。


また、チューリングテストには多くの疑義が投げかけられてきました。

1980年、哲学者ジョン・サールは「中国語の部屋」という思考実験を提唱しました。

この部屋の中には英語話者がいます。漢字の列が書いてある紙切れを部屋の外から渡しますが、英語話者はこれを読むことはできません。英語話者は部屋の中にあるマニュアルを引いて、その意味はわからないまま、文字列を別の文字列に変換して紙切れを返します。
この英語話者はコンピュータのCPUに相当し、この思考実験からサールは、「チューリングテストは機械が思考できることを証明できない」と主張しています。

チューリングの元論文は「機械は思考できるのか?」から始まります。
また、サールの思考実験から、チューリングテストの本来の意義は「会話できるかどうかではなく、知性があるかどうかを判別すること」と言えます。
これらの考え方に則れば、人工知能やロボットの試金石としての役割を担う、新たなチューリングテストが求められているともいえます。

チューリングテストの発展版の一つとして、目の前で対話しているロボットが、人間によって遠隔操作されているか、コンピュータが操作しているかを判定する「トータルチューリングテストも提案されています。